本シリーズ (全 2 回) では、UI (画面の見た目) および UX (使いやすさや体験の質) の視点から、最適なアプリ ビルダーの選び方を解説しています。
前回のパート 1 では、アプリ ビルダーを選ぶための大前提として、 5 つのデザイン パターン (Full Map (全体的なマップ)、Partial Map (部分的なマップ)、Reference Map (参照マップ)、Embedded Map (埋め込みマップ)、No Map (マップなし)) を参考に、アプリのレイアウトを先に決定することの重要性をお伝えしました。続くパート 2 では、決定したレイアウトを形にするために、どのアプリ ビルダーを選ぶべきか、各ビルダーの特徴と得意なデザイン パターンを照らし合わせながら解説します。
本シリーズは、以下のブログ記事を参考に執筆しました (原文は英語)。
・米国 Esri: App Builders | What App Builder is Right for You?
・Esri Canada: Choosing the right ArcGIS app builder: A UX & UI design perspective, Part 1 / Choosing the right ArcGIS app builder: A UX & UI design perspective, Part 2
目次
アプリ ビルダーとデザイン パターンの対応
ArcGIS には、ノーコード・ローコードで地図アプリを作成できる複数のアプリ ビルダーが用意されていますが、それぞれに得意とするデザイン パターンがあります。ここでは、ArcGIS Instant Apps、ArcGIS Dashboards、ArcGIS Experience Builder、ArcGIS StoryMaps の 4 つのビルダーを紹介します。皆さんが作りたいアプリの目的やワークフローに合わせて、最適なビルダーを選びましょう。
ArcGIS Instant Apps
- 得意なパターン: Full Map (全体的なマップ) / Partial Map (部分的なマップ)
- おすすめの用途: 初めてアプリを開発する方や、単一の目的に特化したアプリ (ポートフォリオ、対話形式の凡例、近傍検索など)、または地図をシンプルに素早く作成したい場合に最適です。
- 特徴と活用のポイント: テンプレートの多くが「Full Map」パターンか「Partial Map」パターンを採用しています。例えば「ベーシック テンプレート」は地図が主役の構成に適し、「近傍テンプレート」は地図の横 (サイドバー) に検索ウィジェットを置く構成に向いています。特に「サイドバー テンプレート」は複数のウィジェットを設置できる便利な「Partial Map」パターンですが、同時に複数のツールを開くことはできないため、並行作業が必要なワークフローには不向きである点に注意が必要です。
ArcGIS Dashboards
- 得意なパターン: Reference Map (参照マップ) / No Map (マップなし)
- おすすめの用途: データに基づいた意思決定のためのアプリや、地理的な位置関係よりも数値・グラフなどの統計情報や KPI を中心に見せたい場合に適しています。後述の ArcGIS Experience Builder ほどの高い柔軟性を必要としない場合にもおすすめです。
- 特徴と活用のポイント: 初期状態では「Full Map」パターンが表示されますが、グラフ、指標、リストなどのウィジェットを追加することで、地図を補足として扱う「Reference Map」パターンへと変化します。さらに、地図をあえて省略して他のウィジェット (テキスト、グラフ、リスト、フォームなど) に集中させることで、「No Map」パターンへも変化します。
ArcGIS Experience Builder
- 得意なパターン: Partial Map (部分的なマップ) / Reference Map (参照マップ)
- おすすめの用途: 地図と複数のウィジェットを連携させたい場合や、複雑なワークフローへの対応、モバイル端末などの異なる画面サイズへのレスポンシブなレイアウトを自由にカスタマイズしたい場合に最適です。
- 特徴と活用のポイント: ウィジェットが豊富に準備されているため、目的に合ったツールが見つかります。ウィジェットをアプリ内のどこにでも任意のサイズで設置できるため、「Partial Map」パターンや「Reference Map」パターンを簡単に実装できます。豊富なレイアウト ウィジェット (固定パネルや列、グリッド) を使用してアプリ内を整理したり、サイドバー ウィジェットの中にお好みのウィジェットを設置したりと、前述の ArcGIS Instant Apps や ArcGIS Dashboards よりも多機能で柔軟なアプリを作成することができます。
ArcGIS StoryMaps
- 得意なパターン: Embedded Map (埋め込みマップ) / Full Map (全体的なマップ)
- おすすめの用途: テキスト、写真、動画と地図を組み合わせ、物語 (ストーリー) 形式で情報を伝えたい場合におすすめです。広報、教育、観光案内、報道といった用途で威力を発揮します。
- 特徴と活用のポイント: ブロックとテンプレートを使用することで、地図を視覚的な補足として Web ページに自然に組み込む「Embedded Map」パターンを容易に実現できます。また、「マップ ツアー」などの機能を使えば、ストーリーの流れの中で地図上の位置や空間情報に集中させる「Full Map」パターンの要素を持たせることもでき、魅力的な情報発信が可能です。
アプリ ビルダーの正しい選び方
ここまで、各ビルダーの特徴を地図アプリのデザイン パターンと結びつけて紹介してきました。もしかすると、これまでは「なんとなく」という理由でビルダーを選んでいたかもしれません。しかし、一歩立ち止まって考えてみてください。
- ユーザーはどのような操作をしますか?
- そのウィジェットは、本当にそこに配置すべきですか?
- そのウィジェットは、本当に必要ですか?
「どのアプリ ビルダーが最適か」が自然と見えてくるはずです。この記事が、皆さんの最適なビルダー選びの助けとなれば幸いです。
