みなさんは IC カード(Suica や PASMO など)で電子マネーを利用したことはありますか?カードを改札機や自動販売機にかざすと、カードにチャージされている金額から使った分だけお金が消費されるという仕組みで、大変便利なものです。
ArcGIS Online では「サービス クレジット」 (以下、クレジット) という、上記と似た仕組みがあります。ArcGIS Online の組織サイトにはあらかじめ規定量のクレジットがチャージされていて、組織メンバーがジオコーディング等の解析機能を使ったり、データを保存したりすると、使用した分に応じてクレジットが消費されます。
この「使った分だけ消費」という仕組みは、大量のデータを何度も解析をしたりするような業務フローには不向きですが、初期コストを抑えたり、さまざまな機能を幅広く手軽に使いたい場合には非常に便利です。
とはいえ、クレジットは使えばなくなるものです。ここでは、クレジットの消費を管理するコツを紹介します。
■コツ 1 クレジットを消費する機能や操作を知る
クレジットが消費される機能を下記のサイトにまとめています。
▼クレジットが大量に消費される操作の例▼
・ジオコーディング (1 件で 0.04 クレジット消費)
ArcGIS Pro の [テーブルのジオコーディング] のステップ 2 で、使用するロケーターが「ArcGIS World Geocoding Service」となっている場合は、クレジットを消費します。
また、住所情報を持つファイルを ArcGIS Online のマップ ビューアーにドラッグ & ドロップで追加する際、[住所または場所] のラジオ ボタンがオンの場合クレジットを消費します。
処理の実行前には、消費されるクレジットを「件数 × 0.04」で、事前に見積もりましょう。
・データ ストレージ (100 MB のデータを保存で 1 ヶ月当たり 24 クレジット消費)
黄色いアイコンで [Feature Layer (ホスト)] と表示されているタイプのデータは、保存している期間クレジットを上記のルールで消費します。アイテム詳細ページの右下 [詳細] 項目で、データ サイズを把握できます。
保存しているデータをこまめにチェックして、不要なデータは削除するようにしましょう。
ちなみに、市区町村界などの境界データはサイズが大きくなりがちです。用途に応じて、ArcGIS Online から公開されているデータのご利用もご検討ください。
▼境界データ例▼
・標準地域 4 次メッシュ – Japan MESH4 Boundaries ECM
■コツ 2 解析を実行する前に消費するクレジットを確認する、解析対象データを絞る
ArcGIS Online のマップ ビューアーで解析ツールを使用する際、[分析の実行] ボタンをクリックすると、クレジットが消費されますが、これをクリックする前に右上の [クレジットの表示] をクリックすると、このツールによるクレジットの消費量を確認できます。
また、[現在のマップ表示範囲を使用] チェックボックスをオンにしたり、フィルター機能でマップ上に表示されるフィーチャの数を絞ることで、解析対象のフィーチャの数を減らし、消費するクレジットを抑えることができます。
■コツ 3 組織のメンバーに対して利用できるクレジット数や機能を制限する (管理者ユーザーで可能)
[組織] → [設定] タブ → [クレジット] 項目で [クレジットの割り当てを有効] チェックボックスをオンにすると、各メンバーに対し、利用できるクレジットの上限を割り当てることができます。
また、[ロール] 項目 → [ロールの作成] で、特定の解析機能しか使わせない権限を持つロールを作成することで、各メンバーが使用できる機能を絞ることができます。作成したロールは、[メンバー] タブで適用します。
■コツ 4 メンバーのクレジット消費を監視する (管理者ユーザーで可能)
[組織] → [ステータス] タブ で、いつ、どのメンバーが、何に対してどの程度クレジットを消費したかを確認することができます。管理者はこまめにこのページを見て、クレジットを無駄遣いしていないか確認しましょう。
コツ 1 のデータ ストレージにも関連しますが、上図の円グラフの [ストレージ] → [フィーチャ ストレージ] をクリック → [標準フィーチャ データ ストア] をクリック → [アイテム詳細の表示] をクリックすると、この組織内のフィーチャ レイヤーの一覧を、データ サイズが大きい順に表示します。各アイテムをクリックすると、詳細ページにジャンプして削除することもできます。右上の雲のボタンをクリックすると、一覧を csv で出力することもできます。
■それでも使い切ってしまった…
クレジットを使い切ってしまった!という場合は、1,000 クレジットと 5,000 クレジット単位で「チャージ」できます。弊社の販売代理店か、ESRIジャパン ショップにて取り扱っております。追加で購入したクレジットは 2 年間有効です。
クレジットは 1 年毎に更新され、100 クレジットを保有する組織が、残りクレジットが 99 でも 1 でも次年度は 100 クレジットを使うことができます。前年に余った分を次年度に持ち越して使うことはできません。クレジットの消費を恐れて使わずに消えてしまうのはもったいないです。クレジットへの理解を深め、ぜひ上手く使って業務にお役立てください。
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