ArcGIS Experience Builder (2025 年 2 月アップデート) の新機能

アイキャッチ画像 (ArcGIS Experience Builder)

ノーコードで柔軟な Web アプリを作成できる ArcGIS Experience Builder (以下、「Experience Builder」) が 2025 年 2 月 26 日 (日本時間 2025 年 2 月 27 日) にアップデートされました。今回のアップデートでは、新しいウィジェットが追加されたほか、既存のウィジェットの機能強化も複数実装されましたので、ご紹介します。

また ESRIジャパンでは、Experience Builder の簡単な利用ガイドとして、ArcGIS StoryMaps で作成されたストーリー マップ「ArcGIS Experience Builder を始めよう!」を公開しています。こちらも是非合わせてお読みください。

新しいウィジェット

方向付き画像ビューアー ウィジェット

方向付き画像ビューアー ウィジェットを使用すると、360 度画像など、任意の角度から撮影された画像を含む方向付き画像レイヤーをマップまたはシーンで視覚化できます。また、画像内で距離、高さ、面積を計測する機能や、フィーチャを画像内で表示し、新しく作図する機能なども含まれています。詳細については、ブログ記事 (英語) をご参照ください。

また、従来の方向付き画像ウィジェットは「方向付き画像 (classic) ウィジェット」に名称が変更になり、将来的にリタイアとなる予定です。

処理テンプレート ウィジェット

イメージ レイヤーには、視覚化と解析のための処理テンプレート (ラスター関数テンプレート) が設定されている場合があります。処理テンプレート ウィジェットを使用すると、以下に示す Sentinel-2 10m Land Use などのイメージ レイヤーで、樹木のみを表示するなど、イメージ レイヤーの表示を対話形式で変更できます。

フロー行ウィジェット

12 列に分割される行ウィジェットと異なり、フロー行ウィジェットではコンテンツを連続した行に配置できます。このウィジェットを使用すると、様々なウィジェットを水平方向に並べて配置できます。例えば、下のイメージのように、画像ウィジェットボタン ウィジェットなどのページ要素と、テキスト ウィジェットによる説明をすっきりと並べて配置することが可能です。また、フロー行ウィジェットは Web AppBuilder Classic テンプレートであるローンチパッドにフル モードと高速モードの両方で追加されました。

既存ウィジェットの機能強化

近隣検索ウィジェット

ArcGIS Web AppBuilder のスクリーニング ウィジェットや状況認識ウィジェットのように、近隣検索ウィジェットでレポートを生成する機能を求める声が、これまで多くのユーザーから寄せられていました。今回のアップデートでは、このレポートの生成機能が利用できるようになりました。これにより、マップと検索結果の一覧を簡単に PDF 形式で出力することが可能です。詳細については、ブログ記事 (英語) をご参照ください。

マップ レイヤー ウィジェット

マップ レイヤー ウィジェットには、すべてのレイヤーの表示/非表示の切り替えや、すべてのレイヤーの展開/折りたたみなど、多くの機能が追加されました。

その他に、レイヤー リストへのテーブルの追加、スライダーを使用したレイヤーの透過表示調整、データの追加ウィジェットなどを使用して追加されたレイヤーの表示などが可能になりました。

マップ ウィジェット

マップ ウィジェットにおける 2D マップにおいて、スライダーまたはドロップダウン メニューを使用し、ユーザーがズームできる縮尺範囲を設定できるようになりました。ArcGIS Web AppBuilder と同様に、カスタム縮尺を直接入力して設定することもできます。

テーブル ウィジェット

テーブル ウィジェットで添付ファイルを表示できるようになりました。また、添付ファイルを含むレイヤーに対して編集権限がある場合は、添付ファイルを追加、更新、削除することも可能です。

テキスト ウィジェット

テキスト ウィジェット内に直接画像を挿入し、テキストと合わせて適切に配置できるようになりました。スプラッシュ画面やアプリの使用方法を記載する場合に最適です。サポートされている画像形式は、PNG、GIF、JPG、JPEG、BMP、WebP です。

リスト ウィジェット

以前は、同じデータ ソースからのデータ ビューを切り替えると、リスト ウィジェットの設定と書式設定が失われ、設定を再構成する必要がありました。今回のアップデートで再構成は不要になり、データ ビューを切り替えるときにすべての設定と書式設定を保持するようになりました。この機能強化は、グラフ ウィジェットやテキスト ウィジェットなどの他のウィジェットでも同様に適用されます。

データの追加ウィジェット

データの追加ウィジェットでは、一度に複数のファイルをアップロードできるようになりました。また、パネルのサイズ変更や検索結果の並べ替えに対応し、データをより簡単に見つけることができます。

検索ウィジェット

検索ウィジェットでは、マップに複数の検索ソースが設定されている場合、ウィジェットにドロップダウン メニューとして検索ソースが表示されます。新しく追加された [検索ソースの選択を許可] オプションを無効にすることで、ドロップダウン メニューを非表示にし、設定されているすべての検索ソースを使用して検索することができます。

ルート案内ウィジェット

ルート案内ウィジェットでは、ストップやバリアなどの条件を追加し、マップ上でルートを直接編集できるようになりました。また、距離の表示に必要な計測単位 (メートル法またはヤード・ポンド法) が選択可能です。さらに、ロケーターに加えて、ポイント レイヤーを検索ソースとして追加することもできるようになりました。

編集ウィジェット

編集ウィジェットでは、新しいグリッド オプションを使用して、マップに重ねて表示されるグリッドにスナップしたり、正確にフィーチャを配置したりできるようになりました。

描画ウィジェット

編集ウィジェットと同様に、描画ウィジェットにもツールチップとスナップの設定が追加されました。

クエリ ウィジェット

これまでクエリ ウィジェットでは、検索結果から統計情報を表示するには、結果の各フィーチャを個別に選択する必要がありましたが、今回のアップデートでクエリ ウィジェットの選択アクションを使用して、読み込み済みのすべてのフィーチャを一括で選択できるようになりました。

その他全般の機能強化

エクスポート設定

[データ] パネルの新しい [エクスポート設定] を使用して、データのエクスポートのオプションを構成できるようになりました。たとえば、GIS にあまり詳しくないユーザーを対象としているアプリの場合、CSV ファイルでのみダウンロードできるようにするなど設定ができます。また、機密性の高いデータを扱う場合は、すべてのレイヤーに対して一括でエクスポート機能を無効にすることもできます。

アクセシビリティ

今回のアップデートでは、次の機能が改善されました。

  • テーマ設定では、アプリ ページのどの対話型要素にキーボード フォーカスがあるかを示すフォーカス インジケーターの色を変更できます。
  • アクセシビリティがアコーディオン ウィジェットでサポートされました。
  • アクセシビリティがフィルター ウィジェットで構成されるカスタム フィルターでサポートされました。
  • ArcGIS Online で利用できる新しい Job Hunting (A11Y) パブリック テンプレートは、キーボード操作やスクリーン リーダーのラベルなど、アクセシビリティの高い操作を提供するように特別に設計されています。

アクセシビリティの向上のため、現在、アプリの作成には、折りたたみ可能、プラトー、タブ、ローンチパッド、ダート、ジュエリーボックス、ポケット、ビルボードなどのテンプレートを使用することをおすすめしています。詳細については、アクセシビリティをご参照ください。

その他

アプリを構成する際、マップ ウィジェットで多数のレイヤーを読み込む場合の時間が改善されました。さらに、編集画面上部にある [その他] をクリックすることで、アプリのドラフトと公開済みのそれぞれに QR でアクセスできるようになりました。また、FAQ およびブース テンプレートなどの新しいテンプレートも追加されました。

おわりに

今回のアップデートでは、方向付き画像レイヤーをより多機能で効果的に扱える方向付き画像ビューアー ウィジェット、イメージ レイヤーへの処理テンプレートの適用と視覚化を簡単に行える処理テンプレート ウィジェット、そして、ページ要素を水平方向にわかりやすく整理できるフロー行ウィジェットの 3 つが追加され、既存のウィジェットの機能強化も多数実装されました。今後も新しいウィジェットおよび機能強化が予定されていますので、成長を続ける ArcGIS Experience Builder をぜひご活用ください。

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