ArcGIS Business Analyst Web and Mobile Apps (2025 年 2 月アップデート) の機能強化

商圏分析・エリアマーケティングに特化したクラウド型 GIS ソリューション ArcGIS Business Analyst Web and Mobile Apps (以下、BA Web) が 2025 年 2 月 26 日 (アメリカ時間) (2025 年 2 月 27 日 (日本時間)) にバージョンアップしました。本記事では、本バージョンで更新された内容を紹介します。

オンライン データの更新

オンライン データとは、Esri が配信するグローバルな人口統計データ、住所データ、道路ネットワーク データを指しており、世界 170 以上の国と地域をカバーしています。ArcGIS Online にサインインすることで、ArcGIS Business Analyst や ArcGIS Pro などの各種 ArcGIS 製品でご利用いただけます。

日本の人口統計データの更新

オンラインで日本の人口統計データを解析する際、これまでは都道府県や市区町村、町丁・字等といった区画しか選択できませんでしたが、本アップデートにより 1km メッシュと 500m メッシュを利用できるようになりました。
これに伴い、昼間人口や学齢別人口など、メッシュ データ由来の 364 変数を新たに追加しました。また、将来人口や消費などのデータ ソースを最新版にアップデートしました。データ ソースに関する詳細は Esri Japan – 2025 GeoEnrichment Data Update をご参照ください。

さらに、人口統計データを集計する際に使用する居住ポイント (Settlement Points) も更新しました。居住ポイントとは「ある地域内において人がいると考えられる場所」を意味します。これを使用することで地域内における人口の偏りが考慮され、単純な面積按分よりも高精度な按分集計が可能となります。詳細はこちらの FAQ をご参照ください。

従来は基本単位区の重心を居住ポイントに使用しておりましたが、本アップデートでは、建物の位置や基本単位区ポリゴンや 125m メッシュの人口統計も使用して居住ポイントを作成しました。これにより、今まで以上に精度の高い按分集計が可能となりました。なお、この変更に伴い、本アップデート前後で集計した値に差が生まれることがあります。

グローバルな目標物 (POI) データの更新

Foursquare 製グローバル POI データのデータ ソースを Foursquare Open-Source Places data に移行しました。移行において Foursquare がデータの改善を行うため、従来よりも POI 数が減少します。
これに伴い、バージョンアップ以前に Foursquare 製 POI データを使用して作成したレイヤーやインフォグラフィックスは、改めて作成する必要があります。また、バージョンアップ以前に作成したレイヤーは引き続き表示させることができますが、編集などは不可能となります。

海外の人口統計・目標物 (POI)・交通量データの更新

オンラインで使用できる以下の国の人口統計・POI・交通量データを最新版に更新しました。

  • 人口統計
    • ドイツ (Esri Deutschland 製)
    • インド (Esri India 製)
    • ヨーロッパおよびアジア 64 か国 (Michael Bauer Research 製)
  • POI
    • アメリカ、カナダ、プエルトリコ (Data Axle 製、Safe Graph 製)
    • グローバル (Foursquare 製)
  • 交通量
    • アメリカ USA Traffic Counts (Kalibrate 製)

区画との比較機能の強化

区画との比較とは、マップ上に任意に作成したサイト内の人口統計と、サイトが属する区画 (都道府県、市区町村、町丁・字等など) の人口統計をテーブル形式で表示する機能です。本バージョンでは、人口統計の変数を [初期設定] で設定できる機能と、テーブルに表示された区画の変更などができる機能を追加しました。

標準インフォグラフィックス テンプレートの更新

Foursquare 製 POI データの更新に合わせ、以下の標準インフォグラフィックス テンプレートを更新しました。

  • What’s in My Community
  • Nearby Restaurant
  • Emergency Information

また、日本のデータで使用できるインフォグラフィックス ギャラリーに以下のテンプレートを追加しました。

  • 商業統計・昼間人口プロファイル

その他の機能強化

  • アメリカのオンライン データを使用してクラシック レポートを作成する際、新しいレポート スタイルで出力できるようになりました。[クラシック レポートの実行] に追加された [新規レポート スタイルを使ってみる] トグルで、新しいレポート スタイルと従来のレポート スタイルを切り替えられます。出力したレポートは、ArcGIS StoryMaps などを通じて共有することができます。
  • [インフォグラフィックスの作成] 機能で使用できるロゴの形式に、SVG 形式が対応しました。[初期設定] で設定することができます。
  • アメリカのデータで使用できるインフォグラフィックス ギャラリーに、以下のテンプレートが追加されました。
    • Health Care for At-Risk Populations
    • Demographic Snapshot
    • Business Summary Report – NAICS (Tabular)
  • データ ブラウザーで、カスタム変数を作成した日時順に並べ替えできるようになりました。
  • ベンチマーク比較 ワークフローのパフォーマンスが改善しました。
  • Business Analyst Assistant (ベータ版) がベンチマーク比較 ワークフローをサポートするようになりました。
  • ArcGIS Experience Builder: Business Analyst ウィジェットでいくつかのバグ修正とマイナーな機能強化を行いました。

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