ArcGIS Maps SDK for JavaScript の最新バージョン 5.1 をリリースしました。
以下では、ArcGIS Maps SDK for JavaScript バージョン 5.1 の主な新機能、機能拡張をご紹介します。
目次
- 1 バージョン 5.1
- 1.1 Parquet: パフォーマンスの最適化と新機能
- 1.2 Web における高度な ArcGIS Pro シンボル設定
- 1.3 ラインに沿ったアニメーション
- 1.4 編集機能の更新
- 1.5 2D における M 値および Z 値のサポート
- 1.6 画面上の矩形によるフィーチャの取得 (ベータ版)
- 1.7 View からポップアップ フィーチャを取得
- 1.8 ガウシアン スプラット レイヤーに対する 3D 解析機能のサポート
- 1.9 AI コンポーネント (ベータ版) の更新
- 1.10 マップ コンポーネントの更新
- 1.11 チャート コンポーネントの更新
- 1.12 コーディング コンポーネントにおける Arcade Editor の機能強化
- 1.13 方向付き画像の機能強化
- 1.14 大規模ポリゴンのパフォーマンス向上
- 1.15 3D ポリゴンのテッセレーションの機能改善
- 1.16 3D オブジェクト レイヤーから関連モデルを検索
- 1.17 日射量解析
- 1.18 アノテーションとディメンションの表示 (ベータ版)
- 1.19 通信ドメイン ネットワーク
- 1.20 アクセシビリティーおよびローカライズの改善
- 1.21 ドキュメントの更新
- 1.22 もっと詳しく
バージョン 5.1
Parquet: パフォーマンスの最適化と新機能
ParquetLayer (ベータ版) のパフォーマンスがさらに向上しました。空間的に最適化された Parquet ファイルに対応したことで、空間クラスタリングとマルチスケール インデックスを組み合わせて、表示に必要なファイルの部分のみをストリーミングできるようになりました。6 月の ArcGIS Online のリリースでは、ArcGIS GeoAnalytics Engine や ArcGIS Data Pipeline を使用して、空間的に最適化された Parquet ファイルを作成可能になり、Map Viewer で Parquet レイヤーのカスタマイズも可能になりました。さらに、Parquet レイヤーの検索性能の改善、定義式によるデータのフィルタリングのサポート追加、高度な検索オプションの追加など、多くの機能強化が行われています。
これらの新しいアップデートにより、大規模な表形式データセットの効率的な保存と分析を目的として設計されたオープンソースのカラム指向ファイル形式である Parquet は、Web GIS におけるビッグ データ ワークフローの重要な要素となりました。ParquetLayer は、スケーラビリティー、効率的な保存、および高パフォーマンスな可視化が重要となる、大規模な読み取り専用のデータセットに最適です。また、連続的なフィーチャのジオメトリーを保持できるため、ベクター タイル レイヤーに代わる有力な選択肢となります。一方で、運用用途や一般的なサイズのデータセットには、引き続き FeatureLayer の利用が推奨されます。
Web における高度な ArcGIS Pro シンボル設定
代替シンボルを用いた縮尺ベースのレンダリング
新しい alternateSymbols プロパティを使用することで、CIM シンボルの配列を指定し、個別値分類レンダラーや階級区分レンダラーにおいて、縮尺に応じたレンダリングを実現できます。View がシンボルに定義された縮尺範囲を超えてズームされた場合、レンダラーは自動的に alternateSymbols 配列の中から縮尺の条件を満たす次のシンボルを使用します。縮尺ベースのレンダリングにより、小縮尺で大規模データセットを効率よく可視化でき、縮尺ごとに異なるレンダラーを複数作成する手間を省くことができます。
シンボル レイヤーの描画オプションによる描画順の制御
FeatureLayer でシンボル レイヤーの描画がサポートされ、開発者は 2D マップにおいて CIM シンボルのデフォルトの描画順序を上書きできるようになりました。
これらの高度なシンボル設定はプログラムで定義できるほか、ArcGIS Pro から代替シンボルやシンボル レイヤー描画を設定して公開されたレイヤーも、Web 上で正しく反映されます。さらに、シンボル レイヤー描画は Map Viewer でも作成できます。
ラインに沿ったアニメーション
新しい CIM シンボルのアニメーションタイプである CIMSymbolAnimationMoveAlongLine (ベータ版) により、ライン ジオメトリーに沿ってマーカーをアニメーション表示し、飛行経路に沿って移動する飛行機や、流れるような交通パターンなど、動的で魅力的な可視化を作成できます。
この CIM アニメーション タイプは表示専用である点にご注意ください。オブジェクトのリアルタイムな位置を追跡および可視化するには、StreamLayer を使用してください。
編集機能の更新
Editor 内の添付ファイル要素
Editor コンポーネントで添付ファイル要素が直接サポートされるようになり、添付ファイルの作成操作が、設定可能なフォーム操作と同じ環境に統合され、一貫したレイアウトと動作が行えるようになりました。
Editor での入力の複数選択
Editor 内で直接使用される FeatureForm が入力の複数選択に対応し、データ収集、点検、調査、分類などのユース ケースにおける編集ワークフローが改善されます。
2D 作図時のセグメントの長さの表示
Editor および Sketch コンポーネントにおいて、ポリラインやポリゴンのジオメトリーを作図、編集する際にセグメントの長さのラベルを表示できるようになり、3D 編集ワークフローと同様の操作が実現できるようになりました。

新しい接線曲線ツール
Editor および Sketch コンポーネントに、接線カーブ セグメントの作図ツールが追加されました。接線曲線とは、接線と既存の線分が交わる点 (終点) を通る円弧セグメントのことです。
2D における M 値および Z 値のサポート
2D マップの FeatureLayer で、M 値および Z 値がサポートされるようになりました。これらの値に依存した表示の場合、2D レンダリング クエリーは M 値および Z 値を取得し、クライアント側のフィーチャ ジオメトリーで利用可能にします。M 値は頂点に付加される測定値で、ライン フィーチャに沿った距離、制限速度、またはルートの始点および終点などを表します。さらに、新しい CIM シンボル タイプとして CIMMarkerPlacementAtMeasuredUnits が追加され、補間された M 値に基づいてライン上にマーカーを配置できるようになりました (例:ルート上の距離標の可視化)。

Z 値は、頂点の位置を指定するために使用される第 3 の座標であり、通常は標高や地表からの上下方向の距離を示します。表示の一貫性を保つため、2D において表示される Z 値は、ラベルやポップアップで表示される場合も含め、マップの水平座標系の線形単位に合わせて自動的にスケーリングされます。
画面上の矩形によるフィーチャの取得 (ベータ版)
2D マップ コンポーネント上で、画面上の矩形から直接フィーチャを取得できます。マップをパンまたはズームすると、hitTest メソッドは既存のポイント ベースの操作に加えて、指定した矩形と交差する複数のレイヤーのフィーチャを返します。この新機能により、ドラッグによる選択 (drag-to-select) やエリア確認といったワークフローをより簡単にサポートできます。
また、画面上のポイントや矩形を指定して、ImageryLayer や ImageryTileLayer からラスター ピクセルを hitTest メソッド経由で取得できるようになり、この対話的なワークフローがラスター データにも対応するようになりました。
View からポップアップ フィーチャを取得
新しい fetchPopupFeatures メソッドは、Map、Scene、Link Chart コンポーネントで利用でき、指定した画面上のポイントまたは矩形 (ベータ版) から、PopupTemplate を持つすべてのフィーチャを View から直接取得します。これにより、従来は Popup や Feature コンポーネントが必要だった対話的なワークフローが簡素化されます。
ガウシアン スプラット レイヤーに対する 3D 解析機能のサポート
GaussianSplatLayer を、日射量解析、遮蔽されたコンテンツを明らかにするスライス解析、見通し解析、標高プロファイルなどの強化された 3D 解析機能により、対話的に探索できるようになりました。これにより、複雑な 3D シーンにおける ガウシアン スプラット コンテンツの可視化および解析ワークフローが拡張され、他の 3D レイヤー タイプと同等レベルの解析機能に近づきます。
AI コンポーネント (ベータ版) の更新
カスタム エージェントの構築をより簡単にするエージェント ユーティリティー
新しいエージェント ユーティリティーのクラスと関数により、カスタム ワークフロー向けのエージェントを構築、作成できます。これらのユーティリティーを使用してカスタム エージェントを作成する方法については、新しい「Create custom agents」ガイドをご覧ください。
新しいナレッジ エージェントによるナレッジ グラフの探索
ナレッジ エージェントを使用すると、サービスから直接、またはマップやリンク チャート上でナレッジ グラフのデータを探索できます。
パフォーマンスの向上
新しい高速モデル (GPT-5.4-nano) により、分類や要約などのタスクでコストと速度を最適化できます。ヘルプ、ナビゲーション、データ探索エージェントは、一部のシナリオでこのモデルを使用し、より高速な応答を提供します。
マップ コンポーネントの更新
新しいマップ コンポーネント
今回のリリースでは 6 つの新しいマップ コンポーネントが導入されました。例えば、Coordinate Conversion Next コンポーネント (ベータ版) は、座標変換のための次世代コンポーネントであり、刷新されたインターフェイス、複数の同時変換への対応、追加の設定オプションを備えています。「-next」と付いたコンポーネントは、同名の既存コンポーネントの後継であり、機能強化および / またはユーザー インターフェイスの更新が行われています。これには、互換性を損なう破壊的な変更が含まれる場合があります。
レイヤーの宣言的な参照
FeatureTable、Directions、OrientedImageryViewer コンポーネントに新しく追加された mapLayerId プロパティにより、アプリは Web マップまたは Web シーン内の既存レイヤーを ID で宣言的に参照できるようになりました。これにより、コンポーネント設定が簡素化され、重複したレイヤー読み込みが減少し、起動時の効率が向上します。
チャート コンポーネントの更新
Calcite CSS 変数によるチャートのスタイリング
Calcite CSS 変数を使用してチャートのスタイルをカスタマイズし、アプリケーション全体のデザインにより適合させることができます。例えば、チャートでダーク テーマを使用する場合は calcite-mode-dark クラスを使用します。
イメージ レイヤーのチャートのサポート
ImageryLayer、ImageryTileLayer および WCSLayer において、既存のチャートの読み込むかチャート モデルを使用して新規にチャートを作成することで、ヒストグラムや散布図を設定できるようになりました。また、イメージ レイヤーにラスター属性テーブルが含まれている場合は、棒グラフも設定できます。
チャート タイプとスタイリングに関する新しいガイド
サポートされている各チャート タイプについて、すぐに利用を開始できる実用的な設定例を掲載した新しいガイドが追加されました。さらに、スタイリングおよびテーマ設定のベスト プラクティス ガイドでは、チャートの外観をカスタマイズするための推奨事項が提供されています。
コーディング コンポーネントにおける Arcade Editor の機能強化
Arcade Editor デバッガーの導入
Arcade Editor コンポーネントが強化され、より詳細なエラー メッセージやブレークポイントなど、ユーザーにとってより優れたデバッグ体験を提供するようになりました。このデバッガーは以下のタグで実装できます。
<arcgis-arcade-editor
enable-debugger
</arcgis-arcade-editor>
Arcade Editor の Arcade アシスタント (ベータ版)
Arcade アシスタント (ベータ版) が、Arcade Editor を使用したカスタム アプリケーションで利用可能になりました。このアシスタントの AI モデルは、自然言語のプロンプトから Arcade 式を生成したり、コード内のエラーを検出、修正したりすることができます。
方向付き画像の機能強化
Oriented Imagery Viewer コンポーネントにおいて、重ね合わせ表示機能が導入され、ビューアーに現在表示している画像を 3D シーン上に直接重ねて表示できるようになりました。重ね合わせ表示機能を活用することで、ユーザーは視覚的な検証を行ったり、状況認識を向上させたり、位置合わせの問題を特定したり、3D 環境を離れることなく、より適切な意思決定を行うことができます。
また、連続的なナビゲーションにおいて複数フィールドによる並べ替えに対応し、動画コンテンツを含む方向付き画像レイヤーでも画像オーバーレイを利用できるようになりました。
大規模ポリゴンのパフォーマンス向上
ArcGIS Online のホスト フィーチャ サービスにおいて、頂点数の多い大規模かつ複雑なポリゴンの描画パフォーマンスが改善されました。大きなフィーチャが複数のタイルにまたがる場合でも、そのジオメトリーは一度だけ取得されるため、サーバー側の処理とクライアント側の負荷が大幅に軽減されます。
3D ポリゴンのテッセレーションの機能改善
3D テッセレーション ユーティリティーが改善され、複数のリング、穴、自己交差を持つポリゴンをより適切に処理できるようになり、複雑なポリゴンの 3D 描画が 2D とより一貫したものになりました。

3D オブジェクト レイヤーから関連モデルを検索
3D ObjectSceneLayer では、3D オブジェクト フィーチャに関連付けられたソース モデルおよび派生モデルの検索がサポートされるようになりました。これにより、利用可能なモデル形式の確認、glb や ifc ファイルなど特定の表現の指定、必要に応じたモデル ファイルのダウンロードが可能になります。

日射量解析
日射量解析では、影の投影解析および Shadow Cast コンポーネントで利用可能な機能として、日照状況の可視化と分析を行います。選択した日付と時間範囲において日光が当たるエリアを可視化でき、あらかじめ定義されたポリゴンのエリアに解析範囲を限定することも可能です。また、カスタム カラー ランプを使用して、説得力のある可視化表現を作成できます。
アノテーションとディメンションの表示 (ベータ版)
このリリースでは、2D マップ上でアノテーションやディメンションを表示し、Layer List コンポーネントに表示したり、Web マップとして保存したりするために、AnnotationFeatureLayer (ベータ版) および DimensionFeatureLayer (ベータ版) が追加されました。アノテーションは、位置、レイアウト、スタイル属性を持つテキストで構成されるフィーチャの一種です。本リリースでは、引き出し線を表示せずに、フィーチャリンク アノテーションおよび標準的なアノテーションの表示をサポートしています。ディメンションは建物や土地の区画の一辺の長さ、または消火栓と建物の角のような 2 つのフィーチャ間の距離を示すことができます。DimensionFeatureLayer は 2D マップでディメンションを表示するためのもので、3D でディメンションを実装する場合は DimensionLayer を使用します。
これは AnnotationFeatureLayer および DimensionFeatureLayer の最初のベータ版リリースです。これらのレイヤーは、まだ本番環境での使用を想定したものではありません。今後のリリースでは、より充実した描画機能、選択機能やポップアップ表示のサポートなどが追加される予定です。引き続き機能の改善と拡張を進めてまいりますので、ぜひご自身のデータでテストを行いフィードバックをお寄せください。
通信ドメイン ネットワーク
通信ドメイン ネットワークのサポートが追加されました。これは、ArcGIS Pro 3.7 および ArcGIS Enterprise 12.1 で通信事業者向けに初めて導入された強力な機能です。光ファイバー、無線、銅線、同軸ケーブルなどのインフラを扱う組織向けに設計されており、芯線やポート レベルでの詳細かつ複雑なネットワーク モデリングを可能にします。新しい JavaScript API により、回線管理、複雑なデータ モデリング、回線および経路のトレースに対する専用のサポートが提供され、Esri パートナーやサードパーティー開発者は、通信業界向けの高機能な Web アプリケーションを構築できるようになります。
アクセシビリティーおよびローカライズの改善
2D でのフォントの拡充
より多くのフォントに対応しました。これには、複雑な字形や文字構造を持つ言語に対する専用のサポートも含まれています。新たにサポートされた「Atkinson Hyperlegible」フォントは、特に資格に障害のあるユーザーにとって、可読性を最大限に高めます。
動的なアナウンスとフォーカスの管理
Bookmarks コンポーネントおよび Search コンポーネントは、操作中の動的な変化を支援技術に通知するようになり、ユーザー インターフェイスにおける重要なコンテキストの変化をユーザーに知らせます。また、Popup コンポーネントでは、表示時のフォーカスの管理機能が強化されています。
ドキュメントの更新
SDK の機能を組み合わせたショーケース アプリの刷新
ショーケース ページが全面的に刷新され、3 つの新しいアプリケーションが追加されました。すべての 2D / 3D アプリはプログラミングのベスト プラクティスに準拠しており、主要な SDK 機能を組み合わせて、実際の現場で役立つ完成度の高い体験をどのように構築するかを示しています。
新しい認証ガイド
セキュアな ArcGIS リソースへアクセスするための認証に関するベスト プラクティスをまとめた、新しい認証ガイドを追加しました。認証の種類に関する詳細情報、ステップバイステップのチュートリアル、コード例が含まれています。
旧バージョンのドキュメント
バージョン 5.0 およびバージョン 4.34 以降、サポート対象となる過去の SDK のドキュメントが「SDK Downloads and Archive」ページで公開されています。これにより、SDK をローカルにダウンロードしなくても、過去バージョンのドキュメントに簡単にアクセスできるようになりました。
もっと詳しく
バージョン 5.1 には、これ以外にも多くの機能強化が追加されています。3D でのナビゲーション改善、プレビュー機能としての体積測定フィールド設定のサポート拡充などが追加されています。詳細および機能強化の全リストについては、リリース ノートをご覧ください。
