ArcGIS Runtime SDK (Android/iOS/.NET) の最新バージョン 100.10.0 を 3 月 12 日にサポート開始しました。この記事では、バージョン 100.10.0 で追加された主要な機能や変更点について紹介します。
各 SDK (Android/iOS/.NET) 共通のアップデート内容
高精度 GNSS
高精度 GNSS デバイスからのデータソースをサポートするように Location API が拡張され、高精度の位置情報を活用するソリューションをより簡単に構築できるようになりました。NMEA メッセージを受信して、マップ上で現在位置を表示できる他、補正タイプ、HDOP、PDOP、VDOP、衛星数などの情報も簡単に取得できます。
フィーチャ タイルの使用
ArcGIS Runtime SDK のバージョン 100.9.0 では、マップ (2D) でフィーチャ タイルがサポートされました。100.10.0 では、シーン (3D) でもフィーチャ タイルがサポートされ、パフォーマンスが向上しています。また、開発者がフィーチャ タイルの有効/無効を選択できるように API が拡張されています。
上記画像は、シーン (3D) 内のフィーチャ タイルを使用する場合としない場合を比較したフィーチャ レイヤーのスクリーンショットです。この例では、シーン (3D) 内の樹木のフィーチャの数は約 10,000 です。100.9.0 では、フィーチャの一部のみが返されます。100.10.0 では、開発者はフィーチャ タイルを使用してすべてのフィーチャを返すオプションがあります。
3D ラベリング
マップ (2D) と同じ方法で、シーン (3D) でもラベル表示ができるようになりました。ポイント/ライン/ポリゴンのフィーチャ レイヤーでレンダリングされたフィーチャの周囲にラベルを表示できます。
従来のジオコード ロケーター形式 (*.loc) のサポート延長
ArcGIS Runtime SDK バージョン 100.9.0 のリリース記事では、従来のジオコード ロケーター形式は、ArcGIS Runtime SDK 100.10.0 が最後のサポートとお伝えしましたが、非推奨期間が延長されました。ArcGIS Runtime SDK 100.11.0 が、従来のジオコード ロケーターをサポートする最後のリリースとなります。
各 SDK (Android/iOS/.NET) のアップデート内容
実行環境など、各製品固有のアップデート内容をご案内します。
ArcGIS Runtime SDK for Android
実行環境
Android API レベル 22 (Android 5.x、Lollipop) は非サポートとなりました。100.10.0 リリースでは、最小は API レベル 23 (Android 6.x、Marshmallow) が必要になります。
ArcGIS Runtime SDK for iOS
実行環境
iOS 12 のサポートは廃止予定です。100.11.0 リリースでは、最小は iOS 13 が必要になります。
XCFramework の導入
ArcGIS Runtime は、XCFramework として配布されるようになりました。
この形式は Xcode 11 で導入され、単一のバンドルを通じて、さまざまなターゲット プラットフォームおよびアーキテクチャのコードを簡単にパッケージ化、配布、統合できる等の利点があります。
また、フレームワークのインストール場所が「$HOME\Library\SDKs\ArcGIS\iOS\Frameworks\Dynamic」から「$HOME\Library\SDKs\ArcGIS\Frameworks」に変更されました。
cocoapods を使用している場合は、これらの変更は影響ありませんが、インストーラーをダウンロードしてプロジェクトを手動で構成している場合は、100.10.0 にアップグレードする際に変更が必要です。詳細はリリースノートの「Breaking API changes」(英語) をご参照ください。
ArcGIS Runtime SDK for .NET
実行環境
Xamarin.Forms での iOS 12 のサポートは廃止予定です。100.11.0 リリースでは、最小は iOS 13 が必要になります。
.NET 5 のサポート
バージョン 3.1 に続く .NET Core のメジャー リリースである .NET5 がサポートされました。WPF (net5.0-windows) を使用して .NET 5 をターゲットにする場合は、下記の 2 つの大きな変更があります。
- XAML では、異なるアセンブリの型に明示的な XAML 名前空間マッピング フレームワークが必要になりました (複数のアセンブリと複数のコード名前空間は、単一の XAML 名前空間にマップするために集約されなくなりました)。
- XAML では、コンテンツ プロパティ (例えば OperationalLayers 等) を明示的に設定する必要があります。暗黙的なコンテンツ プロパティ値はサポートされなくなりました。
Direct3D 機能レベル
Direct3D 機能レベル 9_3 が非サポートになりました。100.10.0 では、ハードウェア GPU レンダリングを有効にするために、Direct3D 機能レベル 10_0 以上が必要となります。
side-by-side デプロイのサポート
ArcGIS Runtime SDK for. NET (WPF API) のマルチバージョンの side-by-side デプロイがサポートされました。この機能を使用するには、DLL ファイル名にバージョン番号を含める等の変更を行う必要があります。
Local Server
ArcGIS Runtime Local Server 100.10.0 については、米国 Esri 社から今後リリースされる予定です。
.NET 固有の変更点の詳細は Esri Community の「Announcing ArcGIS Runtime SDK for .NET 100.10」の記事 (英語) でも紹介されていますので、併せてご確認ください。
本記事では主要な項目についてご紹介しましたが、各 SDK の詳細な情報は下記のリリース ノート (英語) をご覧ください。
■関連リンク
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