IoT センサーやデータ ソース、その他 API などからデータを取り込み、リアルタイムのデータ フィードを処理、視覚化、解析することができる ArcGIS Velocity がアップデートされました。ここでは、2025 年 11 月のアップデートで追加された以下の新機能や機能強化をご紹介します。
- フィード
- TracPlus フィードを使用し、TracPlus Cloud に接続することで、リアルタイムの消防テレメトリー データにアクセス可能です。
- DTN Weather フィードを使用し、DTN による天気のリアルタイムまたは予測フィーチャ レイヤー サービスに接続することで、地域や業界に特化した気象データを取得できます。
- Motive AVL フィードを使用し、車両や資産のリアルタイム位置データを取得し、状態や動きを監視できます。
- TAK Client フィードを使用し、Team Awareness Kit (TAK) サーバーからのイベントを受信できます。
- 解析
- マルチマージ ツールを使用し、同じジオメトリ― タイプを持つ 2 〜 10 個の入力レイヤーを、単一の出力レイヤーに統合することが可能です。
- 式でルーティング ツールを使用し、ArcGIS Arcade 式によるレコードの評価によって、定めた条件に基づいて複数の出力先にルーティングすることが可能です。
目次
フィード
TracPlus
TracPlus フィードは、リアルタイムの消防テレメトリー データを統合できます。多様なデバイスやプラットフォームから位置、ステータス、メッセージングなどのデータを統合し、消火ミッションの調整と運用安全性を強化することで、広範囲での状況把握を提供します。この時 Velocity は、リアルタイム地理空間データを可視化・解析をすることで、意思決定を支援します。TracPlus は遠隔地や高リスク環境からもリアルタイムのデータを収集できるため、全世界の山火事・森林火災対策ソリューションおよび緊急対応活動において支援が可能です。利用には TracPlus の有効なサブスクリプションが必要となります。

DTN Weather
DTN Weather フィードと ArcGIS Velocity の統合により、高解像度の気象データをリアルタイム解析ワークフローに取り込むことが可能になります。DTN は、グローバルなレーダー、衛星、観測、履歴、予測データ フィードを活用し、独自のアルゴリズムで強化することで、先進的な環境データや、天気のリアルタイムおよび予測の情報を提供しています。このフィードは、公共事業、航空、運輸、緊急事態管理などの分野で、動的な気象情報を正確かつ迅速に把握し、対応するための準備に最も関連性が高いです。たとえば再生可能エネルギー事業者は、適地選定、エネルギー効率の向上、気象リスクの効果的な管理が可能になります。
DTN は ArcGIS Enterprise のポータルを所有しているため、DTN の ArcGIS アカウントが必要です。顧客アカウントごとに固有のグループと認証情報が作成され、Velocity ではこれらの認証情報を使用し、割り当てられたグループ内で利用可能な特定のレイヤーを自動的に表示します。これにより、関連するすべての情報へ安全にアクセスすることができます。

TAK Client (ベータ版)
TAK (Team Awareness Kit: 米国国防総省が開発した地理的情報共有ツール) Client フィードは、リアルタイムの Cursor on Target (CoT) データを取り込み、解析・可視化・アラートを行うことができます。TAK は、共通作戦状況図 (COP) を提供し、チームワークと安全性を向上させるためのツールで、軍、法執行機関、緊急対応機関によって広く利用されています。
ここで提供される共通作戦状況図 (COP) とは、組織や場所横断的に情報を表示するもので、これによる状況認識 (チームメンバーの位置、目的地、警報など) に基づいた正確かつ的確な意思決定を可能にします。

Motive AVL
Motive の自動車両位置情報 (AVL) データを ArcGIS Velocity に統合し、車両や資産の位置情報、テレメトリー情報を可視化、解析することで、意思決定に役立てることができます。具体的には、リアルタイムの可視化や空間解析機能を利用できるため、車両や人員の管理、設備監視などの業務における安全性、生産性、収益性を向上させることができます。Motive の AI を活用したデータも使用すれば、運輸、物流、現場業務などにおいてさらなる効率化が可能となります。

マルチマージ
マルチマージ ツールは、複数の入力レイヤーを単一の出力レイヤーに統合することができます。これは既存のマージ ツールの機能を拡張したものです。マルチマージは、同一のジオメトリー タイプ (表形式、ポイント、ライン、ポリゴン) を持ち、対応するフィールド名と型が 1 つ以上あれば、最大 10 の入力レイヤーを統合できます。AVL フィードなどを扱う場合は、類似したフィードを多数所有しているケースが多く、それらを統合することができれば効率的な可視化と解析を実現することができます。従来はこうしたフィードを結合するには、マージ ツール (入力レイヤーは 2 つまでしか扱えない) を複数組み合わせて使用する複雑なワークフローが必要でした。マルチマージ ツールによって、より合理化・簡素化された解析が可能になります。

式でルーティング
式でルーティング ツールは、受信イベント レコードを ArcGIS Arcade 式で評価し、指定された条件に基づいて各レコードを任意の出力パスへ分岐させることを可能にします。入力フィードに位置情報や状態情報、センサー測定値など複数のレコード タイプが含まれる場合、その下流ではレコード タイプごとに異なる処理を必要とする場合があります。このツールでは条件分岐ロジックを設定し、データを適切な処理へと分岐させることが可能です。これにより、レコード タイプが混合したフィードを、目的に応じたチャネルに重複なく分離する解析ワークフローを、よりシンプルに実現することができます。

参考情報
詳細については、ドキュメントの新機能をご参照ください。製品に関するアイデア、拡張機能、機能に関する要望がある場合は、Esri Community のArcGIS Velocity Ideas に投稿をお願いします。ArcGIS Velocity の詳細については、製品ビデオ、チュートリアル、ドキュメントなど、利用可能なリソースをご覧いただければと思います。
関連リンク
米国 Esri ArcGIS ブログ:
ESRI ジャパン Web サイト:
ESRI ジャパン ArcGIS ブログ:
ESRI コミュニティ ブログ:
