ArcGIS Reality 最新情報:ガウシアン スプラットをサポートしました!

2025 年、3D 表現の分野では「ガウシアン スプラット(Gaussian Splat)」が大きな話題となりました。先日国内リリースした ArcGIS Reality StudioArcGIS Reality for ArcGIS Pro では、このガウシアン スプラットの生成と表示が可能となっています。
ガウシアン スプラットは、点群とメッシュの中間を埋める軽量でフォトリアルな 3D レンダリングを実現します。
ArcGIS Reality 製品群でこの技術が利用できるようになったことで、ドローン測量、都市モデル、点検・保全、文化財記録など、多様な現場でより自然で視覚的に優れた 3D 表現が簡単に得られるようになりました。

ガウシアン スプラットとは?

ガウシアン スプラットは、位置・向き・色・広がりといった情報を持つガウス分布を要素とした 3D 表現手法です。点群よりも滑らかで連続性があり、メッシュのように複雑な生成工程を必要としない柔軟な特徴を備えています。
特徴
・滑らかで自然な 3D 表現
・メッシュなしでもフォトリアルな描画
・GPU による高速レンダリング
・色や密度を直観的に反映

ドローン画像や航空写真から生成したガウシアン スプラット

ガウシアン スプラットがもたらす価値

  1. 検査ワークフローの強化
    ガウシアン スプラットのフォトリアルで連続性のある 3D 表現は、公共事業や通信、建設分野で GIS を活用する場合に効果的な背景として機能します。例えば、ArcGIS Pro で 3D ポイントやライン、3D オブジェクトの修正に利用できます。

3D メッシュでは途切れたパイプも、ガウシアン スプラットなら滑らかな表現を実現し、
3D ラインを重ねて編集可能。(編集可能なのは重ねた 3D ラインです。)

  1. リアルな植生の可視化
    3D メッシュを作成すると、カリフラワーのように見える樹木もガウシアン スプラットでは、葉や枝、茎などを表現し、季節の変化や樹種、細かいディテールを写真のように観測することができます。
  1. 素材の高精度な表現
    ガウシアン スプラットは地物の表面や素材の描画を豊かにします。ガラス、金属、錆びた構造物などを高精度に可視化でき、3D デジタル ツインにおいて高い視認性を発揮します。

国内での活用シーン

ガウシアン スプラットは、日本国内のさまざまな業務に適用できます。

  • 都市モデル・スマートシティ:高密度建物の自然な可視化
  • インフラ点検:橋梁、法面、構造物の形状を把握しやすい
  • 防災・減災:地形変化の直感的確認
  • 文化財・遺跡の記録:フォトリアルな 3D アーカイブ
  • 建設 DX(BIM/CIM):背景の実景表現として利用
  • UAV 現場報告:レビュー段階の可視化に最適

ArcGIS でガウシアン スプラットを作成するには?

ガウシアン スプラットは、ArcGIS Reality 製品群で作成できます。
2025 年 12 月に国内リリースされた ArcGIS Reality Studio と ArcGIS Reality for ArcGIS Pro の最新バージョン、さらに 2026 年 1 月に国内リリース予定の ArcGIS Drone2Map ではガウシアン スプラットを作成・表示する機能が追加されています。

いずれの製品を使用する場合でも、ハードウェアは、以下の要件を満たす必要があります。
・ NVIDIA GPU 計算能力 7.5 以降
・ VRAM:最低 8GB(推奨 16GB 以上)

また、高品質なガウシアン スプラットを作成するには、撮影時の計画も重要です。
・ プロジェクト エリアのすべての部分を複数の角度から撮影する
直下だけでなく、斜め画像を用意することは不可欠です。長さのある構造物の場合は、複数の高度で一周するように撮影を行います。
・ 80% 以上の十分なオーバーラップで撮影する
少なくとも前方 80%、側面 60% の画像の重なりを目指して撮影することで、複雑な建物や植生の細部を捉えることができます。

左:直下+斜め画像のみのガウシアン スプラット
右:壁沿い画像を追加し、穴を補完して精度向上したガウシアン スプラット

まとめ

フォトリアルなガウシアン スプラットは、点群や 3D メッシュに次ぐ新しい 3D 表現として、幅広い業務に応用できます。現場の理解・解析・コミュニケーションをより直感的にサポートし、ArcGIS Reality を活用することで、より柔軟で効率的な 3D データ活用が可能になります。
2026 年にはガウシアン スプラットを表示できるアプリがさらに増え、計測や解析への活用も可能になる予定です。
次の ArcGIS 製品のアップデートにもぜひご期待ください。

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