ArcGIS Urban 2026 年 3 月アップデートの新機能

ArcGIS Urban は、個別のプロジェクトではなく、GIS 技術を都市計画に適用した Web ベースの 3D アプリケーションで、土地利用やゾーニング計画、個別開発プロジェクトを統合的に可視化・検討できる製品です。都市全体をデジタルツインとして表現し、複数の計画シナリオを作成・比較することで、建物規模や密度、影響指標などを定量的に分析できます。法規制やゾーニング条件を 3D で可視化し、計画の妥当性を直感的に把握できる点が特長です。さらに、計画やプロジェクトを関係者と Web 等で簡単に共有でき、スムーズな合意形成と協働を支援します。

2026 年 3 月 24 日に ArcGIS Urban がアップデートされ、よりリアルな 3D 表現の強化から、既存建物を踏まえた計画立案、さらにパラメーターを活用した実用的な指標まで、都市計画における現況把握をこれまで以上に正確かつ明確に行えるようになりました。
変化し続ける都市環境の中で、計画をより現実的に検討・実行するための機能強化と言えます。
このブログでは、今回のアップデートにおける代表的な3つの新機能をご紹介します。

Google photorealistic 3D ベースマップ (ベータ版) の採用

デフォルトのリアルなビジュアライゼーションとして、Google photorealistic 3D ベースマップ (ベータ版) が使用されるようになりました。
これにより、提案された建物が既存のインフラや植生、主要な交通拠点など、周囲の環境とどのような関係にあるのかを、直感的に把握しやすくなります。

Google photorealistic 3D ベースマップを利用するには、ArcGIS Online 組織の管理者が、[マップとシーン] の設定において当該ベースマップを有効化している必要があります。詳細はブログ記事をご参照ください。

「開発状況」項目の追加

今回のアップデートで、都市の高密度化ワークフローが初めて導入されました。
これにより、既存建物をより正確に捉えながら、既存建物の再利用、増築、新築部分の追加といったさまざまなシナリオを組み合わせて検討できるようになります。
たとえば、既存の単身者向け住居を基に、既存シナリオで現在の建物配置や空間構成を表現・定量化し、その内容を設計シナリオへコピーしたうえで、既存建物の再利用や上方向への増築といった戦略を検討することが可能です。

これは、既存建物を活かしながら新たな用途を組み合わせ、複合用途エリアを形成していくという、一般的な高密度化・再開発の考え方を反映しています。
設計検討の過程では、建物内のスペースを「変化なし」「新規」「再利用」といった区分で設定できます。

こうした区別は、スプレッド シートや Web シーンへのエクスポート、および各種指標に直接反映されるため、既存建物が計画判断にどのように寄与しているのかを明確に把握できます。
また、ダッシュボード上でシナリオを切り替えることで、既存条件と設計案を容易に比較することも可能です。

ゾーニングおよびオーバーレイのパラメーター

ArcGIS Urban では、ゾーニング タイプおよびオーバーレイ境界に対してパラメーターを設定し、区画ベースの指標として活用できるようになりました。
これにより、交通手段の割合や税率といった空間的に位置づけられた変数や、用途分布、規制条件など、ゾーニング タイプに基づく要素を柔軟にモデル化できます。
前回のアップデートで追加された「区画パラメーター」と組み合わせることで、指標の表現力と柔軟性がさらに向上しています。

例えば、ある開発街区において駅から近く、地価の低いエリアへの公共施設の割り当てを検討する際、「区画パラメーター」に地価を割り当て、「ゾーニングおよびオーバーレイ パラメーター」で駅からの距離に対する評価を設定し、2 つをかけあわせることで適性を指標として表示するなどの使い方ができます。

まとめ

今回のアップデートでは、Google photorealistic 3D ベースマップ (ベータ版) の採用により、リアルな表現と計画の影響が可視化されました。また、「開発状況」を「変化なし」「新規」「再利用」の 3 種類から指定することにより、既存建物の計画判断に使用したり、既存条件と設計案を容易に比較したりすることも可能になりました。
さらに、「ゾーニングおよびオーバーレイパラメーター」が導入されたことで、その他の条件との掛け合わせによるより良い指標を数値で示せるようになりました。
複雑な計画を定量的に評価するツールとして是非ご活用ください。
なお、その他の新機能はEsri 社のブログ (英語) をご参照ください。

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