ArcGIS Server のマップ キャッシュ Tips (5) - マップ キャッシュ作成前

ArcMap でマップを作成し ArcGIS Server のマップ サービスを作成した後に、マップ キャッシュを作成します。その前に以下の点に注意してください。

1)キャッシュ出力ディレクトリ

Windows と ArcGIS Serverをデフォルトでインストールしている環境では、C:arcgisserverarcgiscache がマップキャッシュの出力ディレクトリとなります。マップ キャッシュの作成では大量のファイルが作成されるため、OS、IIS、ArcGIS Server、そしてキャッシュ出力ディレクトリが同一ディスク上に存在するとディスク使用の競合が発生しパフォーマンスが低下します。 D ドライブなどがある場合は、キャッシュ出力ディレクトリを D ドライブに設定することでディスク競合が低減し、より高速にキャッシュを出力することが可能です。キャッシュ出力ディレクトリの設定は ArcGIS ヘルプ「ArcCatalog でのサーバ ディレクトリの作成」をご参照ください。キャッシュ出力ディレクトリの作成後に Web サーバの仮想ディレクトリの設定とマップ サービスが使用する出力ディレクトリの設定を行ってください。

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2)キャッシュ ディレクトリのフォルダ オプション

Windows の機能にファイルの検索を効率化するためにインデックスを作成する機能があります。しかし、マップ キャッシュのように一度に大量のファイルを作成するような場合は、このインデックス作成のためにパフォーマンスが低下します。これを防止するためには、マップ キャッシュを作成する前にインデックスを作成しない設定がされているか確認してください。キャッシュ出力ディレクトリを右クリックし[プロパティ] → [全般]タブ → [詳細設定]ボタンと進み、[属性の詳細]で以下の部分のチェックが外れていることを確認してください。

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3)8.3形式の短いファイル名

Windows Server 2003や2008ではファイル システムで内部的に2つのファイル名を生成しています。そのうちのひとつが8.3形式といわれるもので、MS-DOSなどで使用されていたファイル名です。しかしこのファイル名は、常に必要というわけではありません。ファイル名程度の短いデータでも、マップ キャッシュのように大量のファイルを生成する場合(特にArcGIS Server 9.3.1 以前のバージョンの場合)、僅かながらでも書き込みのパフォーマンスが低減します。Windows Server 2008 R2 では、ディスクのボリュームごとにこの設定が行えるので、キャッシュ出力ディレクトリを作成したディレクトリで8.3形式のファイル名生成を無効にする設定をすることでマップ キャッシュ作成時間を短縮することが可能です。設定方法はMicrosoft ヘルプをご参照ください。
※設定の変更はご本人の責任で行ってください。設定の変更によるシステム上の影響につきましては、弊社では責任を負いませんのでご了承ください。

4)マップ キャッシュ作成時に不必要なサービスの停止

マップ キャッシュ作成時には CPUとディスクに大きな負荷が掛かります。マップ キャッシュを作成する前にArcGIS Serverの他のマップ サービスやシステム上で起動している別のサービスやプロセスを停止してマシンのリソースをフルに活用できるようにしてください。

次回は、実際にマップ キャッシュを作成する際の設定方法をご紹介いたします。

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