シンプルでパワフルに生まれ変わった ArcGIS API for JavaScript 4.x 系の最新バージョン 4.2 をリリースしました。今回のバージョンアップではカスタム ウィジェットの作成や Arcade がサポートされるなど、いくつかの機能が追加されました。以下に、本バージョンにおける新機能、機能拡張の一部をご紹介します。
カスタム ウィジェット開発のサポート
Esri が提供するウィジェットに加えて、新しいウィジェット フレームワークを使用して独自のカスタム ウィジェットを開発できるようになりました。
このフレームワークでは、新しく追加された Widget クラス（esri/widgets/Widget）を拡張することで簡単にウィジェットを作成できます。ウィジェット開発ではウィジェットのロジックと UI を分けることで、他のライブラリやフレームワークを使用した、より柔軟なカスタマイズが可能です。さらに、UI を持たない、ロジックのみを活用したウィジェットの開発も行えます。
Arcade のサポート
Arcade は ArcGIS プラットフォームに導入された新しい式言語です。データの可視化やラベルの表示を独自に表現でき、ArcGIS Pro や ArcGIS Online、ArcGIS Runtime SDK で編集・共有・実行できるようデザインされています。また、ジオメトリの関数を提供しており、ジオメトリの作成や参照が行えるほか、将来的には面積や長さの計測、オーバーレイなどの機能も実装される予定です。
バージョン 4.2 ではビジュアライゼーションで Arcade を利用でき、より多彩な表現を容易に行えるようになりました。今後のリリースでラベリングやポップアップ コンテンツ、フィーチャのフィルタリングなどもサポートされる予定です。
点群レイヤーの追加
点群データを表示するための 点群レイヤー（esri/layers/PointCloudLayer）が追加されました。点群データは、レーザー測量で取得された LIDAR データ をもとに作成した大規模な 3D ポイント データです。
オリジナルの RGB を使用するほかに、個別値や数値分類、数値属性を連続色で表現するなど、いくつかの方法でデータを可視化できます。
その他の機能拡張/仕様変更
■ウィジェットの追加：新しいウィジェットが追加されました。これらのウィジェットは新しくサポートされたウィジェット フレームワークを使用して開発され、モダンな UX とレスポンシブデザインを実現しています。
- レイヤー リスト ウィジェット（esri/widgets/LayerList）：レイヤー リストを表示するウィジェットです。レイヤーの表示非表示を切り替えることができるほか、カスタム アクションを追加することも可能です。
- 印刷ウィジェット（esri/widgets/Print）：印刷や保存のために現在の view をエクスポートします。ArcGIS for Server が提供する印刷サービスを使用することで高品質な印刷機能を利用でき、独自のレイアウトテンプレートを設定することも可能です。
※ SceneView の印刷はサポートされていません。
■イベントハンドリングの向上：MapView（esri/views/MapView）と SceneView（esri/views/SceneView）にキーボードとポインターに関連する新しいイベントが追加されました。
- double-click：view をダブルクリックした後に発生
- drag：view でポインターをドラッグしている間に発生
- key-down：キーボードのキーが押された後に発生
- key-up：キーボードのキーが離された後に発生
- mouse-wheel：view でポインティングデバイスのホイールボタンがスクロールされるときに発生
- pointer-down：マウスボタンが押された後か、指がディスプレイをタッチした後に発生
- pointer-move：ディスプレイのマウスか指が動いた後に発生
- pointer-up：マウスボタンが離された後かディスプレイタッチが終わった後に発生
■標高クエリ API の追加：3D シーン ビューにおける標高値や Z 値を取得するための以下の 2 つの方法が提供されました。
- esri/views/SceneView.hitTest() メソッド：スクリーン上の XY 座標である ScreenPoint から地図上の Z 値を付与
- esri/layers/ElevationLayer.queryElevation() メソッド：レイヤーの標高値をもとに入力ジオメトリに Z 値を付与
その他の更新情報や新機能については、ArcGIS for Developers の ArcGIS API for JavaScript 新機能（英語ページ）をご参照ください。
■関連リンク
ESRIジャパン Web サイト：
・ArcGIS API for JavaScript
Esri 社（米国）Web サイト：
・ArcGIS API for JavaScript
Esri Japan GitHub：
・ArcGIS for Developers 開発リソース集