商圏分析・エリアマーケティング特化型 GIS ソリューション ArcGIS Business Analyst Pro に付属するオフライン データの最新版である「ArcGIS Business Analyst 2024 年版データ」 (以降「本データセット」) を2023 年 12 月 1 日にリリースしました。
この記事では、本データセットの主な更新点をご紹介します。搭載項目の詳細は、データの仕様をご覧ください。
目次
2020 年国勢調査 基本単位区 データ搭載
本データセットでは、街区もしくは街区に準じた小区画からなる 2020 年国勢調査の基本単位区 を新たに搭載しました。
以前の 2023 年版データセットでは、2020 年国勢調査から得られた人口等を商圏内に集計する場合、面積按分で按分処理を実施していました。面積按分は、商圏と区画ポリゴンである「町丁・字等」が重なる割合(面積比)で人口等を配分する按分方法のため、区画ポリゴン内の人口の偏りを加味できないという欠点があります。そのため、人が住んでいない地域 (例:山、公園) に商圏が重なった場合にも、人口を配分する集計結果となっていました。一方、基本単位区をもとに同じ「町丁・字等」内の人口分布の偏りを加味した場合、人が住んでいない地域に商圏が重なっても、人口を配分することなく、高精度な集計・分析が可能となりました。
上の図は東京都練馬区豊玉中 1 内の地点に作成した 300m 商圏内の 2020 年人口総数・世帯総数を ① 面積按分、② 基本単位区で重みづけをする方法で集計した結果です。① と ② では、それぞれ集計結果が異なることがわかります。基本単位区で重みづけをする集計方法が使用できる本データセットで商圏分析をすることで、より高精度な結果を得ることができます。
その他データの変更点
2020 年基本単位区の搭載以外にも、以下のデータの追加・更新を行っております。
2020 年国勢調査メッシュ: 変数の追加
- 従業上の地位別 就業者数 (15 歳以上)
- 在学学校の種類別 人口
- 最終学歴別人口 (15 歳以上)
- 居住期間別 人口
- 経済構成別 一般世帯数
- その他多数
各種データの更新
- 街区レベル住所の元データを、令和 4 年度街区レベル、大字・町丁目レベル位置参照情報に更新
- 市区町村のすがたデータを 2023 年版に更新
- 目標物データのうち、公共地図および駅名ポイント データを更新
- 広域地図の元データを株式会社ゼンリン 地図データ(2021-3 版)から(2022-3 版)へ変更
- 公共地図の元データを、最新の数値地図(国土基本情報)(2023 年 3 月末時点)へ更新
本データセットの詳細については ArcGIS Business Analyst 製品ページよりご確認ください。
ArcGIS Business Analyst Pro をご利用ください!
ArcMap 版 Business Analyst Desktop は 2024 年 6 月より「サポート終了」フェーズに移行するため、本データセットが上記ソフトウェア上で利用できる最後のデータとなります。
ESRIジャパンでは、ArcMap 版 Business Analyst Desktop から ArcGIS Business Analyst Pro への移行をサポートする以下の資料を ArcGIS リソース集 ArcGIS Business Analyst Proで提供しております。
- ArcGIS Business Analyst Pro のチュートリアル
- ArcGIS Business Analyst Pro への移行ガイド
- ArcMap 版 Business Analyst Desktop で利用できる機能に対応するArcGIS Business Analyst Pro の機能を掲載した機能対応表
ArcMap 版 Business Analyst Desktop の保守が有効な方は、ArcGIS Business Analyst Pro を並行してご利用いただけるため、各種資料をご活用いただき、ぜひ移行をご検討いただければと存じます。
今後の計画
来年春には ArcGIS Business Analyst Pro 上でのみ利用できる新しいデータセットを提供する予定です。新しいデータセットでは、年収・貯蓄・消費の各種推計データの追加やインフォグラフィックス テンプレートの拡張を計画しています。
最新の国勢調査を搭載し、より現実に即した集計方法で分析できる本データセットはエリアマーケティングにおいて心強い助けとなります。ぜひご活用ください!