NDVI と VARI
植物の量や活性度 (どのくらい植物があるか、またどのくらい元気か) を把握するための植生指標に、NDVI (Normalized Difference Vegetation Index:正規化植生指標) というものがあります。
これは、人工衛星やドローン搭載のセンサーで取得される赤バンド (R) と近赤外バンド (IR) の 2 バンドを利用して算出されるもので、農業や森林のモニタリングなどの分野で広く活用されている指標です。
NDVI は簡単に算出できるのですが、利用するデータの取得にセンサーが必要です。特に衛星画像データを利用する場合は、データの取得範囲や撮影時期、解像度 (空間分解能) などの面で制限されてしまうケースもあります。
こうした点をカバーできる植生指標として、この記事では、カメラで撮影した写真データ (RGB 画像) を使って算出できる VARI (Visible Atmospherically Resistant Index) をご紹介します。
VARI のメリット
VARI は、RGB カラーのバンドを利用して算出する指標のため、ドローンなどで空撮した一般的な写真を入力データとして利用できる点がメリットです。カメラによって高解像度のデータを取得できますし、取得地域や撮影のタイミングも、衛星画像と比べて自由に設定することができます。
このため、小規模な範囲 (個人の圃場など) で高頻度もしくはリアルタイム性が重要なケースでの活用が考えられるでしょう。
VARI の算出式は以下です。
VARI = (Green – Red) / (Green + Red – Blue)
Green: 緑色バンドのピクセル値
Red: 赤色のバンドのピクセル値
Blue: 青色バンドのピクセル値
ArcGIS Pro で VARI を可視化
ArcGIS Pro では、[画像] タブの指数ギャラリーから VARI を選択します。
※すべてのライセンス レベルでご利用いただけます。
試しに、以下の画像を使って VARI を算出してみます。画像の上が収穫前、下が収穫後の圃場です。[VARI] ダイアログでそれぞれのバンドを当てはめて処理を実行し、シンボルを設定すると…?
くっきりと色が分かれています。赤が濃いほど VARI 値が高く、緑が濃いほど VARI 値が低くなっており、収穫前後の圃場の判別が容易にできます。さらに、収穫前の圃場を見ると、赤の強い部分とそうでない部分があることが分かります。
注意点
VARI では写真のカラーから植生らしさを判別するため、例えばそれが人工物か植生かどうかといった判別には向いていない点、また、同じ場所であっても他の時期に撮影した色味の異なる写真など、複数時期の VARI の出力値の単純な比較は難しい点に注意する必要があります。今回例として挙げた圃場など、特定の時点および範囲での植生の生育状況の比較・計測に向いた指標といえそうです。
ご興味のある方はぜひお試しください。