本ブログは米国 Esri 社の ArcGIS Blog の一部(Update to ArcGIS Enterprise Product Lifecycle)を翻訳したものになります。
目次
はじめに
2025 年秋頃にリリース予定の ArcGIS Enterprise 12.0 より、Windows および Linux における ArcGIS Enterprise の製品ライフサイクルが更新されます。この更新により、長期サポートリリース(LTS)は 4 年間、短期サポートリリース(STS)は 1 年間のサポート期間となります。また、サポート対象すべての ArcGIS Enterprise バージョンは常にセキュリティー パッチの対象となります。なお、ArcGIS Enterprise 12.0 より前にリリースされた ArcGIS Enterprise のバージョンには影響がありません。
さらに、この更新は ArcGIS Enterprise on Kubernetes の製品ライフサイクルにも影響はありません。本ブログにおける「ArcGIS Enterprise」の表記は、すべて Windows および Linux における ArcGIS Enterprise を指します。
ArcGIS Enterprise 製品ライフサイクルのフェーズ
ArcGIS Enterprise の製品ライフサイクルを正しく理解するには、長期サポートリリースと短期サポートリリースの両方を把握することが重要です。
各リリースは、最終的に廃止される前に、以下の 3 つの段階を経ます:
- 一般公開:製品ライフサイクルの最初の段階であり、新バージョンのリリースと共に開始されます。このフェーズでは、技術サポート、ソフトウェア パッチの提供に加え、新規環境認証(オペレーティング システム、DBMS、.NET、Java などの新バージョンへの対応)が行われます。
- 延長サポート:一般公開フェーズの終了後に移行する段階です。この期間中は、技術サポートとソフトウェア パッチの提供は継続されますが、新規環境認証は対象外となります。
- 開発終了:製品ライフサイクルの最終段階であり、廃止前の期間です。このフェーズでは技術サポートは提供されますが、ソフトウェア パッチの提供は終了します。
ArcGIS Enterprise のバージョンが廃止されると、サポートは終了します。廃止されたバージョンに対しては、Esri テクニカル サポートによる技術サポートやソフトウェア パッチの提供は行われません。また、すべてのバージョンが必ずしも製品ライフサイクルの全 3 段階(一般公開、延長サポート、開発終了)を経るわけではない点にも注意が必要です。たとえば、現行の ArcGIS Enterprise 製品ライフサイクルでは、短期サポートリリースは延長サポートフェーズを経ずに廃止されるため、より短いサポート期間となります。
長期サポートリリース VS 短期サポートリリース
ArcGIS Enterprise の製品ライフサイクルには、長期サポートリリースと短期サポートリリースの両方が含まれます。ArcGIS Enterprise 11.0 以降、奇数のマイナー バージョン(例:11.1、11.3)は長期サポートリリース、偶数のマイナー バージョン(例:11.0、11.2)は短期サポートリリースとして提供されています。これにより、お客様は運用方針やアップグレード頻度に応じて、最適なリリースを選択することが可能です。
長期サポートリリースと短期サポートリリースは、いずれも完全に認定された製品であり、同等の品質と信頼性を提供します。ただし、ArcGIS Enterprise の導入やアップグレードを計画する際には、それぞれの製品ライフサイクルの特性を十分に理解し、組織のニーズに合った選択を行うことが重要です。
詳細については、ArcGIS Blog(What’s in a number?)をご参照ください。
長期サポートリリースと短期サポートリリースのどちらを選択すればよいですか?
ArcGIS Enterprise では、少なくとも年に 1 回のアップグレードを計画されている場合、どのリリースでもご利用いただけますが、常に最新バージョンの利用をおすすめします。短期サポートリリースでも長期サポートリリースでも問題なく、最新の機能や強化をいち早く活用することができます。 一方で、アップグレードを最大 2 年ごとに計画の場合は、利用可能な最新の長期サポートリリースの選択をおすすめします。長期サポートリリースは、将来のアップグレードに向けた準備期間をより長く確保できるよう、延長されたサポート期間が提供されます。
ArcGIS Enterprise 製品ライフサイクル:バージョン 10.7 から 11.5 まで
ArcGIS Enterprise の製品ライフサイクルフェーズを背景として、ArcGIS Enterprise 11.5 およびそれ以前のバージョンの製品ライフサイクルについても理解することが重要です。詳細は以下の通りです:
新しい ArcGIS Enterprise 製品ライフサイクル
バージョン 11.5 までの製品ライフサイクルを踏まえ、新しい ArcGIS Enterprise 製品ライフサイクルについてご紹介します。ArcGIS Enterprise 12.0 以降、ArcGIS Enterprise 製品ライフサイクルは以下の通りに変更されます:
現行の製品ライフサイクルと新しいライフサイクルの主な変更点は、以下の通りです:
- 各リリースは、短期サポートリリースでは次期ソフトウェアリリースまで、長期サポートリリースでは次期長期サポートバージョンまでの一般公開フェーズのみとなります。
- 開発終了フェーズは廃止されます。
- 短期サポートリリースにおける延長サポートフェーズは、期間が短縮されます。
新しい ArcGIS Enterprise の製品ライフサイクルでは、一般公開フェーズにあるバージョンが最大 2 つになるため、アップグレードや新規インストール時の意思決定がよりシンプルになります。また、開発終了フェーズの廃止により、サポート対象のすべてのバージョンが継続的にソフトウェア パッチの提供対象となります。これは、ArcGIS Enterprise のようなエンタープライズ対応ソフトウェアにとって非常に重要なポイントです。
次のステップ
ArcGIS Enterprise の新たな製品ライフサイクルに伴い、ArcGIS Enterprise 12.0 への移行に与える影響を慎重に検討することが重要です。ArcGIS Enterprise 11.5 は、12.0 へのアップグレードを検討する際の重要なリリースであり、その製品ライフサイクルに変更はなく、Esri テクニカル サポートによるサポートは 2031 年 6 月まで継続されます。これは、組織が十分な準備期間を確保したうえで、ArcGIS Enterprise 12.x へのアップグレードを計画・実行できることを意味します。
Esri は、お客様のワークフローに寄り添ったサポートの提供に努めており、今回の製品ライフサイクルの変更もその取り組みの一環です。お客様がアップグレード対象バージョンを容易に選択でき、サポート対象ソフトウェアをご利用の際に重要なパッチを確実に受け取れるよう配慮しています。ご不明点がございましたら、ESRIジャパンまでお気軽にお問い合わせください。詳細はテクニカル サポートページでもご確認いただけます。
関連リンク
ESRIジャパン 製品ページ
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