ArcGIS Runtime SDK バージョン 100.12.0 のサポートを開始しました

geofence1

ArcGIS Runtime SDK (Android/iOS/.NET) の最新バージョン 100.12.0 を 9 月 30 日に国内サポート開始しました。この記事では、バージョン 100.12.0 で追加された主要な機能や変更点について紹介します。

各 SDK (Android/iOS/.NET) 共通のアップデート内容

Geotrigger API

新しい Geotrigger API が導入されました。

Geotrigger を使用すると、GIS データをリアルタイムで監視し、デバイスがエリアに入ったときや出たときに、デバイスが通知を受け取ることができます (ジオフェンスとも呼ばれる機能です)。

Geotrigger を使用すると、配達物が到着しそうなときに顧客に通知したり、運転制限区域に入ったときにドライバーに警告したりなど、さまざまなことができます。

Geotrigger API は、シンプルな API を提供し、GIS データとしてフェンスを管理でき、自分でコーディングする手間を省く利点があります。今後のリリースで機能も拡張されていく予定です。Geotrigger API の詳細は各SDK (Android/iOS/.NET) のドキュメント (英語) をご参照ください。

geofence1

モバイルジオデータベース

ArcGIS Pro (バージョン 2.7 以降) で作成されたモバイル ジオデータベース (*.geodatabase ファイル) のサポートが導入されました。モバイル ジオデータベースは、表示と編集の両方をサポートし、フィーチャ サービスを必要としない新しいオフライン編集ワークフローが利用可能になりました。

モバイル ジオデータベースでは次の機能をサポートしています。

・空間テーブルと非空間テーブル
・アタッチメント
・リレーションシップ
・アノテーション
・ドメイン
・サブタイプ
・ビュー

モバイル ジオデータベースの表示には ArcGIS Runtime の Lite ライセンス、編集には Basic ライセンスが必要です。

mobile_geodatabase

トゥルーカーブのサポート拡張

バージョン 100.11.0 では、ArcGIS Pro で作成したモバイル マップ パッケージがソースとなるフィーチャ レイヤーでトゥルーカーブのフィーチャを選択、クエリする機能が導入されました。

100.12.0 では、トゥルーカーブを含むジオメトリを作成および編集するための API が追加されました。また、ArcGIS Enterprise のフィーチャ サービスでトゥルーカーブを操作する機能も追加されました。

curves

ポイント シーン レイヤーのクライアントサイド ラベリング

ポイント シーン レイヤーは、シーン サービスまたはモバイル シーン パッケージにラベリング情報を含めて公開できます。バージョン 100.12.0 では、シーン サービスに含まれるラベリング情報を使用して、ポイント シーン レイヤー内のポイント フィーチャの動的なクライアントサイド ラベリングをサポートしました。

アノテーションの機能拡張

Annotation Layer と Annotation SubLayer が強化され、アノテーション テキストとのフィーチャ指向の対話を可能にするプロパティとメソッドが追加されました。これにより、アノテーション レイヤーの定義式の設定、個々のアノテーション フィーチャのテキストの選択、表示/非表示の設定などが可能になりました。

従来のジオコード ロケーター形式のサポート終了

新しいジオコード ロケーターは、ArcGIS Pro 2.3 の [ロケーターの作成] ジオプロセシングツールで導入され、ArcGIS Runtime バージョン 100.5 でサポートされました。新しいロケーターは、*.loc および *.loz ファイルで構成されており、より小さく、より速く、より簡単に管理でき、ArcGIS システム全体で一貫性があります。ArcGIS Runtime SDK はバージョン 100.11 が従来のジオコード ロケーター (*.loz ファイルを含まない) をサポートする最後のバージョンのため、バージョン 100.12 ではサポートされません。

※ ESRIジャパン データコンテンツの住所製品 (住居レベル住所・街区レベル住所) は従来のロケータ形式で提供されており、これらの製品を ArcGIS Runtime SDK で使用されている場合は、ArcGIS Runtime SDK バージョン 100.11 以前をご利用ください。また今後の住所製品で新しい形式のロケーターを提供し、ArcGIS Runtime SDK バージョン 100.12 以降でも対応するようになる予定です。

各 SDK (Android/iOS/.NET) のアップデート内容

実行環境など、各製品固有のアップデート内容をご案内します。

ArcGIS Runtime SDK for Android

実行環境

・Apache HTTP ライブラリがバージョン 5.0.4 にアップグレードされています。
・Android エミュレータおよび Android デバイスで x86_64 x86_64 (64 bit) Intel/AMD チップセットをサポートするようになりました。詳細については、「Reducing your APK size」を参照ください。
・サーバで OAuth2 PKCE (Proof Key for Code Exchange) がサポートされている場合、OAuth2 PKCE を自動的に使用するようになりました。
・Apache HTTP ライブラリがバージョン 5 にアップグレードされ、SLF4J (Simple Logging Facade for Java) ライブラリへの依存関係が含まれるようになりました。ArcGIS Runtime アプリケーションを実行すると、コンソール ウィンドウに SLF4J クラスの読み込みに失敗する警告が表示される場合があります。詳細は、「リリースノート」 (英語) をご参照ください。

ArcGIS Runtime SDK for iOS

今回のリリースに伴うシステム要件等の変更はありません。

ArcGIS Runtime SDK for .NET

実行環境

・WPF API の .NET Core 3.1 LTS および .NET 5 のターゲットのサポートが非推奨となりました。次のバージョンでは .NET 6 が必要となります。.NET Framework 4.6.1 以降は引き続きサポートされます。
・Windows アプリの開発とデプロイの最小バージョンが、Windows 10 バージョン 1909 に更新されました。

API リファレンスの更新

各 NuGet パッケージやターゲット フレームワークまたはプラットフォームで利用可能な API をより正確に示すようにリファレンスが更新されました。例えば、Esri.ArcGISRuntime.WPF パッケージを使用して WPF UI フレームワークを使用する場合、.NET Framework、.NET Core 3.1、.NET 5 別に API リファレンスを参照できるようになりました。各ページの [Applies To] セクションには、API が使用可能なフレームワークと、API が最初に使用可能になった ArcGIS Runtime SDK のバージョンがリストされています。

Local Server

ArcGIS Runtime Local Server もバージョン 100.12.0 がリリースされています。ArcGIS Runtime Local Server 100.12.0 を利用する場合は、ArcGIS Runtime SDK for .NET も同一バージョンをご利用ください。

.NET 固有の変更点の詳細は Esri Community の「Announcing ArcGIS Runtime SDK for .NET 100.12」の記事 (英語) でも紹介されていますので、併せてご確認ください。

本記事では主要な項目についてご紹介しましたが、各 SDK の詳細な情報は下記のリリース ノート (英語) をご覧ください。

■関連リンク

米国Esri社 ブログ

ArcGIS Runtime SDK

フォローする