ArcGIS API for Python バージョン 2.2.0 をリリースしました!

ArcGIS API for Python の最新バージョン 2.2.0 を 2023 年 9 月 25 日 (日本時間 2023 年 9 月 26 日) にリリースしました。本記事ではアップデートされた主な内容をご紹介いたします。

アップデートされた主な内容

ArcGIS Experience Builder のサポート

バージョン 2.2.0 では、ArcGIS Experience Builder での処理に特化したモジュールが追加されました。WebExperience クラスを使用すると、作成、保存、公開、削除、クローン作成、プレビューなど、ポータルおよびローカルのエクスペリエンスに対してさまざまな操作を実行できます。詳細はガイドAPI リファレンスを参照してください。

Core API

今回のアップデートでは、API のセキュリティと全体的なパフォーマンスを強化するために、ライブラリの依存関係のいくつかをアップグレードしました。例えば、Pandas 2.0.0 へのアップグレードは、DataFrame インデックスをより効率的にする低メモリの NumPy dtypes を含む、すべての pandas dtypes と API の互換性を高めます。また、Python のバージョン 3.9 ~ 3.11 がサポートされたため、ArcGIS API for Python の使用時に Python コア言語の速度とパフォーマンスの向上を活用できます。

管理機能

GIS 管理者にとっての複雑な操作の自動化および簡素化を支援する新しいクラス、メソッド、およびプロパティが追加されました。
ArcGIS Online の管理者は、DataStoreMetricsManager クラスを使用して、リソースの使用状況やさまざまなフィーチャ データ ストアの統計情報を取得できるようになりました。また、UX クラスの clone() メソッドを使用して、組織全体の外観の設定を複製できるため、個別に設定を構成することなく、組織を即時またはオフラインでステージングできます。詳細はリリースノートの admin サブモジュールのセクションをご参照ください。

コンテンツ管理

今回のアップデートでは、新しい recyclebin プロパティが追加され、ArcGIS Online に追加予定のゴミ箱* の機能拡張を活用できるようになりました。これにより、ヒューマン エラー、自動化ワークフローのミス、意図しないコード エラー、または悪意のある外部イベントによって失われたコンテンツのバックアップと復元が可能になります。

* ゴミ箱は、今後の ArcGIS Online アップデート以降に使用できるようになります。それまでは、recyclebin プロパティにアクセスしてもクラスは返されません。

また、ArcGIS Survey123ArcGIS StoryMapsWeb シーンArcGIS Experience Builder、および ArcGIS Dashboards アイテムが clone_items() メソッドでサポートされるようになり、コンテンツの移行がより強化されました。さらに、よく使うアイテムを整理してアクセスできるようにブックマークできる、favorite プロパティを追加しました。また、RasterCollection.from_stac_api() メソッドと Raster.from_stac_item() メソッドに STAC データセットを扱う機能が追加されました。

GIS サービス

BigInteger、TimeOnly、DateOnly、TimestampOffset などの新しい ArcGIS サービス データ型がサポートされました。また Places サービス (ベータ版) をサポートする PlacesAPI クラスを追加しました。

ArcGIS Knowledge のサポート

ナレッジ グラフの管理を自動化する機能が追加されました。ArcGIS Knowledge Server に接続する際に、エンティティやリレーションシップの追加、編集、削除、データモデルの編集、バインド パラメーターを使用した高度なクエリの実行など、さまざまな操作を実行できるようになりました。詳細はガイドおよび API リファレンスをご参照ください。

解析とデータサイエンス

Spatially Enabled DataFrame (SeDF) を使用すると、ArcGIS のフィーチャ レイヤー、フィーチャクラス、シェープファイル、GeoJSON などを簡単に pandas の DataFrame に変換できます。バージョン 2.2.0 では、GeoAccessor クラスにある pandas.DataFrame.eq() メソッドを使用して、2 つの SeDF 間を比較して等しいかどうかをテストする機能を追加しました。この種の機能は、SeDF のコピーとマスターバージョンを比較したり、SeDF の新しいバージョンに更新されたセル値、新しい行、新しい列があるかどうかをチェックしたりするようなタスクに便利です。また、Dask DataFrames の並列処理機能を Spatially Enabled DataFrame にもたらす GeoDaskSpatialAccessor クラスと GeoDaskSeriesAccessor クラスを追加することで、SeDF とビッグデータの統合を拡大しました。

arcgis.learnモジュールに新しい機能を追加することで、GeoAI(機械学習とディープラーニング)の分野で革新と進化を続けています。今回のリリースのハイライトは以下の通りです。

  • 時系列モデルでLong Short-Term Memory (LSTM) アーキテクチャをサポート
  • GPU容量、モデルのサイズ、データのサイズに基づいて適切な学習サンプル数を選択するのに役立つ新しい estimate_batch_size() メソッドの追加
  • 3Dオブジェクト検出のための MMDetection3D クラスの追加
  • マルチモーダル機械学習のサポート(ベクター/表形式+テキスト+画像)
  • 機械学習システムにおける公平性に対処するためのオプション

ドキュメントの更新

多くのドキュメントの追加や更新も行われています。主なドキュメント更新は以下の通りです。

その他にも機能の更新や不具合の修正等が行われています。新機能や不具合修正等の詳細は、「リリース ノート」をご参照ください。

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