まもなくリリース予定の ArcGIS Desktop 10 ではライセンスに関する変更点がいくつかありますのでその内容について説明いたします。
■ライセンス名称の変更
ArcGIS Desktop には以下の 2 つのライセンス形態があります。
・1 台のマシン限定で利用が可能なライセンス
・ライセンス サーバで同時に利用可能なライセンス数を管理し、利用するマシンを限定しないライセンス
ArcGIS 9 までは、前者を「シングルユース ライセンス(略称:SU)」、後者を「フローティング ライセンス (略称:FL)」と呼んでいましたが、ArcGIS 10 からはそれぞれ「単独使用ライセンス(略称:SU(Single Use))」、「同時使用ライセンス(略称:CU(Concurrent Use))」に変更になります。
■ライセンス認証の変更
従来からあるハードウェア キーによるライセンス認証は廃止になり、マシン固有の情報によるライセンス認証が全面的に採用されます。ソフトウェアのライセンス認証プロセスで、認証番号とマシン固有情報をEsri 社のサーバに登録することにより、単独使用ライセンスの ArcGIS Desktop や同時使用ライセンスのライセンス マネージャが動作するマシンが特定されます。
マシンの買い替えなどでご利用のマシンの変更が発生する場合は、現在認証されているマシンのライセンス認証を解除し、新規マシンで新たにライセンス認証を行う手順をとります。この行為については年 4 回まで行うことができます。
■ライセンスの借用機能(同時使用ライセンス)
ArcGIS 10 から同時使用ライセンスの借用が可能になりました。従来はネットワーク上にあるライセンス サーバを参照できる環境でなければ同時使用ライセンスを利用することができませんでしたが、借用機能でライセンスの切り出しを行うことで、ライセンス サーバを参照できない環境でも ArcGIS Desktop を利用することができます(借用したライセンスの数だけサーバ上のライセンス総数は減少します)。借用の期間(デフォルトは 30 日)は任意に設定でき、その期間を過ぎると自動的に借用したライセンスは利用できなくなり、サーバ上のライセンスが 1 つ復元されます。
■ライセンス マネージャの互換性について
ArcGIS Desktop 10 の同時使用ライセンスを使用するには、ライセンス サーバに ArcGIS 10 用のライセンス マネージャをインストールする必要があります。 ArcGIS 10 用のライセンスを ArcGIS Desktop 9.x から参照することも可能ですが、ArcGIS 9.x と ArcGIS 10 のライセンス マネージャを同じサーバで併用することはできません。
■ArcGIS Engine Runtime のライセンスについて
ArcGIS Engine Runtime のライセンスは従来単独使用ライセンスのみでしたが、ArcGIS 10で新たに同時使用ライセンスが追加されました。ArcGIS Engine Runtime のライセンス認証方法は ArcGIS Desktopと同様です。