はじめに
AWS に Portal for ArcGIS を構築する場合は、ArcGIS Web Adaptor は利用せず、ロードバランサーに Portal for ArcGIS への転送先を設定することで、直接アクセスを想定する FQDN名での利用が可能となります。
本ブログのようにロードバランサーを利用するには、事前にAWS VPC(仮想ネットワーク)を作成している、また、EC2 にて Portal for ArcGIS のセットアップを完了している、サーバー証明書を Certification Manager でインポートしておくことなどが必要です。
ロードバランサー利用時の流れ
- VPC とインターネットゲートウェイをルートに持つサブネットを2つ作成しておく
- EC2 インスタンスに事前に Portal for ArcGIS をセットアップしておく(ここではバージョン10.9.1を利用しています。)
- サーバー証明書を Certification Manager に登録しておく
- ターゲットグループの作成
- ロードバランサーの作成
ターゲットグループの作成
はじめにターゲットグループを作成します。
「Create target group」をクリックします。
[Specify group details] の画面にて、以下の通り設定し [Next] をクリックします。
- [Choose a target type]:Instances
- [Target group name]:portal-tg
- [Protocol]:HTTPS:7443
- [VPC]:test-vpc01 IPv4: 10.10.0.0/16
- [Protocol version]:HTTP1
- [Health check protocol]:HTTPS
- [Health check path]:/arcgis/portaladmin/healthCheck
デフォルトのヘルスチェックのパスはルート「/」になっています。このままではヘルスチェックエラーとなりますので、「/arcgis/portaladmin/healthCheck」に変更します。
※ArcGIS REST APIs Health Check ページ
[Register targets] にて、Portal for ArcGIS のインスタンスを選択し、[Include as pending below] をクリックします。
[Review targets] を確認し、[Create target group] をクリックします。
ロードバランサーの作成
[Load balancer types] として「Application Load Balancer」の [Create] をクリックします。
[Create Application Load Balancer] にて、以下の通り設定を行い [Create load balancer] をクリックします。
<Basic configuration>
- [Load balancer name]:enterprise-lb
- [Scheme]:Internet-facing
- [IP address type]:IPv4
<Network mapping>
- [VPC]:test-vpc01 IPv4: 10.10.0.0/16
- [Mappings]:ap-southeast-1a(test-pub-subnet01)と ap-southeast-1b(test-pub-subnet02) にチェックします。インターネットフェイシングのロードバランサー作成時に、サブネットはインターネットゲートウェイへのルートを保持している必要があります。
- [Security groups]:Load Balancer
- [Listener]:Protocol – HTTPS, Port – 443, Default action – portal-tg
- [Security policy]:ELBSecurityPolicy-2016-08
- [Default SSL/TLS certificate]:From ACM / Certification Manager 使用してリクエストした証明書を選択
正常に作成が完了すると、「ロードバランサーを正常に作成しました。」 と表示されます。
また、Portal for ArcGIS ではロードバランサーの URL を使用するようにポータルを構成する設定をする必要があります。
- Web ブラウザーを開き、ポータル組織のデフォルトの管理者ロールのメンバーとして、ArcGIS Portal Directory にサイン インします。 例)https://portal.domain.com:7443/arcgis/portaladmin
- [System] > [Properties] > [Update Properties] の順にクリックします。
- [Update System Properties] ダイアログ ボックスに次の JSON を挿入し、ユーザーが組織のファイアウォールの外部から参照する際に使用する独自のリバース プロキシ サーバーまたは DNS エイリアス URL に置き換えてください。
{
“WebContextURL”: “https://dnsalias.domain.com/portal”
}
※ポータルと、リバース プロキシまたはロード バランサーの統合
Windows Server であれば IIS などを利用して、ArcGIS Web Adaptor (※Linux Server なら Apache Tomcat など)の利用も考えられますが、IaaS上にPortal for ArcGIS を構築できる環境でしたら直接ロードバランサーとつなげて Portal for ArcGIS を利用することが可能となります。