皆さんは「ジオビジネス geobusiness」という言葉をご存じでしょうか?これは、ビジネスにおける GIS の応用のことを言います。ビジネスでは「新規店舗はどこに立地させるべきか?」、「優良顧客はどこにいるか?」など、「どこ」に関わる質問があります。このような問題を GIS で効果的に解答する方法論について取り上げた『ジオビジネス GIS による小売店の立地評価と集客予測』をご紹介します。
本書は 2 部構成になっており、Ⅰ部では集客圏分析の方法論について取りあげられています。Ⅱ部では、「立地評価システム」と「集客予測」の各種分析法と数理モデルとその応用について取りあげられています。
GIS を使った分析では、必要なデータを用意し加工する必要がありますが、本書では分析に必要なデータの入手先やデータの加工手順が記載されております。また、各章で具体的な事例をあげて丁寧に解説されています。そのため、初めての方でも本書を読みながら GIS をビジネス分野で応用した「ジオビジネス」に関する各種手法を学ぶことができます。
また、巻末には 2010 年国勢調査小地域集計の統計項目、東京都における商業集積地の階層区分の表が資料としてついており、ビジネス分野以外の方にも役に立つ資料がついています。
市場開発や店舗開発を学びたい方、実際に実務を担当されている方、一度読んでみてはいかがでしょうか。
書籍情報
『ジオビジネス GISによる小売店の立地評価と集客予測』
著者:高阪宏行
発行所:株式会社古今書院
発行日:2014 年 3 月 20 日 初版第 1 刷発行
定価:3,600 円(税別)
目次
Ⅰ部 GIS を利用した集客圏分析
第 1 章 市場規模の推定
1.GIS を利用した集客圏分析の進展
2.GIS の普及と国勢調査小地域集計の整備
3.町丁目・字別人口総数の階級区分図の作成
4.集客圏の市場規模の推定
第 2 章 市場規模の変動要因
1.昼間人口に基づく市場規模の推定
2.峡小集客圏における市場規模の推定
3.世帯に基づく市場規模の推定
第 3 章 市場の質の分析
1.経済属性と商品購買との関係
2.経済水準による市場の質の分析
3.人口属性による市場の質の分析
第 4 章 競合環境の分析
1.店舗経営と空間競争
2.店舗の魅力度の測定
3.競合店舗の魅力度の測定と競合環境の分析
第 5 章 顧客発生源の集客効果
1.商業集積地と集客効果
2.駅政権と駅の集客効果
第 6 章 障害物の影響
1.歩行者交通に影響する障害物
2.自動車交通に影響する障害物
3.障害度のパラメータ化
Ⅱ部 GIS を利用した立地評価と集客予測
第 7 章 用地評価
1.用地評価の方法
2.用地評価
第 8 章 場所評価
1.市場規模の評価
2.市場の質の評価
3.市場の成長性の測定と評価
4.競合環境の分析と評価
5.場所評価の結果
第 9 章 立地評価システムの構築
1.立地評価システムの基礎
2.立地評価要素の評価点付法
3.立地評価システムの構築
第 10 章 区間的相互作用モデルに基づく集客予測
1.空間的相互作用モデルの考え方
2.小売モデル
3.小売モデルのキャリブレーション
4.小売モデルによる集客予測
第 11 章 立地-配分モデル
1.立地-配分モデルとは
2.立地-配分モデルの目的関数
3.立地-配分モデルの解法
4.立地-配分モデルの応用
第 12 章 ジオデモグラフィックスの理論と応用
1.ジオデモグラフィックスの理論
2.ジオデモグラフィックスの方法
3.ジオデモグラフィックスの構築
4.ジオデモグラフィックスの応用