ArcGIS API for JavaScript の最新バージョン 3.11 をリリースしました。今回のバージョンアップでは、ライブラリの参照 URL が短縮されたほか、レンダラに新しく透過率を設定するプロパティが追加されるなど多くの機能が拡張されました。以下では、本バージョンにおける新機能、機能拡張の一部をご紹介します。
ライブラリ参照 URL の短縮化
本バージョンから ArcGIS API for JavaScript のライブラリの参照 URL が以下のように短縮されました。従来のバージョンをアップデートする際には注意が必要です。
変更前:
1. …/3.10/js/dojo/…
2. …/3.10/js/esri/…
変更後:
1. …/3.11/… (“/js/dojo” を削除)
2. …/3.11/esri/… (“/js” を削除)
使用例:
レンダラの透過率の設定
レンダラに新しく透過率を設定することのできるプロパティが追加されました。レンダラはフィーチャ レイヤやグラフィック レイヤのシンボルをレイヤの持つデータをもとにマップに表示する際に変更することのできる機能です。opacityInfo に適用したいレイヤの属性フィールドと透過率を設定することでシンボルの透過率を変更でき、より幅広い表現でデータを可視化できるようになりました。
ヒートマップ レンダラ(ベータ版)
ヒートマップ レンダラ(esri/renderers/HeatmapRenderer)はポイントのデータをもとに高密度の地域を強調して表示します。データの持つ属性値をもとに重みづけを行うことも可能です(ヒートマップ レンダラは Internet Explorer バージョン 9 以前では動作しません)。
※ベータ版は試用を目的とした公開であり、正式なリリースではありませんので、機能あるいはパフォーマンスについての保証はされておりません。
ジオエンリッチメントのためのデータブラウザ ウィジェット
ジオエンリッチメントは Esri が提供する位置情報に統計データを付加するサービスです。ポイントやポリゴンをジオエンリッチメントに適用することで、その地域の人口統計などの様々な統計データを得ることができます。
データブラウザ ウィジェット(esri/dijit/geoenrichment/DataBrowser)はジオエンリッチメントのデータ検索やレポート作成のためのデータ取得を容易にしてくれます。
ルート案内ウィジェット
これまでルート案内ウィジェット(esri/dijit/Directions)を印刷する際に使用する印刷ウィンドウにはルートの解析結果が表示されるのみでしたが、本バージョンでは解析結果とともに出発地から目的地までの地図も表示できるようになりました。ArcGIS Online のルート解析サービスを使用することで特別な設定をすることなく印刷用の地図が作成されます。
その他の機能拡張/仕様変更
・Web マップ:アプリケーションで ArcGIS.com の Web マップを利用する createMap メソッド(esri.arcgis.utils クラス)に新しいオプションが追加されました。editable を使用することで Web マップに含まれる編集可能なレイヤを API から Web マップを開く際に編集不可にすることができ、ユーザによる意図しないデータの変更を防げます。
・ラベル表示の向上:マップ上にテキストやシンボルといったラベルを表示するにはこれまでラベル レイヤを使わなければなりませんでした。Map クラスに追加された showLabels オプションはマップに追加されたフィーチャ レイヤのプロパティを参照することで、ラベル レイヤを使用することなく、自動的にラベルを表示します。
・クライアント サイド投影変換:geometry/webMercatorUtils クラスに追加されたメソッドを使用することで、ジオメトリ サービスを使わずにクライアント サイドで投影方法を変換することができます。
その他の更新情報や新機能については、ArcGIS for Developers の ArcGIS API for JavaScript 新機能(英語ページ)をご参照ください。
■関連リンク
ESRIジャパン Web サイト:
・ArcGIS API for JavaScript:http://www.esrij.com/products/arcgis-api-for-javascript/
Esri 社(米国)Web サイト:
・ArcGIS API for JavaScript:https://developers.arcgis.com/en/javascript/