スマートフォンを使った「市民による水辺の外来植物さがし」イベントに参加しました

皆さまは外来種が身近にどれだけいるかイメージできますか。普段散歩している公園や、近所の河原でも実は多くの外来種を見つけることができます。本ブログでは ESRIジャパンが、参加・協力した「市民による水辺の外来植物さがし」というイベントと、そこで活用した ArcGIS Online の Web アプリケーションテンプレート等についてご紹介します。

「市民による水辺の外来植物さがし」は一般社団法人生物多様性アカデミー様とNPO法人せたがや水辺デザインネットワーク様の共催によるもので、市民の方々の力を借りて東京都世田谷区の二子玉川駅近くの多摩川等の水辺で外来種の植物を調査する取り組みです。

外来種とは明治時代以降に日本に持ち込まれた生き物のことで、一部の外来種は生態系に悪影響を与えたり、農作物に被害を及ぼしたりする可能性があります。しかし、外来種がどこにどれだけ生息しているのかを調査するためには多くの労力が必要なため、研究者や行政の調査だけでは実態が十分に把握されていません。そこで、市民の方々にも調査に参加していただき、多くのデータを集める「市民科学」という手法が注目されています。

今回 ESRIジャパンは市民の方々が簡単に楽しく外来植物のデータを集められるように、ArcGIS を活用したスマートフォンによる位置情報収集とデータの可視化に協力しました。

情報収集には ArcGIS Online の Web アプリケーションテンプレートの一つである GeoForm を活用しました。GeoForm はスマートフォンで使用できる Web アプリケーションで、URL にアクセスしてフォームに入力していくだけで、初めての方でも簡単に現地で情報収集することができます。今回は見つけた外来種の位置情報の他に、見つけた場所の特徴(草刈りが全くされていない等)といった情報も入力することで、その植物がどのようなところに生息しているのかもわかるようにしました。

実際に調査に用いたフォーム_1実際に調査に用いたフォーム_2

調査に用いた GeoForm(現在はデータ入力できないように設定されています)

集めた情報は Operations Dashboard for ArcGIS でグラフと地図を組み合わせて可視化し、調査から戻った後は、イベント会場として使わせていただいた東京都市大学二子玉川夢キャンパスにて、全員で結果を共有しました。この GeoForm と Operations Dashboard の組み合わせは、以前「かわらマッピングプロジェクト」の試行イベントで、「多摩川河川敷を訪れる方々に伝えたい河原のスポット」というテーマで情報を集めた時も活用した組み合わせです。

結果を見てみると、地図の南側、多摩川沿いの護岸された場所にはアレチハナガサという外来種が大量に見つかったことや、北側の護岸されていない野川沿いにはアレチウリやオオブタクサといった外来種が見つかったこと等が可視化され、狭い範囲でも周囲の条件に合わせて植物が住み分けていることや、身近な水辺にも多くの外来種がいることがわかりました。
集めたデータを可視化
可視化に用いたOperations Dashboard for ArcGIS

調査と結果共有の様子_1 調査と結果共有の様子_2

調査と結果共有の様子

本イベント実施後、これらのツールは東京都市大学の環境学部環境創生学科の環境分析演習の授業でも活用していただき、学生の皆さまが追加で多くのデータを入力してくださいました。調査後には全員で地図を見ながら、外来種について考察することができました。

ArcGIS のアプリやテンプレートを組み合わせることで調査フォームや可視化するためのツールを作成できます。今回のような市民科学や教育に限らず、現地調査が必要な様々なシーンで地理情報を収集して可視化することができますので、皆さまも是非お試しください。

今回の調査は、データの入力時や調査終了後に、「楽しい」、「面白い」といった声も頂くことができ、とても良いものになりました。ご参加・ご協力いただいた皆さまありがとうございました。

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