ArcGIS Hub は Web サイトの構築やオープンデータの公開、イベント情報の提供などが可能な、地域課題の解決や目標達成のための双方向型プラットフォームです。本製品はほぼ毎週アップデートされており、様々な機能が追加、更新されています。
本記事では、2025 年 9 月 から 11 月にかけて行われたアップデートの中から、データ探索を支援する AI アシスタント機能である ArcGIS Hub アシスタント (ベータ版) など、代表的な新機能と機能強化をピックアップしてご紹介いたします。
目次
ArcGIS Hub アシスタント (ベータ版)
ArcGIS Hub アシスタント (ベータ版) は、自然言語ベースの会話によって Hub サイト上の公開コンテンツを検索する AI アシスタント機能です。専門知識のないユーザーであっても、GIS データを探索し、必要な情報にたどり着けるように支援します。
ArcGIS における AI 関連技術では、ユーザーが提供したデータやプロンプト (AI への命令文) を保存したり、AI モデルをトレーニングしたりすることはありません。詳細は、「Trusted AI」ページをご参照ください。
また、ArcGIS ブログにて「ArcGIS 製品で AI 関連の機能を使う前に知っておきたいこと」をまとめています。ぜひこちらもあわせてご参照ください。
ArcGIS Hub アシスタント (ベータ版) を利用するメリットと利用例
ArcGIS Hub アシスタントでは、チャット画面上でデータを探索できます。従来のように、データを探してサイト上の複数のページを行ったり来たりする手間がなくなり、検索効率の向上が期待できます。また、自身でデータを探し出す場合には、データの所有者や作成日、配信形式などの複雑なメタデータを理解する必要がありましたが、キーワードを基に AI が検索を行うことで、より簡単に必要な情報にアクセスできるようになります。
下の動画では、ESRIジャパンが ArcGIS Online に公開しているコンテンツの中から、気象庁に関連するコンテンツを検索しています。AI によって 2 つのコンテンツが抽出され、表示されました。
AI による検索結果については、レイヤーをマップ上に表示して内容を確認することもできます。マップ上を探索して、特定のフィーチャの情報を確認することも可能で、GIS に慣れていない方でも簡単に GIS データを探索できます。
ArcGIS Hub アシスタント (ベータ版) を利用するには
ArcGIS Hub アシスタントを利用するには、ご利用の ArcGIS Online 組織が以下の条件を満たしている必要があります。利用の際は、ライセンスや設定をご確認ください。
- ArcGIS Hub Premium サブスクリプションを有効化している
- ArcGIS Online 組織で AI アシスタント機能を有効化している
- ArcGIS Online の [ベータ版である間、Esri アプリと機能をブロックします。] 設定を無効化している
また、ArcGIS Hub アシスタントの利用の詳細は英語ブログ「Introducing the ArcGIS Hub assistant (beta)」をご参照ください。
その他の新機能
新しいサイト作成のワークフロー
サイトを新規に作成する際に、カタログの構成方法を選択できるようになりました。[カタログをクイック スタート] オプションを選択すると、サイトのカタログで使用するグループと、サイトを同時に作成でき、効率的にサイトの作成を開始できます。
また、開始時のサイト レイアウトを選択できるようになりました。[空白] または [シンプル] のいずれかが選択でき、任意の状態からサイトの作成を開始できます。
ギャラリー カード
ギャラリー カードにイベント カードが統合され、コンテンツやイベントの表示をより細かく設定できるようになりました。最大表示数の制限が大幅に拡張され、最大 100 件までのコンテンツ、イベントを表示可能です。また、作成日やカテゴリーなどによるフィルターや表示順の制御も可能になりました。
3D コンテンツの表示
Hub サイト上でシーン レイヤーや 3D タイル レイヤーといった 3D コンテンツを直接表示できるようになりました。これまでは、Scene Viewer にアクセスしてコンテンツを確認する必要がありましたが、この機能強化によってより簡単にコンテンツを探索できるようになりました。
DCAT AP 3.0 のサポート
DCAT (Data Catalog Vocabulary) は、複数のデータ カタログを Web 上で横断、連携できるように設計された標準的なメタデータ ボキャブラリーです。DCAT AP 3.0 がサポートされたことで、ArcGIS Hub のカタログと外部のオープンデータ ポータルとの相互運用性が向上しました。
おわりに
ArcGIS 各製品では AI アシスタント機能が続々と登場していますが、ついに ArcGIS Hub にも AI アシスタント機能が登場しました。ぜひ、今回ご紹介した新機能やベータ版機能をお試しください!

