ArcGIS API for Python バージョン 2.4.0 をリリースしました!

アイキャッチ画像 (ArcGIS API for Python)

ArcGIS API for Python の最新バージョン 2.4.0 を 2024 年 9 月 24 日 (日本時間 2024 年 9 月 25 日) にリリースしました。

本記事ではアップデートされた主な内容をご紹介いたします。

新しいマップ ウィジェット

arcgis.mapping モジュールのマップ ウィジェットは、空間データや分析結果を Jupyter Notebook や ArcGIS Notebooks 上で可視化できるため、Python API ユーザーに長い間親しまれてきました。バージョン 2.4.0 では、API に最新版のマップ ウィジェットが追加されました。以下はマップ ウィジェットの主な更新と注意点です。

  • 以前の arcgis.mapping および arcgis.widgets モジュールは廃止され、新しい arcgis.map モジュールにリファクタリングされました。
  • API を使用してノートブック内でレイヤーの追加、シンボル設定、ブックマークの追加などの設定をしたマップ ウィジェットを Web マップとして保存できるようになりました。これにより、Map Viewer や他の対応する Web アプリケーションでシームレスに利用できます。
  • 新しいマップ ウィジェットは、ポップアップ、レンダラー、およびシンボルを作成する際に内部検証を行います。
  • 新しいマップ ウィジェットが最新バージョンの ArcGIS Maps SDK for JavaScript をサポートするようになりました。
  • 新しいマップ ウィジェットは、次世代の Jupyter Notebook (Jupyter Notebook 7 および JupyterLab 4) で動作します。今後リリース予定の ArcGIS Pro 3.4、ArcGIS Enterprise 11.4、および 2024 年 11 月の ArcGIS Online アップデートに伴い、すべての ArcGIS Notebooks 製品は Jupyter Notebook 7 ベースとなり、新しいマップ ウィジェットに対応する予定です。
2.3.x 以前のマップ ウィジェットのコード例
2.4.x 以降の新しいマップ ウィジェットのコード例

Jupyter Notebook 6 を使用したい場合は、バージョン 2.3.1 を引き続き使用してください。古いマップ ウィジェットを使用していて、2.4.0 に切り替える場合は、コードの変更が必要になります。
また、ArcGIS Notebooks を使用していて、ノートブックのランタイムを v11.0 に変更/更新する場合も、コードの一部を調整する必要があります。この移行を行う際のベストプラクティス、コードスニペット、および機能比較については、What’s New in 2.4.0 を参照してください。

GIS サービスへのアクセスを簡素化するための Service クラス

ArcGIS には、マッピングとロケーションポータルとデータ空間解析といったカテゴリに数百の利用可能なサービスがあり、ArcGIS API for Python はそれらの多くとやり取りするためのクラス、関数、およびメソッドがあります。これまでは、使用している特定のサービスの種類に基づいて、コードに複数のインポート文を含める必要がありました。

複数の import 文を使用し、GIS サービスにアクセスする例 (2.3.x 以前)

バージョン 2.4.0 では、新しい arcgis.layers モジュールの Service クラスを通じて、すべての GIS サービスへのアクセスを簡素化しました。これにより、1 つのクラス (1 つのインポート文) で、サポートされている GIS サービスにアクセスすることができ、サービスの種類を指定する必要がなくなりました。

1 つの import 文を使用し、複数の GIS サービスにアクセスする例 (2.4.0 以降)

GIS サービスとやり取りするための以前のワークフローは引き続き機能しますが、将来のリリースで非推奨となる可能性があります。そのため、早めにコードの移行を開始することをおすすめします。

管理機能の強化

Web GIS の管理には、ユーザー、グループ、インフラストラクチャ、およびサーバーの管理、または ArcGIS Online や ArcGIS Enterprise の外観や操作性のカスタマイズが含まれます。以下はバージョン 2.4.0 のリリースの管理機能のハイライトです。

新しいユーザー タイプのサポート

2024 年 6 月に ArcGIS のユーザー タイプ ライセンス モデルが更新されました。ユーザー タイプは、ユーザーに割り当てられるライセンスを制御し、それによってアクセスできる機能が決まります。既存のコードは引き続き機能し、新しいユーザーを API で作成する際にユーザータイプの変更が考慮されるようになりました。

オフライン ライセンスの確認

オフラインの指定ユーザー ライセンスを確認する機能が追加されました。これにより、組織の管理者は、ArcGIS Online 組織内でライセンスをオフラインにしたユーザーをプログラムで特定でき、長期的に監視することや、組織のオフライン ライセンス ポリシーに関して連絡ができるようになりました。

ゴミ箱機能のサポート

2024 年 6 月の ArcGIS Online アップデートでゴミ箱機能が追加されました。これにより、ユーザーや管理者は組織から削除されたアイテムを復元できるようになりました。バージョン 2.4.0 では、組織の管理者が組織全体のゴミ箱のコンテンツにアクセスして復元できる機能や、削除されたコンテンツを特定のフォルダーに復元する機能が追加されました。

コンテンツ管理の強化

アイテム分類のサポート

アイテム分類は、データやアイテムに特定のラベルを割り当てるプロセスです。政府機関やその他の企業で組織内の個々のデータやコンテンツに保護レベルを割り当てたり、アクセスを制限したり、拡散を制御したりするために広く使用されています。ArcGIS Enterprise 11.4 の次期リリースでは、ポータル管理者がポータル内の各アイテムに分類および配布スキーマを定義して適用できるようになります。バージョン 2.4.0 では、新しい ClassificationManager クラスを使用して、アイテムの分類をプログラムで有効または無効にする機能が追加されました。

ArcGIS Enterprise で Living Atlas のコンテンツを更新

ArcGIS Enterprise 11.3 以降では、新しいバージョンにアップグレードするのを待つことなく、アップデートが利用可能になった時点で ArcGIS Living Atlas のコンテンツを更新することができます。バージョン 2.4.0 では、Living Atlas のアップデートをプログラムでチェック、スケジュール、およびダウンロードができるようになりました。

アイテムの再マッピング

新しい remap_data メソッドにより、Web マップや Web アプリケーションのデータ ソースを新しいデータ ソースに置き換えることができるようになりました。データが破損したり古くなったりした場合や、テスト データを本番データに置き換える場合に役立ちます。

解析とデータ サイエンス

ラスト マイル デリバリー解析

解析とデータ サイエンスの分野では、ラスト マイル デリバリー解析のサポートを追加しました。この解析を使用すると、車両による配送を空間的に最適化することができます。

Web ツールの操作

2024 年 6 月の ArcGIS Online アップデートでのノートブック Web ツールの追加に伴い、 Web ツールを操作するための機能が追加されました。これに伴い、ノートブック Web ツールを ArcGIS API for Python を使用して、公開、上書き、および利用できるようになりました。
ノートブックを Web ツールとして公開する方法については Esri Community ブログでも紹介していますので、ご参照ください。

ディープ ラーニングの強化

リリース毎に、GeoAI 分野で革新と進化を続けており、arcgis.learn モジュールに新機能が追加されています。今回のアップデートのハイライトは次のとおりです。

  • Prithvi モデルによる地理空間データの微調整
  • 気候/天気データの時系列予測のための新しいモデル (ClimaX) の追加
  • arcgis.learn.text モジュールの拡張
  • 新しい物体検出モデル (RTDetrV2) の追加

ドキュメントの更新

非推奨となる機能をまとめた「Deprecation Announcements」ページが追加されました。
ArcGIS API for Python では、将来のリリースから最終的に削除される予定の機能を非推奨とすることがあります。このドキュメントは非推奨の機能についてまとめられたページです。API リファレンスにも、これらの非推奨機能が記載されています。アプリケーションが引き続き問題なく機能し、互換性の問題を回避できるようにするため、積極的にこれらのドキュメントからコードの移行をおすすめします。

その他、新しいガイドサンプルも追加されています。また、以前のバージョンのドキュメントにアクセスする必要がある場合は、ArcGIS API for Python のトップページ右側の Looking for 2.3.x docs? からアクセスすることができます。

本記事でご紹介したアップデートの他にも機能の更新や不具合の修正等が行われています。
新機能や不具合修正等の詳細は、「リリース ノート」をご参照ください。

関連リンク

ESRIジャパン Web サイト:

米国 Esri 社 Web サイト:

米国 Esri 社 ArcGIS Blog:

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