ドローンは、アクセスが難しい場所の点検に非常に有用です。ArcGIS Drone2Map(以下、Drone2Map)を使用すると、ドローンで撮影した画像を基に設備の状態を迅速に確認し、意思決定を行うことができます。本ブログでは、そんな点検業務で活用できる Drone2Map の検査ツールについてご紹介します。
検査ワークフロー
Drone2Map は、ドローンで撮影した画像を処理し、オルソモザイク、標高データ、点群、3D メッシュを作成するアプリケーションです。これら成果物とフライト画像を基に Drone2Map の検査ワークフローを行うことができます。各フライト画像を確認しながら検査フィーチャを描画してフィールドを入力します。検査した結果はレポートとして出力でき、検査に使用したフィーチャのスキーマは次回の分析時に再利用することが可能です。
Drone2Map の検査セッション
Drone2Map で検査ワークフローを実行するには、検査セッションを開始します。[分析] タブの [検査] ボタンをクリックすると、[検査] タブが表示され、検査セッションを開始できます。画像の調整を行わずに開始することもできますが、機能が制限されるため調整を行ってから実行することをお勧めします。
検査フィーチャ
検査セッションでは、検査フィーチャを使用して検査を行います。検査フィーチャは、[検査] タブの [新しい検査] をクリックすると作成またはインポートして設定することができ、新規スキーマを設定または既存スキーマを使用してフィールドを設定します。スキーマの設定ではドメイン設定も可能なので、ドロップダウンから事前設定された値を選択することで迅速に点検作業を行うことができます。
点検作業の実行
- 検査フィーチャの準備ができたら、マップと [検査ビューアー] で各画像を確認します。[検査ビューアー] の下部にはフライト画像がリストされ、選択された画像が上部に表示されます。
各画像を順に表示しながら確認することもできますが、既に気になるエリアがある場合は、[検査] タブの [ポイントでフィルター] を使用してマップ内の気になるエリアが撮影されている画像のみにフィルターすることができます。
- 点検する地点を画像で確認したら、[検査エディター] から点検するフィーチャを選択し、[検査ビューアー] で描画します。現在サポートされているのはポリゴン、ポイント、距離や面積、高さの計測です。
- [検査ビューアー] の [スナップショットの作成] をクリックしてから [検査エディター] の [作成] をクリックします。
[スナップショットの作成] をクリックすると、検査フィーチャと画像を関連付けることができます。スナップショットは複数の画像に対して行うことができるため、撮影角度が異なる画像をレポートに示すことができます。マップには検査フィーチャが表示され、点検した場所を確認できます。
[検査] タブの [検査テーブル] をクリックすると、点検したフィーチャの一覧を表示され、選択して編集することもできます。
検査レポート
点検が完了したらレポートを作成します。
[検査] タブの [検査レポート] をクリックすると、検査レポートの作成が実行されます。レポートには、各検査フィーチャの詳細とスナップショットが含まれています。Drone2Map プロジェクトの < Products\Inspection\Report > フォルダーに PDF として出力されるため、そのままチーム内での共有ができます。[検査プロパティ] でレポートのタイトルやサマリー、ロゴの指定を行うこともできます。
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検査レポート以外にも [共有] タブの [フィーチャ レイヤー] や [Web マップ] を使用することで ArcGIS Online や ArcGIS Enterprise ポータル サイトに共有してブラウザ上でも点検結果を確認することができます。
Drone2Map の検査ワークフローの詳細については「検査ツールの使用」をご参照ください。
おわりに
ArcGIS ドローン マッピング製品には、Drone2Map の他にもクラウド ベースのアプリケーションとして Site Scan for ArcGIS があります。Site Scan for ArcGIS でもドローンで撮影した画像を処理し、2D/3D データの生成から共有、設備点検を簡単に行うための強力なツールを提供しています。Site Scan for ArcGIS の検査ツールは住家被害認定調査でも活用されており、これらの製品を使用することでドローン画像から迅速かつ簡易なデータ収集と分析が可能になります。
ドローン マッピング製品をお持ちでない場合は、トライアル版でお試しいただけます。ぜひご利用ください。