はじめに
「高精度3D空間情報」は、高解像度航空写真(GSD5cm)および MMS データをベースに整備された高精度な 3 次元データベースです。このデータには、以下の情報が収録されています。
- 道路の境界(道路境界・歩道境界・分離帯境界)
- 地上地下出入口
- マンホールの位置情報
今回は、本データを活用して、どのようなことができるのかご紹介します。
活用事例
ここからは、ArcGIS で高精度3D空間情報を活用する具体的な事例を 2 つご紹介します。
道路幅員データを活用したネットワーク解析
道路境界データは通常、ライン情報として提供されますが、これを基に生成した道路ポリゴンを利用することで、より高度な解析が可能になります。この道路ポリゴンには、以下のような属性情報を持たせることができます。
- 道路幅員:高精度な幅員情報を付与
- 歩道の有無:車道境界と歩道境界の情報から判定
こうした属性を持つ道路ポリゴンは、ルート解析において非常に有用です。
今回は、道路ポリゴンと、ESRIジャパンが提供する ArcGIS Geo Suite 道路網のネットワークデータを組み合わせた活用法を 2 つご紹介します。
幅員情報を活用した大型車ルート解析
大型車は、道路幅員が狭い道路を通ることができないため、幅員を考慮したルート選択が必要です。ArcGIS では、バリアを利用することで、道路幅員を条件にしたルート解析が可能です。
今回は、道路幅員が 8.0m 未満の道路に通過不可のバリアを設定し、ルート解析を実行しました。その結果、大型車が安全に通行できる経路を算出することができます。以下の画像は、その解析結果です。
歩道情報を活用した歩行者ルート解析
同様に、歩道の有無を属性として持たせることで、歩行者が安全に歩けるルートを求めることが可能です。ArcGIS のルート解析では、バリアとして「通過不可」だけでなく、コストを加算する設定もできます。例えば、小学校までの通学路を検討する際、歩道なしの道路にコストを設定することで、歩道がある道路を優先する解析が可能です。以下の画像は、歩道なしの道路にコストを設定して解析した結果です。
このように、道路境界のデータをポリゴン化し、幅員や歩道の情報を付与することで、
- 大型車が通れるルート
- 歩行者が安心して歩ける通学路
といった現実的な条件を考慮したルート解析が可能になります。ArcGIS のネットワーク解析機能と高精度3D空間情報を組み合わせることで、都市計画、防災、交通管理など、さまざまな分野で活用できる強力なソリューションとなります。
高精度3D空間情報を使用した位置合わせ
本データは、位置の基準となる道路境界およびマンホールの 3 次元座標を位置情報レベル 500 相当の位置精度で整備しています(原典データは GSD5cm の高解像度航空写真トゥルーオルソ画像、数値表層モデル(DSM)、MMS 計測データを利用)。そのため、BIM データを ArcGIS 上に取り込んだ際の高精度な位置合わせに活用できます。実際に、ArcGIS のジオリファレンス機能を利用して、BIM データを位置合わせしてみました。

おわりに
高精度3D空間情報は、社会インフラ事業者(電気、ガス、上下水道、通信など)が保持する設備情報を 3D 空間で共用化し、デジタルツインで運用することを想定した Smart Infra 構想のもとに整備された位置基準データです。都市やインフラの管理において不可欠な要素となりつつあります。ArcGIS を活用することで、BIM/CIM データとの連携や高度なネットワーク解析が実現し、よりスマートで効率的な都市づくりが可能になります。
サンプルデータなどのご用意もありますので、本データについて気になった方はぜひお問い合わせください。
