目次
はじめに
本記事では、ArcGIS Pro 3.6 で実行可能な 8 種類のネットワーク解析を解析例とともにご紹介します。
本記事は、ArcGIS Experience Builder で作成した Web アプリ「ArcGIS で可能なネットワーク解析」およびヘルプ ページをもとに作成しています。各解析について、より詳細を知りたい場合は、各ページを併せてご参照ください。
製品については ArcGIS Network Analyst 製品紹介ページもご確認ください。
8 種類のネットワーク解析
到達圏解析
到達圏解析では、ある地点から、指定した時間や距離の到達範囲を解析できます。
以下の画像では、複数の駅から自転車で 5 分と 10 分の圏域を解析しています。
ArcGIS で可能なネットワーク解析の到達圏解析のページでは、徒歩における到達圏解析のマップも掲載しています。
ルート解析
ルート解析では、ある場所から別の場所や複数の場所を訪れる場合の最適なルートを解析できます。
以下の画像では、ある病院を発着・終着点とし、20 箇所の病院を巡るルートを解析しています。また、河川の一部で洪水が発生したことを想定し、浸水場所 (バリア) を避けるルートを解析しています。
ArcGIS で可能なネットワーク解析のルート解析のページでは、洪水による浸水がない場合のルート解析のマップも掲載しています。
配車ルート (VRP) 解析
配車ルート (VRP) 解析では、複数の車両がある地点を訪れるルートを解析できます。ドライバーの休憩時間や車両の積載量など様々な設定をデータに組み込んで解析できるため多様な配送形態に対応できる解析です。
類似の解析として、ラスト マイル デリバリー解析と廃棄物収集解析があります。
以下の画像では、ある病院を拠点とし、避難所に物資を配送するルートを解析しています。また、積載量に制限を持つ 3 台のトラックが休憩を挟んで巡回するように設定しています。
ArcGIS で可能なネットワーク解析の配車ルート解析のページでは、2 台のトラックで物資を配送した場合の配車ルート解析のマップも掲載しています。
ラスト マイル デリバリー解析
ラスト マイル デリバリー解析では、1 箇所の拠点から最終顧客まで配達することに特化した解析ができます。
類似の解析として、配車ルート解析があります。
以下の画像では、配送センターを拠点とし、複数の車両が住戸まで配達物を届けるルートを解析しています。また、配送区域に制限を付け、一定の区域内で配送する設定をしています。
ArcGIS で可能なネットワーク解析のラスト マイル デリバリー解析のページでは、配送の区域に制限を付けずに解析をしたラスト マイル デリバリー解析のマップも掲載しています。
配車ルート解析とラスト マイル デリバリー解析の違い
ラスト マイル デリバリー解析は配車ルート解析で使用できる様々な制約のうち一部のみをサポートすることで、品質とパフォーマンスに優れたアルゴリズムの提供を実現しています。
配送拠点の複数配置やドライバーの休憩時間、車両の燃費、固定費など様々な制約を用いる高度な交通ネットワーク解析を行いたい場合には、配車ルート解析を使用してください。
一方、複雑な設定がなく 1 箇所の拠点から最終顧客までの配送ルートの解析を行いたい場合には、ラスト マイル デリバリー解析を使用してください。
制約に関する詳細はラスト マイル デリバリーを選択する理由をご参照ください。
廃棄物収集解析
廃棄物収集解析では、地理的に密集した複数の地点から廃棄物を収集し、中継所で廃棄する複数の車両を対象とした、廃棄物収集に特化した解析ができます。
類似の解析として、配車ルート解析があります。
以下の画像では、積載量の制限を持つ 3 台のトラックがエリア内の住戸から新聞古紙を収集するルートを解析しています。また、積載量制限に達した場合は、廃棄物置き場 (中継所) に立ち寄り、空にする設定をしています。
ArcGIS で可能なネットワーク解析の廃棄物収集解析のページでは、廃棄物置き場を介さないで廃棄物を収集した廃棄物収集解析のマップも掲載しています。
廃棄物収集解析は ArcGIS Pro 3.5 より登場した解析です。廃棄物収集解析は ArcGIS Pro 3.6 時点では、ArcGIS Online ネットワーク サービスには対応していません。解析例については、ArcGIS ブログ「[手順付き] Network Analyst で廃棄物収集の解析をしてみよう-ArcGIS Pro 3.5 新機能-」もご参照ください。
配車ルート解析と廃棄物収集解析の違い
配車ルート解析と廃棄物収集解析のどちらを使用しても、複数車両が顧客の場所 (ストップ) で収集し、必要に応じて車両を空にする (リニューアル) 作業を 1 日中実施する設定ができます。
廃棄物収集解析は廃棄物収集に特化した解析のため、柔軟な設定が可能な配車ルート解析よりパフォーマンスが向上しています。また、地理的に密集しているストップに対して廃棄物を収集するルートを生成することに長けています。
一方、広範囲な地域を対象にしたり、ストップの位置が著しく分散していたり、期間が複数日に渡ったりする場合には、配車ルート解析を使用してください。
ArcGIS Pro 3.6 時点で、廃棄物収集解析は ArcGIS Online ネットワーク サービスに対応していません。
ロケーション-アロケーション解析
ロケーション-アロケーション解析では、施設の候補地と需要地点の関係から最適な施設の配置を解析できます。
以下の画像では、災害発生時に市民が避難する既存の 51 箇所の避難所に加え、8 箇所の候補地から避難所として適切な 3 箇所を選定しています。また、市民から避難所までの移動距離に重み付けをし、より多くの市民が避難所に割り当てられるように設定をしています。
ArcGIS で可能なネットワーク解析のロケーション-アロケーション解析のページでは、避難所の運営が困難になったため、避難所の統廃合をした場合のロケーション-アロケーション解析のマップも掲載しています。
最寄り施設の検出解析
最寄り施設の検出解析では、ある地点 (インシデント) と施設の間を移動するコストを算出し、近いものを検出、解析できます。
類似の解析として、OD コスト マトリックス解析があります。
以下の画像では、学校 (インシデント) と消防署 (施設) で 15 分以内に移動可能なルートの組み合わせを距離の近い順に 2 箇所まで解析しています。
ArcGIS で可能なネットワーク解析の最寄り施設の検出解析のページでは、2 箇所の火災発災地点 (インシデント) に向けて、緊急車両の到着が早い 3 箇所の消防署を解析した最寄り施設の検出解析のマップも掲載しています。
OD (起点と終点) コスト マトリックス解析
OD (起点と終点) コスト マトリックス解析では、複数の起点 (出発地) と終点 (目的地) の間のコストをマトリックス状に算出し、ラインで出力できます。
類似の解析として、最寄り施設の検出解析があります。
以下の画像では、学校 (起点) と消防署 (終点) で 15 分以内に移動可能なルートの組み合わせを距離の近い順に 2 箇所まで解析しています。
ArcGIS で可能なネットワーク解析の OD コスト マトリックス解析のページでは、学校 (起点) と消防署 (終点) で 15 分以内に移動可能なルートの組み合わせを距離の近い順に 4 箇所まで解析している OD コスト マトリックス解析のマップも掲載しています。
最寄り施設の検出解析と OD コスト マトリックス解析の違い
最寄り施設の検出解析と OD コスト マトリックス解析は、ほぼ同様の解析が行われます。主な違いは、出力形式と解析速度です。OD コスト マトリックス解析では、高速に解析が可能ですが、明確なルートやルート案内を出力しません。詳細な解析結果を出力したい場合は、最寄り施設の検出解析を使用します。
おわりに
本記事では、ArcGIS Pro 3.6 時点で使用可能な 8 種類のネットワーク解析をご紹介しました。
ArcGIS Experience Builder で作成した Web アプリ「ArcGIS で可能なネットワーク解析」では、ネットワーク解析をするにあたって必要なライセンスや道路網のデータが記載されているページや、関連リンク集が記載されているページもあるため、ArcGIS Network Analyst 製品紹介ページやヘルプ ページと併せてご参照ください。

