【Esri Japan AI Weeks】ArcGIS 製品で AI 関連の機能を使う前に知っておきたいこと

一部の ArcGIS 製品で、AI 関連の機能が利用可能になってきました。本記事では、この機能を使う方にまず知ってほしい内容について説明します。

本記事は、ArcGIS で利用できる AI を紹介する Esri Japan AI Weeks 1 日目の内容です。
ぜひ他の投稿もチェックしてみてください。

本記事で取り上げる AI は、2025 年 8 月現在、ベータまたはプレビュー版での提供となっております。
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GeoAI と AI アシスタント

一般的に、AI はいろいろなことをしてくれます。膨大なデータを探索したり、データを読み取り予測解析をしたり、学習させることで新しくデータを生成することにも利用できます。

ArcGIS 製品で利用できる AI 関連の機能は、大きく分けて GeoAI と AI アシスタントの 2 つがあります。

GeoAI は、地理空間人工知能という造語で、地理空間データと人工知能 (AI) を組み合わせることで、現実世界の新しい理解や知見を得られる科学的な技術を指します。ディープ ラーニングによるデータの抽出、機械学習を使用した予測解析などに利用できます。GeoAI に関する機能は、ArcGIS Pro のツールから、大規模に、簡単に自動で実行でき、パターンの検出や結果の予測、地理空間情報の抽出や分類の自動化に役立ちます。

一方、AI アシスタントは、指示した自然言語の内容を理解し、操作をサポートする支援型の AI です。例えば、「このデータで〇〇したい」という指示とデータの内容を読み取り、操作方法やコードを提案することができます。ArcGIS の操作やルールをよく学習したアシスタントが、GIS 初心者、熟練者問わず、ユーザーが実現したいことに対して文章のやり取りで操作をサポートをしてくれる、そんなイメージです。

なお、GeoAI と AI アシスタントに加え、作業の自動化等を担う「AI エージェント」が今後登場するなど、米国 Esri 社は AI に関する開発に継続して取り組む方針です。

Esri Japan AI Weeks では、ArcGIS 製品で利用できる AI 関連の機能のうち、AI アシスタントの機能について主に紹介します。

AI アシスタントを利用するための準備

AI アシスタントの機能はデフォルトでは無効です。ArcGIS Online の組織の管理者が、組織のユーザーが利用できるよう許可することで機能を利用できます。この設定はいつでも無効化できます。

  1. 管理者権限を持つユーザーで ArcGIS Online にサイン インします。
  2. [組織] → [設定] → [AI アシスタント] セクションで、[組織のメンバーによる AI アシスタントの使用を許可] トグルをオンにします。

開発元の米国 Esri 社の取り組み

ArcGIS 製品に限らず、AI の機能を開発、利用できる環境は世界で急速に広がっています。この環境において、セキュリティーやプライバシーが守られることや、AI の機能によって取得、提供、生成する情報に関して透明性や公平性、信頼性が保たれること、また、それらの取り組みを説明することが重要です。

ArcGIS 製品の開発元である米国 Esri 社は、ArcGIS 製品全般のセキュリティー、プライバシー、およびコンプライアンス情報を発信している ArcGIS Trust Center にて、「Trusted AI」というページを公開しています。このページでは、米国 Esri 社が開発、提供する AI の機能や指針としている原則、データの取り扱いなどについての情報が記載されています。ArcGIS 製品で AI の機能を利用いただく際には、ご一読いただくことを推奨します。

今回、Esri Japan AI Weeks で紹介する機能に関して、特に知っておいてほしいことをまとめました。

  • ArcGIS の AI アシスタント機能は、「AI アシスタントを利用するための準備」セクションで説明したように、デフォルトでは無効です。AI アシスタントの機能は、組織のポリシーに応じて、ユーザー自身が有効、無効を選択することができます。
  • ユーザーが提供したデータやプロンプト (AI への命令文) を保存したり、AI モデルをトレーニングしたりすることもしません。ユーザーは、ArcGIS 製品内で提供したプロンプトとデータの所有権を保持します。
  • AI が出力する結果が妥当か、ユーザーが確認、判断する必要があります。

ArcGIS 製品で AI 機能を活用するベスト プラクティスについては、「ベスト プラクティスの実装」もご参照ください。また、プレビュー版の機能については、バックグラウンドで利用している技術やデータソース、プライバシー、セキュリティー対策についての情報を「透明性カード」のページで公開しています。このページ右上の言語の切り替えボタンでページの言語を「English」に変更すると最新版を確認できます。こちらも合わせてご参照ください。

ユーザーの皆様にとって GIS の機能を便利に使っていただくために、米国 Esri 社は信頼していただける AI の機能を提供しています。ユーザーの皆様も AI の機能を理解しながら、便利に使っていただければと思います。


Esri Japan AI Weeks では ArcGIS で利用できる AI の記事を月曜日から金曜日の 5 日間、2 週にわたって投稿いたします。

明日は ArcGIS Survey123 の「Survey123 アシスタント」をご紹介いたします。

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