【WhereNext】ブラジルのバイオエネルギー企業が挑む、持続可能な農業と業務効率化

ブラジルの広大なサトウキビ畑では、かつて野焼きや手作業による収穫が主流でした。しかし、現在では約 95% が機械化され、農業の現場は大きく進化しています。その変革の最前線に立つのが、bp bioenergy 社です。 同社は、数千ヘクタールの耕作地を管理しており、年間最大 170 万トンの砂糖、170 万リットルのエタノール、1,400 ギガワット時の電力を生産する能力を持ち、5 つの州にまたがる 11 の拠点で事業を展開しています。

これほど大規模なオペレーションを効率的かつ安全に運営するために、bp bioenergy 社が選んだのが Esri の GIS(地理情報システム)でした。

現場の「見える化」で変わる意思決定

bp bioenergy 社では、GIS を活用して農地の状態や作業の進捗をリアルタイムで把握できるようにしました。これにより、以下のような成果を上げています。

  • 作業の安全性向上:作業員や機械の位置を可視化し、事故リスクを低減
  • コスト削減:作業の重複や無駄を排除し、燃料や人件費を削減
  • スピードアップ:収穫や施肥のタイミングを最適化し、生産性を向上
  • 契約管理の効率化:外部業者の作業内容や支払いを GIS で一元管理

これらの取り組みは、単なる業務改善にとどまらず、持続可能な農業の実現にも貢献しています。

23 の業務アプリケーションに広がる GIS 活用

bp bioenergy 社では、GIS を活用した業務アプリケーションが 23 種類にのぼります。これらは、農地の管理から作業員の配置、契約業者の支払い管理に至るまで、企業全体のオペレーションを支える重要な基盤となっています。

たとえば、Moema拠点では、契約業者が行うサトウキビ畑での作業内容を GIS で正確に記録し、それに基づいて支払いを行っています。これにより、作業の透明性が高まり、支払いの正確性も向上しました。

GIS コーディネーターのミゲル・プリエト氏は、「GIS があれば、すべてが順調に進んでいることを証明できる」と語ります。

きっかけは社内の「友好的な競争」

この取り組みの出発点は、社内の 2 人の同僚による「どちらがより効率的な方法を見つけられるか」という友好的な競争でした。Carlos Mondio 氏(アグロインダストリアル・コントロール部門のコーディネーター)は、Moema 拠点の責任者として、契約業者の作業と支払いを管理しています。

彼のチームでは、GIS を活用して作業の進捗をリアルタイムで把握し、現場での意思決定を迅速に行えるようになりました。これにより、作業の遅延や重複を防ぎ、全体の効率が大幅に向上しています。

デジタル変革がもたらす未来

bp bioenergy 社の事例は、単なる技術導入にとどまらず、企業文化や業務プロセスそのものを変革する「デジタル変革」の好例です。GIS は、現場の状況を「見える化」するだけでなく、経営層の意思決定を支えるデータ基盤としても機能しています。

同社のように広域にわたる農地を管理する企業にとって、GIS はもはや「あると便利なツール」ではなく、「なくてはならない経営インフラ」となっています。

この記事はWhereNext のグローバル版に掲載されたものです。
原文: Operational Efficiency, Location Intelligence Yield More Security and Savings