(注:本記事は米国 Esri 社のブログ記事「What’s New in Web AppBuilder for ArcGIS (September 2016)」を ESRIジャパン株式会社にて翻訳したものです)
先日、9 月 14 日に Web AppBuilder for ArcGIS(ArcGIS Online 版)がバージョンアップしました。9 月 14 日生まれの人の星座は乙女座(Virgo)ですね。乙女座は、繊細、親切、勤勉、そして実際的な性格を象徴する星座です。そして、込み入った作業や、物事の質を向上させることを好む性格でもあります。この 9 月のバージョンアップでは、いくつかのよく使われるウィジェットについて、Web AppBuilder ユーザー コミュニティからの意見をもとに使い勝手を向上することを主なテーマとしました。まさに乙女座生まれの人々がそうであるように、私たちは常に Web AppBuilder をより良いものにするための活動を続けています。
編集ウィジェット – このウィジェットの最も大きな機能拡張は、これまでたくさんリクエストされていた「関連レコードの編集」です。関連レコードを持つフィーチャ レイヤーを使用する場合、ウィジェットの構成時に関連レコードの編集を有効にするオプションが表示されます。このウィジェットでは、「一対一」もしくは「一対多」のリレーションシップをサポートしています。
フィルターおよびグループ フィルター ウィジェット – Web マップに設定済みのフィルターを無効にするオプションが、両方のウィジェットに追加されました。これは、特定のデータについて絞り込みを行っている Web マップを使用する際に便利な機能です。たとえば、人口 10 万人以下の都市だけを表示している Web マップがあったとします。しかし、その Web マップが使用しているフィーチャ サービスには人口 10 万人を超える都市も含まれています。その場合、ウィジェットの設定により Web マップのフィルターを無効にすることで、全データを使用することができます。そして、データ全体に対して独自のフィルターを設定することができるのです。
フィルターおよびクエリ ウィジェット – 複数の条件式が設定されている場合、前の条件式の結果を用いてフィルタリングを行う機能がこれらのウィジェットに追加されました。まず 1 番目の条件式を実行すると、ウィジェットはその結果にもとづくサブセットを生成します。そして次に実行される条件式は、前回のサブセットに対してのみ適用されます。この機能は、ウィジェットの使い勝手を大幅に向上します。
上図(左側)では、市町村ポリゴン レイヤーに対してクエリ ウィジェットの構成画面上に 2 つの条件式が設定されています。1 番目の条件式では、都市の人口を指定して選択します。そして 2 番目の条件式では、都市の名称による選択を行います。中央の図がクエリ ウィジェット実行時の画面です。まず人口についての条件式で「20 万人より多い」が入力されています。その結果であるサブセットに対して、2 番目の条件式が適用されます。つまり、2 番目の条件式のドロップダウン リストには、人口が 20 万人より多い都市のみが表示されるということです。
Near Me ウィジェット – 検索結果が 0 件のレイヤーについては結果リスト上に表示しないようにしました。また、結果リストを閲覧する際に必要なクリック数を減らしました。
検索ウィジェット – 新しいオプションである「ローカル検索」が追加され、これによりウィジェットに最小縮尺を設定できるようになりました。このオプションは Esri World Locator サービスでのみ有効です。ジオコード検索を実行すると、その結果は検索リクエストにどれだけマッチしたかによりランク付けされます。ローカル検索オプションを使用することで、検索結果の優先度付けに地図縮尺によるしきい値を設定することができます。
たとえば、検索ウィジェットでローカル検索を有効にし、設定されている最小縮尺(上図では 1:300,000)もしくはそれより大きい縮尺でマップを表示している場合、ジオコード検索の結果は「現在位置にどれだけ近いか」で優先度が付けられます。この機能は、場所の検索を、小さいエリアに限定したい場合に役立ちます。東京都中央区の銀座を期待して「銀座」を検索したら、埼玉県熊谷市の銀座が検索された、というような経験はお持ちではありませんか?(「銀座」という地名は日本中にたくさん存在しますからね)ローカル検索オプションを使えば、現在のマップ表示地域に近い検索結果を優先することができます。なお、カスタム ロケーター サービスではこのオプションは使用できませんので注意してください。
選択ウィジェット – 多くのユーザーからのリクエストにお応えして、フィーチャ選択のためのツールを追加しました。これまでの矩形による選択ツールに加え、ポリライン、ポリゴン、円を使用してフィーチャの選択を行うことができます。
スプラッシュ ウィジェット – 構成オプションが拡張され、スプラッシュ スクリーンの表示をさらに色々とカスタマイズできるようになりました。スプラッシュ スクリーンの外観として設定できるのは、サイズ、背景、透過度、ボタンやボタンのテキストの色などです。
3D Web アプリについては、3DFx ウィジェットに「エリアの立ち上げ」という新しい視覚化タイプが追加され、さらにユニークな視覚化を行うことができるようになりました。下図は、この視覚化タイプを用いて、世界の国別人口を表現しています(人口の多い国ほど、エリアが高く立ち上げられています)。3DFx ウィジェットの現バージョンでは、視覚化には単色しか使用できませんが、今後のバージョンアップでレンダリングの機能を拡張することを計画しています。
最後のトピックとして、Web AppBuilder で作成した Web アプリが ArcGIS Online のグループで共有されている場合、グループのメンバーに更新の権限が与えられていれば、直接アプリの編集と保存を行えるようになりました。
ユーザーのみなさんが、これらの新機能を気に入ってくだされば幸いです。
今後ともよろしくお願いします!
Web AppBuilder for ArcGIS 開発チームより
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