ArcGIS Pro をベースにした商圏分析・エリアマーケティング特化型アプリケーション「ArcGIS Business Analyst Pro」(以下「BA Pro」) の最新バージョン 3.1 を、2023 年 4 月 6 日 (米国時間) (日本時間 2023 年 4 月 7 日) にリリースしました。
本記事では、BA Pro 3.1 の新機能および機能強化をご紹介します。
目次
新機能・機能強化
人口・世帯などの集計速度の向上
全国の町丁・字等ポリゴンなどの大規模レイヤーに人口や世帯などの情報を集計する際の処理速度が向上し、最大で 3 倍速くなりました。これにより、データの取得がこれまで以上に高速になります。
テリトリーの検証ツール
作成したテリトリーが事前に設定した制約に違反していないかチェックできる、テリトリーの検証ツールが追加されました。
テリトリー ソリューションを手動で編集した後などに本ツールを実行することで、たとえば以下のような制約違反をしていないかをチェックすることができます。
- テリトリーのバランス調整変数の最大値/最小値などの数値に関する制限に違反していないか
- テリトリーの最大半径などの距離に関する制限に違反していないか
- 設定したバリアを跨いでテリトリーが構築されていないか
たとえば、下図では以下のエラーが検出されています。
- 一部テリトリーのバランス調整変数の値が、最小値の制限を満たしていない。(上図では各テリトリーの人口総数の合計値が 20 万人を下回らないように設定しているが、2 つのテリトリーがそれに違反している。)
- どこにも割り当てられない空のテリトリーが存在する。
- 飛び地になっているテリトリーが存在する。
- テリトリー内部に穴 (どのテリトリーにも割り当てられていないエリア) がある。
統計データ コレクションが BDS ファイルをサポート
統計データ コレクション (Statistical Data Collection) は、BA Pro でカスタム データを生成する際に作成される変数セットで *.sdcx ファイルとして保存されます。独自データを使用して統計データ コレクションを作成し、独自データをカスタム変数として登録することで、標準搭載の統計変数と同じように集計などの解析に利用できるようになります。
一方、BDS ファイルは旧来のソフトウェアである ArcMap 版 BA Desktop で作成されるカスタム データの設定ファイルです。
本バージョンから統計データ コレクションが BDS ファイルをサポートするようになり、ArcMap 版 BA Desktop で利用していた BDS ファイルを統計データ コレクションに変換し、BA Pro でもカスタム データとして解析に使用できるようになりました。
インフォグラフィックスおよびレポートの機能強化
ArcGIS Business Analyst Web App のレポート テンプレートのインポート
レポート テンプレートのインポート機能が追加され、ArcGIS Business Analyst Web App で作成されたインフォグラフィックスおよびクラシック レポートのテンプレートをローカルにインポートし、BA Pro からクレジット消費なしで実行できるようになりました。
テリトリー デザイン レポートの刷新
テリトリー デザインの結果は、テリトリー レポートの生成ツールを実行することで PDF レポート形式で出力することができます。本バージョンから、レポートのレイアウトが刷新されました。(英語表記)
より強力になった BA Pro 3.1 を是非ご活用ください。