IoT センサーやデータ ソース、その他 API などからデータを取り込み、リアルタイムのデータ フィードを処理、視覚化、解析することができる ArcGIS Velocity がアップデートされました。ここでは、2025 年 6 月のアップデートで追加された以下の新機能や機能強化をご紹介します。
- フィード
- VECTRONIC Aerospace フィード タイプを使用し、VECTRONIC Aerospace Inc の野生動物追跡用首輪から GPS (グローバル ポジショニング システム) データにアクセスします。野生動物の位置を監視して、リアルタイムに動きを分析できます。
- PreCise MRM から車両と自動車両位置 (AVL) のデータをすばやく取り込み、PreCise MRM フィード タイプを使用して、車両管理をサポートできます。
- HAAS Alert フィード タイプは、緊急車両の位置、作業区域、その他の道路の危険に関するデータを提供できます。
- 統合
- Trimble Unity Maintain を ArcGIS Velocity と統合すると、現場のイベントやトリガーからのリアルタイムの作業指示の自動化が可能となります。
- 解析
- フィーチャ → ポイント ツールを使用し、マルチ ポイント、ポリライン、ポリゴン、またはエンベロープ ジオメトリからポイントを動的に生成し、不要なジオメトリ データを削減できます。
- トラッキングの遅延と順序変更 ツールを使用し、順序が正確ではないデータを即座に修正できます。
目次
フィード

VECTRONIC Aerospace フィード タイプ
VECTRONIC Aerospace フィード タイプを使用すると、同社が提供する野生動物追跡用首輪から ArcGIS Velocity に GPS (グローバル ポジショニング システム) データを取り込むことができます。フィードのデータは、動物のいるエリア内に入っているドライバーへ注意を促し、速度を落とすよう警告するダイナミック メッセージ サイン (DMS) の更新に使用できます。プランナーやステーク ホルダーは、移動データを活用して、安全で持続可能な野生動物の通り道を設計することもできます。
注目すべきプロジェクトの 1 つに、ネブラスカ州運輸局 (NDOT) のプロジェクトがあります。ネブラスカ州運輸局 (NDOT) は、ビックホーン シープに装着した VECTRONIC の首輪から得られたデータを、野生動物の横断エリアの新設に役立てました。このプロジェクトにより、ビックホーン シープの動きを追跡することで、野生動物と車両の衝突事故を減らすことができました。
詳細については、ブログ (Real-Time Data Feeds of Bighorn Sheep Locations Protect Motorists and Animals) をご覧ください。
この新しいフィード タイプとサポートされている 6 つのイベント データ タイプの構成については、VECTRONIC Aerospace のドキュメントをご覧ください。
PreCise MRM フィード タイプ
PreCise MRM フィード タイプは、PreCise MRM が提供する自動車両位置情報 (AVL) とテレマティクス データを接続する統合機能です。車載デバイスから、車両の位置、速度、アクティビティー、機器の状態などのリアルタイム データを提供します。この統合機能は、公共事業、建設、公益事業において、車両追跡、資産管理、ドライバーの法令順守、資材使用レポートといったユースケースに役立ちます。例えば、市の公共事業部は除雪車の活動状況を監視し、公益事業会社は修理作業員を追跡し、建設会社は機器の使用状況を監督することができます。
HAAS Alert フィード タイプ
HAAS Alert フィード タイプは、HAAS Alert のセーフティー クラウドをデジタル アラートとして活用することで、道路の安全性と状況認識を向上させることができます。自動車、政府機関、法執行機関、消防・救急隊、公益事業、運輸省、その他の営利団体など、交通関連部門で働くすべての人が、HAAS Alert フィードを利用することで、緊急車両や作業区域などの危険情報を近くのドライバーに知らせることができます。
この新しいフィード タイプの設定と危険の種類の詳細については、HAAS Alert のドキュメントをご覧ください。
警察のパトカーや消防車、救急車などの緊急車両がライトを点灯すると、一般市民に注意を促すサインとなり、救急隊員と一般市民の安全が確保されます。HAAS Alert は、これらの非常灯が作動した際の通知を送信するため、各機関と連携しています。このデータは、地図や警報を利用して緊急車両の現在地を監視できる運輸局など、様々な組織にとって有益な情報です。この情報は、状況認識を向上させるだけでなく、職員への情報提供にも活用でき、救急隊員と一般市民の安全に寄与します。
統合
ArcGIS Velocity に Trimble Unity Maintain を統合することで、リアルタイムでビッグデータ解析が可能となり、受信したイベントに基づいて作業指示書を自動生成できます。ユーザーは作業指示書やタスクを手動または動的に割り当て、受信したデータを Trimble のスキーマにマッピングすることで、完全な可視性でメンテナンス活動を追跡できます。インフラ監視、緊急対応、資産管理に最適です。
例えば、公益事業会社はこの機能を使用してセンサーを監視し、高温を検知するとメンテナンス作業指示書を自動的に発行できます。暴風雨の後に、洪水データを解析し、事前に定義された閾値を超えた場合に対策チームを派遣することもできます。これらの機能を使い始めるには、Trimble からユーザー アクセス認証情報を取得してください。
解析
フィーチャ → ポイント ツール
フィーチャ → ポイント ツールは、ポリゴン フィーチャの重心を計算し、重心をリアルタイムで表示できます。例えば、ハリケーンを表すポリゴン フィーチャをポイントの重心に縮小することで、嵐の目全体を表現できます。
数千もの頂点を持つポリゴンまたはポリライン フィーチャは、リアルタイム解析のパフォーマンスに影響を与える可能性があります。マルチ ポイント、ポリライン、ポリゴン、またはエンベロープ フィーチャをポイントに縮小することで、イベント記録のスループットとストレージ パフォーマンスが向上します。
トラッキングの遅延と順序変更 ツール
トラッキングの遅延と順序変更 ツールは、リアルタイムの位置情報のプライバシーと、順序が乱れたトラックベースのデータの課題に対応します。リアルタイムの位置表示を遅延させることで、機密情報の安全性を確保します。ベンダーやセンサー API によっては、提供されるトラックベース のデータは順序通りでない場合があり、リアルタイム解析に問題を引き起こすことがあります。トラッキングの遅延と順序変更 ツールは、データの並べ替えを可能にし、指定された時間枠内においてタイム スタンプ順で正確に整理できます。このツールは、バッチで受信したフィーチャ データを処理する際、完全なバッチが取得されるまで処理を遅延させ、その後にタイム スタンプ順にイベントを並べ替えます。この機能により、リアルタイム解析の効率と精度が大幅に向上し、ArcGIS Velocity における意思決定とパフォーマンスの向上のための構造化されたタイムリーなデータを提供します。
参考情報
詳細については、ドキュメントの新機能をご参照ください。製品に関するアイデア、拡張機能、機能に関する要望がある場合は、Esri Community の ArcGIS Velocity Ideas に投稿をお願いします。ArcGIS Velocity の詳細については、製品ビデオ、チュートリアル、ドキュメントなど、利用可能なリソースをご覧いただければと思います。
関連リンク
米国 Esri ArcGIS ブログ:
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