前回、前々回はデータ ソース、マップの最適化についてご紹介しました。前々回ご紹介したような設定について手動で設定を行うことは非常に手間がかかります。ArcGIS 9.3.1 以降では、これらの作業を効率化するための「マップ サービス公開」ツールが提供されております。
ArcMap でマップを作成後に、[カスタマイズ] > [ツールバー] > [マップ サービス公開]を選択するとツールバーにアクセスが可能です。このツールの一番左のボタン [マップの分析]をクリックすると、ArcMap 下部にドキュメントの最適化 / チューニング ポイントのレポートが表示されます。
このツールの良い点は、ただレポートが表示されるだけではなく、レポートの各レコードを右クリックすると最適化するためのツールやプロパティにアクセスが可能な点です。このツールを使用することで、ArcMap で設定を行うためのツールやプロパティへのアクセスが簡単に行え、作業効率が向上します。このツールの使用方法の詳細は ArcMap のヘルプをご参照ください。
通常の ArcMap ユーザの方はあまり使用することがない機能であるかも知れませんが、このマップ サービス公開ツールには、もう一つ素晴らしい機能があります。マップ サービス公開ツールの真ん中の「マップ サービス定義の保存」ボタンをクリックすると、「.msd」(Map Service Definition)という形式でマップを保存することが可能です。通常、ArcMap でマップを保存する場合は、「.mxd」の形式でマップを保存します。ArcGIS Server ではこれら2つのファイルからマップ サービスを公開できますが、ファイル形式により異なる描画エンジンを使用してマップが描画されます。「.msd」を使用した場合は、より高速で描画品質の高い描画エンジンを使用します。(この描画エンジンは「.mxd」の描画エンジンと比べるといくつかの機能制限があります。詳細はこちらをご参照ください。)
以下のグラフは、「.msd」ベースのマップ サービスと「.mxd」ベースのマップ サービスを使用してマップ キャッシュを作成した場合のパフォーマンス比較例です。下の「.msd」を使用した場合に、より多くのタイル(画像)が作成できることが分かります。
次回は、マップ キャッシュを作成する前に設定可能なポイントをご紹介いたします。