リアルタイムな防災気象情報を提供する ESRIジャパン データコンテンツ Online Suite 気象オンラインサービス (ゲヒルン版) (以下、気象オンライン (ゲヒルン版)) に台風名称や最大風速、中心気圧の実況値や予測値など、台風に関する情報を追加しました。今まで提供をしていた台風経路にこれらの情報が加わることにより、台風災害に対するより深い予測や分析が可能になります。
ArcGIS Living Atlas of the World 上の台風レイヤーとの違い
ArcGIS 上ですぐに無償で使えるコンテンツなどを集めた ArcGIS Living Atlas of the World には Active Hurricanes, Cyclones and Typhoons という台風レイヤーが存在します。このレイヤーと気象オンライン (ゲヒルン版) の台風レイヤーとの違いをご存知でしょうか?
大きな違いとしてはデータソースにあります。気象オンライン (ゲヒルン版) は、気象庁が発表する内容をベースにしていますが、日本付近における Living Atlas 上の台風レイヤーは Joint Typhoon Warning Center (合同台風警報センター) が発表する内容を基にしています。気象庁と Joint Typhoon Warning Center は異なる予測モデルを用いているため、同じ台風の進路予報でも異なる場合があります。また、進路予報の表現方法も異なります。
下の例は、2021 年 9 月 17 日 15 時時点の台風 14 号の予報進路を表示しており、気象オンライン (ゲヒルン版) が提供する情報は白色で予報円および予報円の中心を結んだ線を、Living Atlas 上の台風レイヤーが提供する情報は青色で Forecast Track (予報進路) としてそれそれ表しています。気象庁が発表する予報円は、台風の中心が入る確率 70% の範囲を表しており、必ずしも、その中心点を結んだ白色の破線に沿って台風が進むわけではなく、幅を持たせた表現となっています。一方 Join Typhoon Warning Center では、Forecast Track (予報進路) として予測進路を表現しています。
さらに、最大風速の計測方法も、気象庁が発表するものは 10 分間の平均値を採用していますが、Join Typhoon Warning Center では 1 分間の平均値となっているなど、同じ項目でも微妙に異なる意味を持つ場合もあるため、利用する際は注意が必要です。
台風情報だけじゃない!気象オンライン (ゲヒルン版)
気象オンライン (ゲヒルン版) には、台風情報だけじゃなく、雨量情報 (解析雨量) や河川氾濫・土砂災害・浸水害に関する危険度分布、地震情報など様々なリスクデータの提供も行っており、GIS 上で活用することで、俯瞰的に今後起こり得る災害に対する備えることができます。
また、気象オンライン (ゲヒルン版) を活用したサービスとして、企業向けの防災・減災のためのクラウド GIS サービスである「NADIAct」の提供も行っています。こちらは防災気象情報の提供に加え、どこでどのような危険があるかの予測をメールで通知し、リスク コンサルティングをパッケージすることで、災害発生時に企業の初動対応を支援するサービスです。
今後も、気象オンライン (ゲヒルン版) で提供可能なコンテンツを拡充してまいりますので、どうぞご期待ください。
■関連リンク
・気象オンラインサービス(ゲヒルン版) | ESRIジャパン (esrij.com)
・Active Hurricanes, Cyclones and Typhoons – 概要 (arcgis.com)
・防災・減災のためのクラウド GIS サービス「NADIAct」