ArcGIS Pro のフィールド演算がもっと便利に ~ 新たな変換ヘルパーと履歴機能のご紹介 ~

ArcGISBlog_Pro_CalculateField_EyeCatch

ArcGIS Pro 3.5 では、[フィールド演算] ツールに [空間単位を変換] ヘルパーと [最近の式] の 2 つの機能が新たに追加されました。
本記事では、新たに追加された各機能について、簡単な利用例と合わせてご紹介します。

空間単位を変換ヘルパー

Python 式で利用できるヘルパーに [空間単位を変換] が追加されました。これはフィールド属性値の空間単位を異なる単位に変換できるヘルパーです。
ヘルパーを使用することで、ユーザーは式を構築することなく、必要なパラメーターを入力するだけで簡単に単位変換ができます。

実際の利用例として、既存のフィールドに格納されているジオメトリー値を、別の単位に変換して新しいフィールドに格納する手順をご紹介します。

今回は、米国オレゴン州の建物データを使用します。
このデータには、デフォルトで作成される面積フィールド「Shape_Area」があり、値は平方フィート単位で格納されています。この「Shape_Area」フィールドの値を、ヘルパーを使用して平方メートル単位に変換します。
※デフォルトの単位は、レイヤー プロパティの空間参照にある [距離単位] で確認できます。

ArcGISBlog_Pro_CalculateField_Helper_SpatialReference

操作手順は以下の通りです。

① 属性テーブル上部の [計算] から [フィールド演算] ツール を開きます。

ArcGISBlog_Pro_CalculateField_Helper_AttributeTable

② [フィールド名] に、今回は新規フィールドの名前として「面積_平方メートル」と入力します。もし、既存のフィールドを使用する場合は、ドロップダウン リストから選択します。
③ [式の種類] ドロップダウン リストから [Python] を選択します。

ArcGISBlog_Pro_CalculateField_Helper_GeoprocessingWindow_1

④ [ヘルパー] リストを下にスクロールし、[空間単位を変換] をダブルクリックします。

ArcGISBlog_Pro_CalculateField_Helper_GeoprocessingWindow_2

⑤ [(フィールド名) =] 欄のパラメーターを、以下を参考に変更します。

[‘length|area’]
長さ (length) または 面積 (area) を指定します。
’length’ または ‘area’ のどちらかを入力します。

[!Field!]
変換する値が格納されたフィールドを指定します。
Field の部分を使用するフィールド名に書き換え、!(フィールド名)! となるように入力します。[フィールド] リストで使用するフィールドをダブルクリックして挿入することもできます。

[‘from_unit’]
変換する前の空間単位を指定します。
対応している単位や Python 式での表記法については、「長さと面積の単位に関するジオプロセシングの注意事項」(ヘルプ ページ) をご確認ください。

[‘to_unit’]
変換した後の空間単位を指定します。

今回は、次の画像のように設定します。変換先の単位は、平方メートルです。

ArcGISBlog_Pro_CalculateField_Helper_GeoprocessingWindow_3

⑥ [適用] または [OK] をクリックしてツールを実行すると、平方フィートから平方メートルに単位が変換された、「面積_平方メートル」フィールドが新しく作成されます。

ArcGISBlog_Pro_CalculateField_Helper_Result

最近の式

最近使用した式の履歴が、最大で 10 件まで残るようになりました。複数のフィールドやレイヤーで同じ処理を行う場合に便利です。ユーザー プロファイルに保存されるため、異なるプロジェクトでも利用できます。また、式言語 (Python や Arcadeなど) ごとに保存されます。

式をファイルに保存して再利用したい場合は、「演算式」(ヘルプ ページ) に記載のインポート/エクスポート機能をご利用ください。

今回は、前のセクションで作成した単位変換の式を、他のデータで再度利用します。

操作手順は以下の通りです。

① 属性テーブル上部の [計算] から [フィールド演算] ツール を開きます。

ArcGISBlog_Pro_CalculateField_History_AttributeTable

② フィールド名を入力します。
③ 使用する[式の種類] ドロップダウン リストで任意の式言語を選択します。
今回は [Python] を選択します。
④ 下部にある [最近] を展開します。

ArcGISBlog_Pro_CalculateField_History_GeoprocessingWindow_1

⑤ 最近の式の中から使用したい式を選択します。
式にカーソルを合わせると、式全体が表示できます (青枠)。

ArcGISBlog_Pro_CalculateField_History_GeoprocessingWindow_2

⑥ 式が入力されたことを確認したら、[適用] または [OK] をクリックしてツールを実行します。

ArcGISBlog_Pro_CalculateField_History_GeoprocessingWindow_3

おわりに

本記事では、ArcGIS Pro 3.5 の [フィールド演算] ツールに追加された [空間単位を変換] ヘルパーと [最近の式] の 2 つの機能をご紹介しました。
どちらの機能も、式の入力の手間を省き、作業効率の向上に役立ちます。
ぜひご活用ください。

ArcGIS Pro 3.5 では、他にも多くの新機能が追加されています。
詳細は、「ArcGIS Pro 3.5 の新機能」(ヘルプページ) をご参照ください。

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