Web アプリケーションにおけるイメージの利用:キャッシュ マップ サービスとイメージ サービスのどちらを使用すべき?

Image_2 Web マップの設計において、航空写真や衛星画像などのイメージをどのように表示すべきか、ということを検討する必要があります。もう少し具体的にいうと、「ArcGIS Server のイメージ サービスと、イメージを含むキャッシュ マップ サービスのどちらを使用するのが良いか?」という疑問になります。
多くの Web マップの設計の問題と同様に、どちらを使用するのが良いかはアプリケーションの目的に依存します。一般に、イメージが Web 上で参照のみを目的とする場合は、キャッシュ マップ サービスが最もレスポンスが良く、かつスケーラブルな方法です。

スピード
どんな状況下であっても、キャッシュ マップ サービスのレスポンスを超えることは困難です。キャッシュ マップ サービスは、ブラウザのキャッシュを蓄積するため、クライアントが画面移動や拡大/縮小をした際に非常に速いレスポンスが得られます。ブラウザのキャッシュとしてタイルやタイルの一部がすでに蓄積されている場合は、サーバへ再度リクエストする必要はありません。
一方、イメージ サービスは、サーバ側でマップの表示範囲と一致する 1 つの画像を生成します。そのため、イメージサービスは、クライアントが画面を拡大/縮小するごとにサーバへ新しい画像生成を要求します。

スケーラビリティ
イメージ サービスがどんなに速く画像を生成することができても、ArcGIS Server は、クライアントからのリクエストのたびに画像を生成するために処理を行う必要があります。その一方で、キャッシュ マップ サービスは、ArcGIS Server 上で処理がほとんど発生しません。キャッシュが利用できるかどうかを判断するために、ArcGIS Server との最初の “応答確認” を行った後、Web サーバが必要なタイルを返します。
アプリケーションが、一定の基準(サーバの処理能力とリクエスト パターンに依存)に達するような場合は、キャッシュ マップ サービスの方がイメージ サービスよりもスケーラブルです。

機能性
イメージ サービスは、サーバ側に投影変換、画像フォーマット、リサンプリング手法、バンド コンビネーションなどを要求することが可能です。アプリケーションにこれらの機能が必要な場合は、イメージ サービスを利用した方が効果的かもしれません。また、イメージ サービスは低帯域のネットワーク上で利用できるように圧縮率を指定することができます。圧縮率を高く設定することでクライアントに速くイメージが転送されますし、必要に応じて、品質の良いイメージを取得するために圧縮率を下げることも可能です。
このようにイメージ サービスは、キャッシュ マップ サービスよりも機能的ですが、キャッシュ マップ サービスおよびイメージ サービスのどちらを使用した場合でも、条件検索などをサーバ側に要求することが可能です。

保守性
キャッシュ マップ サービスは、パフォーマンスのメリットを得るために、タイルを作成するための時間とサーバ資源、タイルを格納するためのディスク容量が不可欠です。また、タイルの情報が古くならないように、定期的にキャッシュの更新が必要になります。広範囲のキャッシュを再構築する際は、そのための作業が、パフォーマンス上のメリットを上回るかどうかを判断することが重要になります。
キャッシュ マップ サービスの代わりにイメージ サービスを利用する場合、イメージ サービスのパフォーマンスが要件に適しているかどうかを判断するために、負荷テストを検討してください。
もし、イメージ サービスが利用できない場合は、よく参照される場所(例:都市部)だけキャッシュを作成し、ユーザからのリクエストに応じてタイルを作成するオンデマンド キャッシュの使用が考えられます。また、キャッシュが作成されていない領域に “Data not available(データは表示できません)” と表示させることも可能です。

まとめ
航空写真や衛星画像などのイメージの表示が、参照専用の背景地図という目的であり、大量のクライアントからのアクセスが予想される場合は、キャッシュ マップ サービスを利用すべきです。その一方で、イメージの分析や操作を行いたい場合、また、サーバがある程度の同時リクエストに対応でき、クライアントがストレスなく操作できる場合は、イメージ サービスを使用します。

参考情報:
マップ キャッシュが存在しない場合に「データが存在しません」と表記されたタイルを表示させる方法(要サポート ログイン)

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