ArcGIS の内挿の機能について 複数回にわたってシリーズとして記事を掲載しています。
第 3 弾では最適な内挿法と製品の選び方についてご紹介しました。シリーズ最後の 第 4 弾は「内挿に特化したエクステンション Geostatistical Analyst 編」です。
過去の記事は以下からご覧いただけます。
- ArcGIS ユーザーのための内挿ガイド :内挿の基礎知識
- ArcGIS ユーザーのための内挿ガイド :ArcGIS Pro で利用できる内挿法
- ArcGIS ユーザーのための内挿ガイド: 最適な内挿法と製品の選び方
目次
Geostatistical Analyst エクステンションとは?
地球統計学 (Geostatistics) の理論に基づいて、サンプル データの検証、内挿処理、内挿結果の検証までを行うことができる、内挿に特化したエクステンション製品です。
Geostatistical Analyst では、Spatial Analyst・3D Analyst で使用できる内挿法のほとんどが使用でき、さらに多くの統計モデルや、ウィザード、ジオプロセシング ツールが提供されます。
対話的に処理を実行できる地球統計ウィザード
内挿処理は、内挿モデルを選択し、さまざまなパラメーターを設定する必要がありますが、その手順をウィザードに沿って設定し、一連の処理を実行することができます。ウィザードでは、パラメーターの設定を対話的に行い、サーフェスを確認しながら、処理を実行し、出力された推定値の検証を行えます。
Geostatistical Analyst で実行可能な内挿法
Geostatistical Analyst では、Spatial ・3D Analyst で提供される内挿法に加えて、さらに多くの内挿法の利用と詳細なパラメーターが設定可能です。
例えば、クリギング手法においては、複数の相関性の高い別の変数 (入力データ) を指定して、内挿処理を実行するコクリギング (共クリギング) も利用できます。
また、詳細なクリギングの手法として、通常クリギング、単純クリギング、普遍クリギング、指標クリギング、確率クリギング、分離クリギングが使用できます。
ArcGIS Pro で利用できる内挿法には、決定論的方法と地球統計学的方法があり、Geostatistical Analyst で使用できる各種内挿手法の詳細は、以下をご参照ください。
決定論的方法
地球統計学的方法
3D 内挿
3D 内挿は、Geostatistical Analyst でのみ提供される内挿法です。XY に加えて Z (高さ) も考慮して 3 次元で内挿処理を行うことができ、結果を netCDF 形式に出力すると、ボクセル レイヤーとして表示することが可能です。
Geostatistical Analyst では 3 種類の 3D 内挿手法を利用することができます。
経験ベイズ クリギング 3D (EBK 3D)
経験ベイズ クリギング 3D (EBK 3D) は、地球統計学的方法である経験ベイズ クリギングを 3 次元で行います。この内挿は、地球統計ウィザードとジオプロセシング ツールで実行可能です。処理結果は地球統計レイヤーとして出力されます。出力された地球統計レイヤーから netCDF 形式にエクスポートすることも可能です。
IDW 3D
IDW 3D は、決定論的方法である逆距離加重内挿 (IDW)を 3 次元で行います。この内挿はジオプロセシング ツールでのみ実行可能です。処理結果は netCDF 形式で出力されます。
ArcGIS Pro 3.2 で新しく追加された機能です。
最近隣内挿 3D
最近隣内挿 3D は、各 3D のボクセルに最も近いポイントの属性を割り当てます。この内挿はジオプロセシング ツールでのみ実行可能です。処理結果は netCDF 形式で出力されます。地質区分などの不連続 (カテゴリ) データに適した内挿法です。
ArcGIS Pro 3.1 で新しく追加された機能です。
適切な内挿手法の選択を手助けするツール
さまざまな内挿手法があるため、自身のデータに一番適した内挿法はどれなのか選択するのが難しい場合があります。
[地球統計レイヤーの比較] ジオプロセシング ツールでは、地球統計ウィザードで作成した複数の地球統計レイヤーを入力データとして設定し、その交差検証の統計情報に基づき、レイヤーを比較およびランク付けし、テーブルに結果を出力できます。
その他にも Geostatistical Analyst では、内挿の前処理や後処理に便利なツールが提供されています。
Geostatistical Analyst の日本語化について
Geostatistical Analyst で提供されるツールのユーザーインターフェースやヘルプは、これまで英語で提供されていましたが、ArcGIS Pro 3.2 において日本語化されました。
Geostatistical Analyst を学習するためのおすすめテキスト
Geostatistical Analyst では、より専門的な内挿手法を利用できますが、手順が複雑で難しいと感じるかもしれません。Learn ArcGIS では、実際にデータを使ってチュートリアル形式で手順を確認することができます。是非ご活用ください。
おすすめ Learn ArcGIS
- Geostatistical Wizard を使用した温度の内挿
- エリアの内挿を使用してデータ内のギャップを補間
- モントレー湾の 3D 酸素計測値の補間
- 内挿を使用した水質のモデリング
- クリギングを使用した都市部の熱解析