高解像度化した推計震度分布図を活用してみよう!~気象オンライン サービス(ゲヒルン版)~

2023 年 2 月 1 日より、震度の面的な分布を表現する推計震度分布図が高解像度化・高精度化し、従来の 1km メッシュ単位から 250m メッシュ単位での提供となりました(参考:気象庁 報道発表資料)。リアルタイム防災気象情報を提供する ESRIジャパン データコンテンツ Online Suite 気象オンラインサービス (ゲヒルン版) (以下、気象オンライン(ゲヒルン版))に搭載される推計震度分布図も高解像度化に対応しました。

なお、現在提供中の過去の地震に関する推計震度分布図は 1km メッシュ単位のまま更新されませんのでご注意ください。


高解像度化された推計震度分布図の例(2018年6月18日に発生した大阪府北部地震の場合)

推計震度分布図とは?

震度計で観測された震度等をもとに、地表付近の地盤の増幅度 (地表付近における揺れの増幅を示す指標) を使用して、震度を推計し、面的に表現したものです。原則、震度 5 弱以上を観測した地震について、震度 4 以上の分布が気象庁から提供されます。気象オンライン(ゲヒルン版)では、ゲヒルン株式会社から提供を受け次第、リアルタイムに ArcGIS 上で利用可能なフィーチャ サービスとして提供します。観測震度との違いについては、こちらのブログ記事で解説しています。

推計震度分布図で使用される地盤情報

推計震度分布図は上述の通り、地表付近の地盤の増幅度を加味して、震度推計を行っています。地盤情報は従来、国土数値情報を用いた 1km メッシュ単位のものでしたが、今回の更新で 「内閣府 首都直下地震モデル検討会」によって作成され公開されている 250m メッシュ単位の全国震度増分データに更新されています。全国震度増分データは、ボーリング調査や微地形区分ごとに地盤の増幅度を反映したもので、より詳細な推計震度になることが期待されます。

なお、本データは ArcGIS Living Atlas of the World 上にも「全国震度増分データ(平均震度増分)」として公開しており、ArcGIS 上ですぐに確認・利用できます。

推計震度をポイント データに付与してみよう!

気象オンライン(ゲヒルン版)の推計震度分布図はリアルタイムに更新を行っているため、地震発生後にすぐに新しい推計震度分布図を入手することができます。また、以下の手順で、拠点データなどお手持ちのポイント データに推計震度を付与することができます。

  1. ArcGIS Pro を起動し、気象オンライン(ゲヒルン版)を契約中のアカウントでサイン インします。
  2. ArcGIS Pro に任意のポイント データを追加します。たとえば、下の例では全国の「駅」ポイント(約1万件)を追加していますが、拠点データや顧客データなど他のデータでも同様に解析可能です。
  3. [マップ] タブ → [データの追加] を選択し、[ポータル] → [マイグループ] から「推計震度分布図」を選択して [OK] をクリックします。

    この状態では、複数の地震による推計震度分布図が重なり合っている状況なので、推計震度を付与したい地震のみにフィルタリングします。
  4. [推計震度分布図] レイヤーを右クリック → [プロパティ] をクリックし、[フィルター設定] を選択して以下のように設定を行います。(例. 2022年3月16日発生の福島県沖地震の場合)

    eventId は、地震1件ごとに付与される ID です。発生時刻が「YYYYMMDDHHMMSS」形式 の文字列で提供されます。
  5. ジオプロセシング ツールから [インターセクト] を選択し、以下のようにパラメーターを設定して、ツールを実行します。

    以上で、ポイント データに対して推計震度を付与することができました。

面的に推計震度が表現される「推計震度分布図」を GIS 上で活用することで、拠点情報や物件情報などに推計震度を付与して、推計震度別にデータをリスト化することができます。このように、災害発生後に迅速な被害推定や状況把握で活用されることが期待されます。

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