ArcGIS Experience Builder 2024 年 11 月アップデートの新機能紹介

アイキャッチ画像 (ArcGIS Experience Builder)

ノーコードで柔軟な Web アプリを作成できる ArcGIS Experience Builder (以下、「Experience Builder」)が 2024 年 11 月 12 日 (日本時間 2024 年 11 月 13 日) にアップデートしました。今回のアップデートでは、新しいウィジェットが追加されたほか、既存のウィジェットの機能強化が行われましたので、ご紹介します。

新機能

高速モード

高速モードでは重要な機能に絞った Web アプリを構築するためのテンプレートが提供されます。各テンプレートでは特定の場所にウィジェットを追加でき、画面サイズに合わせた構築が可能です。これにより魅力的なアプリを迅速かつ効率的に作成できます。

必要に応じてフル モードに移行することでより柔軟なレイアウトと機能を実装することも可能です。

高速モードの利用方法は以下のとおりです。

  1. ArcGIS Experience Builderアプリ ランチャーから起動します。
  2. 画面右上の [高速モードに切り替え] を選択し、[+ 新規作成] をクリックします。
  1. 表示されたテンプレートの中から任意のテンプレートを選択し、[アプリの新規作成] をクリックして、新規アプリを作成します。
  2. デフォルトのマップ ウィジェットを選択し、右側の設定パネルで [マップの選択] からデータを接続します。
  3. テンプレート上にある既定のウィジェットをクリックすると、画面上部に [ウィジェットの追加] ボタンが表示され、既定以外のウィジェットを追加できます。

また高速モードは ArcGIS Web AppBuilder のクラシック テンプレートを全て含んでおり、ArcGIS Web AppBuilder から Experience Builder へスムーズに移行できます。

アコーディオン ウィジェット

アコーディオン ウィジェットは複数のウィジェットを垂直に積み重ねて整理することのできる新しいレイアウト ウィジェットです。次の動画では、凡例とチャート、調査のウィジェットを垂直に並べて表示の切り替えをしています。

既存ウィジェットの機能強化

標高断面ウィジェット

標高断面ウィジェットで複数の標高レイヤーから標高断面を作成できるようになりました。これにより都市開発などの変化によって生じた地形の変化を 1 つの Web アプリで比較することが可能です。

利用方法は以下のとおりです。

  1. 1 つ以上のマップ ウィジェットと標高断面ウィジェットが追加された Web アプリを用意します。
  2. 複数の標高レイヤーをデータ ソースとして画面左側の [データ] タブから追加します。
  1. 標高断面ウィジェットを選択し、[マップ ウィジェットの選択] で標高断面のパスの描画に使用するマップ ウィジェットを選択し、[マップ設定] に表示されているマップ名をクリックします。
  2. [標高レイヤー] を展開し、[新しいレイヤー] から複数の標高レイヤーを追加します。
  3. 複数の標高レイヤー追加時に [断面図の統計情報を表示] を有効化します。
  1. アプリを公開して、マップ上でパスを描くことで、複数の標高断面を描画できます。[標高断面] ウィジェット下部では、設定した複数の標高レイヤーを表示/非表示できます。

マップ ウィジェット

マップ ウィジェットが他のウィジェットの選択によって画面移動またはズームした場合、選択が解除されると自動的に初期範囲へ戻るオプションが追加されました。

また URL パラメーターに [選択フィーチャにズーム] オプションが追加されました。これにより URL をユーザーに共有するだけで、アプリ内の注目してほしい箇所を案内できるようになります。

詳細については「URL パラメーター」をご参照ください。

マップ レイヤー ウィジェット

マップ レイヤー ウィジェットに [ポップアップの有効化/無効化] が追加されました。

これによりレイヤー単位でのポップアップのオン/オフが可能になり、1 つのマップに複数のレイヤーが含まれている場合にポップアップの重複を避けられます。

ベースマップ ギャラリー ウィジェット

ベースマップ ギャラリー ウィジェットでは、ベースマップのインポート時に以下の項目で並べ替えできるようになりました。

  • 関連性
  • 更新日
  • タイトル
  • ビュー数
  • 所有者

また URL からベースマップ レイヤーを追加し、ラベルやサムネイルを設定できるようになりました。サポートされているベースマップ レイヤー タイプは以下のとおりです。

  • ベクタータイル レイヤー
  • イメージ レイヤー
  • イメージ タイル レイヤー
  • タイル レイヤー
  • マップ イメージ レイヤー

フィルター ウィジェット

フィルター ウィジェットにカスタム フィルターが追加されました。これによりデータ アクションの [フィルターの設定] と同じようにアプリの利用者が任意でフィルター式を作成し、実行できます。

チャート ウィジェット

チャート ウィジェットの色分け設定に [レイヤーの色を使用] オプションが追加されました。これにより各レイヤーに設定されているシンボル色をチャートの色分けと一致させることができ、視認性が高まります。

またライン チャート、エリア チャートに続いて、カラム チャートとバー チャートで時間カテゴリの解析がサポートされました。

解析ウィジェット

解析ウィジェットでは、カスタム Web ツールに関する機能が強化されました。追加したカスタム Web ツールの名前を変更したり、ツール実行時にエラーや警告メッセージの表示オプションを設定したりできるようになりました。表示するメッセージ レベルを以下から選択できます。

  • なし             : 表示しない
  • エラー          : エラーのみを表示
  • 警告             : エラーと警告を表示
  • 情報             : すべてのメッセージを表示

またカスタム Web ツールの入力および出力データとして以下のデータ タイプがサポートされました。

  • GPArealUnit
  • GPMultiValue:GPArealUnit
  • GPComposite

選択ウィジェット

選択ウィジェットでは、データ ソースとして [マップ ウィジェットの操作] を選択した場合、データ ソースのマップまたはシーンに含まれる全てのレイヤーが自動同期されるようになりました。また [レイヤーをカスタマイズ] を有効化することで自動同期する任意のレイヤーを選択することもできます。

サイドバー ウィジェット

サイドバー ウィジェットでは [サイドバーを開く] メッセージ アクションを構成した場合、トリガー データを選択できるようになりました。選択可能なデータは [すべてのデータ] または [カスタム] です。カスタムを使用することで、例えばポリゴン データとポイント データが含まれている Web マップでポリゴン データを選択した場合のみ、サイドバーが開く設定が可能です。

ウィジェット コントローラー ウィジェット

ウィジェット コントローラー ウィジェット内に多数のウィジェットが含まれる場合、オーバーフロー スタイルを設定できるようになりました。これによりコントローラー内に多数のウィジェットがあっても見つけやすくなります。さらにアイコン色のカスタマイズもできるようになり、視認性が向上しました。

また、コントローラー内のウィジェットを簡単に追加、グループ化できるようになりました。ウィジェットの追加はショートカット ツールバーの [ウィジェットの管理] ボタンから行えます。グループ化は [ウィジェットの管理] ウィンドウ内で、ウィジェットを他のウィジェットの上にドラッグ アンド ドロップすることで実現できます。グループ化されたウィジェットは 1 つのアイコンにまとめられ、レイアウトを整頓できます。

おわりに

今回のアップデートでは、より便利に高機能な Web アプリを構築できるモードが実装されたり、アプリ利用者がカスタム フィルターを作成したりできるなどのたくさんの機能が強化されました。今後も新しいウィジェットの追加や機能強化が予定されていますので Experience Builder にご期待ください。

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