都市を見える化する ArcGIS Urban が Professional Plus に対応 -概要と 2025 年 7 月アップデートの機能-

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2025 年 6 月より、ArcGIS Online で Professional Plus ユーザー タイプをお持ちの場合、ArcGIS Urban の作成・管理が可能になりました。

今回のブログの記事では、前半で、ArcGIS Urban の概要とどのような機能があるのかを紹介し、後半で、2025 年 7 月のアップデートで追加された新機能についてご紹介します。

ArcGIS Urban とは

ArcGIS Urban は、小規模から大規模な都市開発まで対応可能な、土地利用の検討やさまざまな影響評価を支援する Web ベースの 3D アプリケーションです。スムーズで効果的な都市計画のシミュレーションを行うことができ、シミュレーションした計画を組織内外に共有することで、計画の透明性向上と理解の促進を図ることができます。

ArcGIS Urban について手軽に知りたい場合は製品ページに加えて「ArcGIS Urban によるスマートな都市計画」ストーリーマップもご覧ください。

ArcGIS Urban を管理・閲覧するために必要なライセンス

ArcGIS Urban を作成・管理するには、ArcGIS Online において、Professional Plus ユーザー タイプである必要があります。組織共有された ArcGIS Urban を閲覧するには Viewer 以上が必要で、パブリック共有された ArcGIS Urban はすべての人が閲覧可能です。

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プロジェクトとプラン

ArcGIS Urban を使っていくうえで、まず始めにプロジェクトとプランという考え方 (設定) を理解する必要があります。

プロジェクトとは、単一のサイトまたは区画、建物のように短期的で小規模な開発計画のことです。詳細な 3D モデル (IFC や FBX 形式) のインポートやボリュームのスケッチ、樹木や車両などのアセットを設置し、様々な解析をすることができます。

プランとは、複数の区画にまたがる計画など大規模で長期的なゾーニングまたは土地利用についての都市計画のことです。比較的広範囲なエリアにおいて土地利用・空間用途を把握することや様々な解析ができます

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ArcGIS Urban では、プロジェクトとプランを使い分けて様々な設定を行っていきます。ArcGIS Urban におけるプロジェクトとプランについては前回の ArcGIS Urban の ArcGIS ブログの記事ヘルプをご参照ください。

ArcGIS Urban でできる解析の機能については本記事の後半をご覧ください。

2025 年 7 月アップデートの新機能について

ここからは、2025 年 7 月のアップデートで追加された主な機能について紹介します。今回のアップデートではプロジェクトやプランにおいて、いずれか一方でしか使用できなかった機能が両方で使用できるようになり、利便性が向上しました。

プロジェクトにおける画像のアップロード

プランに加え、プロジェクトにおいても、画像がアップロードできるようになりました。ファイル形式は JPG、JPEG、PNG 画像形式に対応しています。プロジェクトの配置図や平面図をアップロードすると、それを基にボリュームやアセットの配置ができます。「画像の置換」機能があるため、例えば、図面をアップロードした後に、異なる図面に変更になった場合でも、容易に配置ができます。下の画像ではスケッチする際のベースとして使用する施設の図面 (画像) をアップロードしています。

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プランにおける解析モード

プロジェクトにおいては、従来より、解析モードが使用でき、標高断面・見通し線・可視領域・影の解析ができていましたが、今回のアップデートにより、プランにおいても解析ができるようになりました。また、プランとプロジェクトにおける解析の設定や結果は削除しない限り、永続的に保存されます。プランにおいて解析ができるようになったことで、より広範囲を対象とした解析となり、たとえば、隣接する空間への日射の影響や遠方の眺望に対する可視性を把握することができます。

プランにおける標高断面・見通し線・可視領域・影の解析を紹介します。

標高断面

標高断面では、始点と終点を設定することで断面図を作成することができます。高度や勾配なども考慮され、建物の高さや傾斜角を数値で確認できます。下の画像では、プロジェクトの建物と隣接したプランの建物の大きさを比較しています。

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可視領域

可視領域では、視点や視野、仰角を設定することで景観や見晴らしを確認できます。下の画像では、ある建物の屋上から東京タワー方面の景観の確認をしています。

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見通し線

見通し線では、観測点を設定することで見通しを確認することができます。下の画像では、プランの区画に入った際に見える建物の見通しを確認しています。

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影の解析-閾値を超えるエリア-

影の解析において、従来より、「影の合計時間」と「不連続な影」を解析し、可視化することができていましたが、今回のアップデートでは「閾値を超えるエリア」を可視化できるようになりました。閾値を 0.5 時間区切りで設定し、値を超えた場合に色が付きます。下の画像では、影ができる時間が 2 時間以上のエリアに色を付けています。

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まとめ

ArcGIS Urban は都市を見える化する際に活用できる 3D Web アプリケーションです。今回は手軽に行える解析機能を主に紹介しましたが、他にもダッシュボードや指標など、数値で都市を表す機能もあります。今後のブログの記事や ArcGIS Urban のアップデート記事にもぜひご注目ください。

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