ArcGIS Business Analyst Web and Mobile Apps (2025 年 6 月アップデート) の新機能

商圏分析・エリアマーケティングに特化したクラウド型 GIS ソリューション ArcGIS Business Analyst Web and Mobile Apps (以下、BA Web) が 2025 年 6 月 25 日 (アメリカ時間) (2025 年 6 月 26 日 (日本時間)) にバージョンアップしました。本記事では、本バージョンで更新された内容を紹介します。

利用可能ライセンスの変更

ArcGIS ユーザー タイプ更新に伴い、ArcGIS Online で Creator 以上のライセンスをお持ちの方は、「ArcGIS Business Analyst Web and Mobile Apps Standard」を追加ライセンス無しで利用できるようになりました。

適合性解析の強化

適合性解析の結果パネルに [相関マトリックス] 機能を追加しました。適合性解析は、サイトや区画内の人口統計・競合店舗数など、複数の指標をもとに市場性をランク付けする機能です。この解析を行う際、類似した情報を持つ指標を複数使用すると、特定の要素に過度な重みがかかり、結果の信頼性が損なわれる可能性があります。今回のバージョンから追加された [相関マトリックス] 機能では、各指標間の相関関係を可視化できるため、重複する情報を事前に発見し、評価の偏りを防ぐことが可能です。
たとえば、「平均世帯年収」と「1世帯当たりの貯蓄額」のように相関性の高い指標が複数含まれていないかを確認したり、サイトが持つ店舗別売上と相関性の高い指標を把握することで、売上に強く影響している要因を特定することができます。これにより、より精度の高い分析と意思決定が可能になります。

また、解析完了後に、結果をより効果的に共有できるようになりました。事前に作成されたインフォグラフィックにより、適合性の調査結果を明確で説得力のある形式で関係者に共有できます。

インフォグラフィックスの強化

進捗バー チャート

インフォグラフィックスに [進捗バー チャート] を追加しました。進捗バー チャートでは、データの割合や達成度を視覚的に表現することで、情報を直感的に伝えることができます。数値だけでは伝わりにくい進捗状況や比較結果を、バーの長さや色により一目で把握できるため、誰にでも分かりやすく、説得力のあるプレゼンテーションが可能になります。

アウトラインとコーナー半径のカスタマイズ

パネルオプションの [レイアウト設定] から、アウトラインと新しいコーナー半径設定オプションをカスタマイズできるようにしました。パネルのアウトラインや角の半径をカスタマイズできることで、インフォグラフィックスのデザインを目的に合わせて柔軟に調整することができます。これにより、視覚的な印象を高めつつ、情報の伝達力を強化することが可能です。

AI アシスタント (プレビュー版) の日本語対応

ArcGIS Business Analyst Web の操作を支援する AI アシスタントである Business Analyst Assistantを日本語対応しました。さらに、サイト作成とマッピング タスクの組み合わせなど、より複雑なリクエストを処理できるようになりました。

目標物 (POI) 検索の強化

ポイント データの集約機能

目標物 (POI) 検索に [ポイント データの集約] 機能を追加しました。目標物 (POI) 検索を実行した後、ポイント数などを、選択したサイトまたは地域ごとに集計することが可能です。また、アメリカなどの一部地域では、従業員数や推定売上高などを集計して表示することも可能です。

千葉県のガソリンスタンド数を市区町村ごとに集約

アイコンの追加

目標物(POI)検索で結果に表示されたポイントに対して、自動車、医療、庭園など、計 22 種類の場所アイコンを追加しました。

その他の機能強化

  • マッピングや分析の際に、データブラウザにおいてワンクリックでお気に入りの変数をすべてすばやく選択できるようにしました。
  • 色分けされたマップで凡例を使用して変数をフィルタリングすると、フィルターが更新され、一致するように同期されるようにしました。
  • マップ ツールに [効果] を追加しました。このツールは、適合性解析、スマート マップ検索、対象ポイントの追加、ベンチマーク解析など、すべてのレイヤー タイプとマップ ワークフローに適用できます。

オンライン データの新規追加・更新

オンライン データとは、Esri が配信するグローバルな人口統計データ、住所データ、道路ネットワーク データを指しており、世界 170 以上の国と地域をカバーしています。ArcGIS Online にサインインすることで、ArcGIS Business Analyst や ArcGIS Pro などの各種 ArcGIS 製品でご利用いただけます。

海外の統計データ

  • アメリカ:人口統計、消費者支出、市場ポテンシャル、産業別小売需要、都市計画を追加・更新、ArcGIS タペストリの新規追加
  • アメリカ、プエルトリコ:アメリカン コミュニティ調査データの追加
  • アメリカ、カナダ:ビジネスサマリーデータの更新

境界データ

  • アメリカ、プエルトリコ:州立法区および公共使用マイクロデータエリア(PUMA)、アメリカの部族の境界の追加・更新

目標物 (POI)データ

  • Data Axle、Safegraph、Foursquare Global Open Source の更新

Business Analyst ウィジェット in ArcGIS Experience Builderの更新

  • ウィジェットで到達圏を作成する際に、カスタム移動モードを使えるようになりました。

関連リンク

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