【WhereNext】マリオットのリスク監視

要約:マリオットは、2種類のロケーション・インテリジェンスをシンプルに統合することで、リスクをグローバルに把握し、重要なビジネス上の意思決定のバロメーターを作成しました。

今日の相互接続された市場では、多くの企業が広大なエリアにわたるリスクを集中的かつ体系的に監視し、影響を軽減する必要があります。場当たり的に危機に対処していくという選択肢はありません。多くの組織にとって、リスクマップは世界中の脆弱性を監視する最も効果的な方法となっています。

地理情報システム(GIS)技術に基づいて構築されたリスク マップは、単一のダッシュボード上に一企業の全資産を表示し、場所ごとの脅威を表示することができます。データレイヤーを切り替えることで、経営層は、気候リスク、公衆衛生上の脅威、犯罪傾向、地政学的事象などを評価し、より長期的な洞察をすることができます。

世界139カ国に約8,700のホテルを展開するホテルチェーンのマリオット・インターナショナルでは、「リスク・アトラス」と呼ばれる社内のリスク マップが、経営層や意思決定者にとって重要なツールとなっています。

マリオットのグローバル・インテリジェンス・ディレクターのモーガン・ディブルは話します。「私たちのような業務をする人にとっては、スプレッドシートを見飽きた人が多いです。脅威情報をより興味深く、消化しやすく視覚化する方法をリスク・アトラスで作成しました。」

ディブル氏と彼のチームによって作成された「マリオットのリスクマネジメントの統一ビジョン」であるリスク・アトラスのダッシュボードは、GIS技術とリアルタイムのアラート監視サービスを統合したものです。GISデータをソーシャルメディアのアラートやニュースレポートで補完することで、グローバル・インテリジェンス・チームは、マリオットのビジネスに影響を与える可能性のあるトレンドの動向を監視しています。こうした洞察により、ディブル氏とチームはさまざまな地域や施設にリスクスコアを割り当てることができます。これは、投資や適地選定の決定を促すローケーション・インテリジェンスです。

マリオット・インターナショナルの事業規模から、リスク管理には2つのアプローチが必要です。グローバル・セキュリティ・オペレーション・センター(GSOC)は、危機や緊急事態にリアルタイムで対応するための先陣を切る部署で、大規模な組織では一般的になりつつあります。

ディブルのグローバル・インテリジェンス・チームは、大局的かつ戦略的な視点からデータを分析し、経営層レベルでの長期的な意思決定を導き、利害関係者とコミュニケーションを図っています。

「私たちは、グローバルにマッピングされた資産を見ることができ、アラートへの近接性を見ることができます。」とディブルは説明します。

リスク・モニタリングの社内導入

ディブル氏は、CIOの標準的な質問である、コストのかかるIT作業なしにGISとリアルタイム・アラート・サービスのテクノロジーを統合できるかという質問に対して、意外な答えを見つけました。ディブル氏はプログラミングの素養がないにもかかわらず、標準的なAPIを使って統合を実現することができました。

このシンプルな統合により、ディブル氏はリスク・アトラスを実質的にゼロから構築し、マリオットの目的に合わせてカスタマイズし、新たなリスクや新しい不動産の出現に合わせて適応できるようにしました

気候リスク評価を社内で行うことは、コンサルタントを雇うよりも費用対効果が高いことが証明されています。また、より信頼性の高い最新の操業状況を把握することもできます。例えば、ディブル氏のチームは、新しく発表された気候レポートからデータを取り込み、マリオット・インターナショナルの各拠点の潜在的な危険性を即座に読み取ることができます。この情報は、洪水や暴風雨に関するリアルタイムのアラートと連動して、気候の影響が増大している地域での投資決定に役立ちます。

PwCの最新ホスピタリティレポートによると、社会不安が世界的に根強い中、ホテルオーナーは地政学的緊張を常に把握する必要があり、これが2024年の業界の見通しを形成する要因になるそうです。政争が不安定な国のリスクスコアは、マリオットがその国に新しいホテルを建設するかどうかの判断に影響するかもしれません。

ホテルは、宿泊客とホテル自身の資産の両方を守ります。GISリスクマップと信頼性の高いアラートで脅威を包括的に把握することで、ホスピタリティ企業の経営層は、顧客、ブランド、事業継続のために適切な意思決定を行うことができます。

この記事は WhereNext のグローバル版に掲載されたものです。 原文: 【WhereNext】マリオットのリスク監視