ArcGIS Enterprise 10.9.1 がリリースされました。 このリリースでは、製品のさまざまな分野で機能強化や新機能が追加されています。
本ブログでは、新機能からいくつか厳選してお伝えします。
このリリースに含まれるすべての機能については、ヘルプドキュメントを参照してください。
目次
ArcGIS Enterprise ポータル
新しいアプリの追加
Map Viewer
新しい Map Viewer (従来まで Map Viewer ベータとして提供されており、ArcGIS API for JavaScript 4.x で実装された次世代の Map Viewer) はバージョン 10.9 までは個別にインストーラーを提供していましたが、10.9.1 から Portal for ArcGIS のセットアップに標準で含まれるようになりました (10.8.1 または 10.9 にベータ版をインストールしていた場合は、10.9.1 にアップグレードする前にベータ版をアンインストールする必要はありません)。新しい Map Viewer では、新しい直感的な操作が行えるように画面レイアウトが刷新され、ポップアップの設定方法、シンボルの設定オプションなどが更新されました。なお、Map Viewer Classic も含まれていますので、必要に応じて使い分けていただくことも可能です。
ArcGIS Dashboards
次世代の ArcGIS Dashboards も今回のバージョンから Portal for ArcGIS でも利用できるようになりました。 ArcGIS Dashboards は、最新の ArcGIS のシステムに適合され、相互に連動するデータ ビジュアライゼーションを用いてロケーションベースの情報から様々な特徴量を表示し、モニタリングと分析に利用することが可能です。
ArcGIS Instant Apps
Map Viewer、コンテンツ ページ、Web マップのアイテム ページから アプリの作成 メニューから ArcGIS Instant Apps にアクセスできるようになりました。 ArcGIS API for JavaScript 4.x を利用した次世代の Web アプリを少ないステップで作成することができるようになりました。
管理/コンテンツとデータ管理
Portal for ArcGIS のインストール改善
10.9.1 から Portal for ArcGIS セットアップが最適化され、パフォーマンスが向上し、パッチ適用なども含めて全体的なインストール エクスペリエンスが改善されました。
Webhook の強化
本バージョンから新しく通知が強化され、以下の内容についてメールなどで通知を受け取ることができるようになりました。
- フェデレーションされた ArcGIS Server および ArcGIS Data Store マシンのディスク容量が少なくなった場合
- ArcGIS Data Store が停止した場合、読み取り専用モードになった場合
ArcGIS システムの中で、各種データを GIS Web サービスで共有していくことになりますが、データをホストし、サービス提供する部分を担うのが ArcGIS Data Store と ArcGIS Server であり、ArcGIS システムの中核となるこれらのコンポーネントの状態について通知を受け取れるようになるため、関連インシデントや問い合わせ対応に備えることができます。
クラウド データストアの活用
10.9.1 では、Google BigQuery、Snowflake、Amazon Web Services (AWS) Redshift のクラウド データ ウェアハウスのソースを使って、マップ サービスを公開することができるようになりました。 この機能を利用するには、ArcGIS Pro 2.9 で各種クラウド データ ウェアハウスを活用したクエリ レイヤーを作成して、ArcGIS Enterprise にサービスを公開することで実現することができます。 このとき、データ ウェアハウスとの連携を ArcGIS Enterprise にも設定する必要があるため、事前に “データ ストアの追加” 機能から、ArcGIS Enterprise ホスティング サーバー サイトに登録しておく必要があります。
公開されたサービスでは、クラウド データ ウェアハウスに都度データをリクエストして対応するパターン、事前に利用するデータのスナップショットを保持して対応するパターン、またはマテリアライズド ビューを用意して対応するパターンを選択することができます。
ArcGIS Data Store
オブジェクト ストアの提供停止
10.9 で追加された ArcGIS Data Store のデータストア タイプのオブジェクトストアですが、現時点では技術的課題等を考慮して一度提供を停止して、将来のリリースで再度検討される予定に変更されました。
オブジェクト ストアはフィーチャ サービスへのクエリをキャッシュするためのストアタイプで、本バージョンの更新によりクエリのキャッシュの機能が利用できなくなりますが、フィーチャ サービスへのクエリは引き続き利用することができます。
Diskcleanup utility
本バージョンから新しく disckcleanup コマンドライン ユーティリティが追加されました。 ArcGIS Data Store のアップグレードやバックアップ後の未使用のファイルやフォルダを削除することができます。
ArcGIS Server および各種サーバーロール
ArcGIS Knowledge
実世界の事柄は多くの事象が結びつき、多様な関連性を示すと言われており、こういった関連性のあるデータを効率的に管理、処理するための新しいデータモデルとそれを可能にするグラフ DB が世界的にも活用されています。 ArcGIS Pro 2.9 と ArcGIS Enterprise 10.9.1 から、実世界の各種問題に対処するための機能として、非空間モデルのナレッジ グラフを作成することができるようになりました。
その中で ArcGIS Enterprise では、ナレッジ グラフを共有管理するために、ArcGIS Server の新しいサーバーロールとして ArcGIS Knowledge Server が追加され、ArcGIS Data Store には新しいタイプとしてグラフ ストアが追加されました。
ArcMap Runtime のオプショナル サポート
10.9 のバージョンでお知らせした ArcMap ランタイムの提供停止と ArcGIS Pro ランタイム サービスへの移行推奨のプランの一貫で、10.9.1 からは ArcMap Runtime 関連のリソースは、ArcGIS Server のアップグレードおよびインストール時のオプション、またはインストール後にオプションで追加する形式に変更されました。
ArcMap サービス ランタイムには、Python 2.x が含まれているため、ArcMap ランタイムを無効にすると Python 2.x も削除されます。 ArcMap サービス ランタイムがない場合、ArcMap サービス ランタイムを使用している既存のサービスは、ArcGIS Pro サービス ランタイムに移行する必要があります。
GeoEvent Server
バックエンドで利用しているライブラリの更新やジオフェンスのインポート処理でクエリが設定可能になり、ダイナミック ジオフェンスの改善が含まれます。詳細は GeoEvent Server の新機能をご覧ください。
Image Server
新しいラスター解析機能、ArcGIS Pro の新しいラスター関数などを新たに対応しました。詳細は、Image Server の新機能をご覧ください。