以前のブログで、ArcGIS バージョン 10.1 から LIDAR データの格納ファイルの一つ LAS ファイルが直接読み込みできるようになったことをご紹介しました。
今回は、ArcGIS 3D Analyst のエクステンションを使用してできる LAS データセットの使用についてご紹介します。LAS データセットとは、複数の LAS ファイルを参照して管理できるデータセットです。ArcGIS で LAS ファイルをネイティブに扱うには、まず LAS データセットを作成する必要があります。LAS データセットの作成については「ArcGIS Help 10.2 – LAS データセットの作成」をご参照ください。
●LAS の情報を可視化できる [LAS データセット] ツールバー
LAS データセットはドラッグ & ドロップで追加するだけで簡単にマップに追加できます。
ArcMap の全体表示では赤い枠で表示されます。この赤枠一つ一つが各 LAS ファイルを参照していることを表しています。
そして、ArcGIS 3D Analyst エクステンションがあれば、LAS データセットが持つ情報をさまざまな方法でレンダリングすることができる [LAS データセット] ツールバーを使用できるようになります。
[LAS データセット] ツールバーは [カスタマイズ] メニュー → [ツール] から起動できます。
【ArcMap の [LAS データセット] ツールバー】
ポイント表示のドロップ ダウン リストからは標高、クラス、リターン値によるポイント表示ができます。また、サーフェス表示のドロップ ダウン リストからは標高、傾斜方向、傾斜角値別のサーフェスとコンター値別で表示できます。
<ポイント表示>
<サーフェス表示>
[フィルタ] ドロップ ダウン リストからは、すべて、地表、地表以外、ファースト リターンの値で表示を行うことができます。地表だけのデータをラスタにエクスポートすれば、DEM (デジタル標高モデル)も作成できます。
[LAS データセットの断面図ビュー] では、任意のラインを描いてその場所の断面図を見ることができます。断面図を確認して、クラスコード値を変更したり、距離を計測したりすることもできます。
[LAS データセットの 3D ビュー] では、現在表示している範囲の 3D ビューを見ることができます。
また、ArcScene でも [LAS データセット] ツールバーが使用できます。ArcMap の [LAS データセット] ツールバーとは機能が異なり、RGB と強度の値でポイント表示することができます。
【ArcScene の [LAS データセット] ツールバー】
●ArcGIS 3D Analyst で利用可能なジオプロセシング ツール
ArcGIS 3D Analyst では、LAS データセットを取り扱うさまざまなジオプロセシング ツールが利用できます。中にはクラスコードの変更や、マルチポイントに変換するツールなど、ArcGIS 3D Analyst でしか使えないツールもあります。
ツール名 | 機能 |
---|---|
3D Analyst ツールボックス | LAS クラスコードの変更 |
フィーチャから LAS クラスコードを設定 | |
LAS データセット → TIN | |
LAS → マルチポイント | |
データ管理ツールボックス | LAS データセットからファイルを削除*1 |
LAS データセットにファイルを追加*1 | |
LAS データセットの作成*1 | |
LAS データセットの統計情報*1 | |
LAS ポイント統計をラスタに出力*1 | |
LAS データセット レイヤの作成*2 | |
変換ツールボックス | LAS データセット → ラスタ*2 |
*1ArcGIS for Desktop Standard 以上、または ArcGIS Spatial Analyst のライセンスをお持ちのユーザ様もご利用いただけます。
*2 ArcGIS for Desktop Basic ライセンスをお持ちのユーザ様もご利用いただけます。
いかがでしたか?ArcGIS 3D Analyst で LAS データセットをどのように扱うことができるのかお分かりいただけたでしょうか? ArcGIS では、LAS データセットをラスタに変換して、DEM や DSM(デジタル サーフェス モデル)を作成したり、またその差分を求めたりできます。是非、ArcGIS 3D Analyst で LAS データセットもご活用ください。
■関連リンク
・ArcGIS 3D Analyst