みなさんは ArcNews をご存じでしょうか? GIS ユーザコミュニティおよび地図やマッピングに興味をお持ちの読者を対象に、米 Esri 社から年 4 回発行している季刊誌です。今年、発刊から 33 年を迎えた ArcNews について、米 Esri 社の Matt Artz 氏 はブログ上でその歴史とこれから、に関して以下のように述べています。
私は採用面接を受けるため、会議室で米 Esri 社 Jack 社長を待っていました。あれは 1989 年の 10 月。当時すでに私は ArcNews の大ファンで、毎号が郵便で届くのを心待ちにし、届くとすぐさま表紙から最後のページのすみずみまで読むのをとても楽しみにしていました。ですから、その場で刷り上がったばかりの 1989 年秋号を手渡され、「これは最新号だよ! Jack 社長もまだ見ていないんだ。」と言われた時は、心躍る思いでした。
Jack 社長は部屋に入り、握手をするために私に手を差し伸べました。すぐさま、彼の視線は私の手元にとまり、「もしかして、それは最新の ArcNews かい?!」と叫びました。そして私から ArcNews をとりあげ、座り、5 分近くかけて全体をぱらぱらと読んでいました。一息ついたところで、私がまだ部屋にいることに気づき、 Jack 社長は私の方に顔を上げて言いました。「すまない、だがこれが唯一私をわくわくさせるものなんだ。」
※印刷版の新聞、まだ身近にありますか? 1989 年秋号の ARC News ( 10 周年目)では、米 Esri 社と Digital Chart of the World (世界電子地図)との契約を発表しています。
今日、毎四半期で ArcNews は少なくとも 80 万人の人々に読まれています。しかし、開始当初は今よりもずっとささやかなものでした。その後に ArcNews となった最初の号は 1979 年にユーザの元へ届けられました。たったの 3 ページ、そのうち 2 ページは Jack 社長と当時の編集者であった Bill Matteson 氏がニュースレターの概要を説明するものでした。
”最近、一緒に仕事をしたいくつかの組織が米 Esri 社との継続的で自由なコミュニケーションをもちたい、という意向を示してくれた。ここに添付したニュースレターは、これを実現する第一のステップである。”
”私たちはこれが情報を共有するためのフォーラムとなり、双方向的なものになることを期待している。私たちが、新しい技術としてどのようなものを開発し、みなさんをどのようにサポートできるか、についてぜひ知ってもらいたいと考えている。一方、みなさんがどのように我々の技術を使い、どのようなニーズやアイデアをお持ちなのかをぜひ知りたいと考えている。そして、私たちに何かお手伝いできることはないか、を探している。”
※米 Esri 社ニュースレターの第一号では、”ターンキー方式のハードウェア/ソフトウェアシステム”、”コリドー(回廊)配置の適合性”、”新しいデジタイジング技術”といった記事をカバーしていました。
ArcNews は当初の基本姿勢を貫きつつも、様々なサイズ、フォーマット、デザインを経て、紙面、デジタルメディアの両方において進化を続けています。そして、もう随分前から、最大の発行部数、 GIS 専門で継続的に発行している定期刊行物としては最長の記録を誇ります。何より、 ArcNews は常に無償で配布されてきました。
米 Esri 社の事業拡大に伴い、ArcUser、ArcWatch、その他分野に特化したニュースレターの数々を刊行してきました。多数の刊行物、何千もの社員を抱え、 Jack 社長も昔ほど現場に携わることは出来なくなりました。しかし、一つだけ変わらないのは、 Jack 社長の ArcNews への取り組みです。”編集から刊行のプロセスにおいて、彼は全てのページを詳細に精査し、彼のビジョンをより正確に表現するために、時にはかなり編集上の校正をすることもあります。” と語るのは、これまで 67 号もの ArcNews を編集してきた Tom Miller 氏です。
※現場より:Jack 社長は今でも ArcNews の各号に親密に関わっています
ArcNews の歴史は、米 Esri 社のソフトウェアだけでなく、プロセスや組織そのものを変えうる GIS の可能性について、人々が長きにわたり学んできた足跡でもあります。”幾度となく、ArcNews の記事が読者に新たなひらめきを与え、関連しない分野の読者の間をつなげ、それが読者自身の持つ課題解決の糸口になる、という出来ごとを目の当たりにしてきました。”と、Tom 氏は語ります。”これらは、GIS のパワーを利用して我々のユーザが情報を共有し、GIS のもつパワーで達成できることを発見し、その発見を多くの人々で共有する、という Jack 社長の抱く米 Esri 社という企業の目的を反映しています。”
”GIS は素晴らしいことが沢山できます”、と Tom 氏はつけ加えます。”他にどんなことができるのか?新しいアプリケーションは?どのように役立つのか?GIS を使い同様の課題を解決した人はいるか?人々をつなげ、解決策の共有し、新しいソリューションを生みだす、これこそが ArcNews の役目です。”
※一連の作品:編集者 Tom Miller 氏と彼が制作した 67 号分の ArcNews
33 年、そしてこれから。ArcNews のこれからは?オンライン版のみになってしまうのか?ArcUser の編集者であり、米 Esri 社出版物チームの責任者である Monica Pratt 氏によると”オンライン化はゴールではありません。それは読者とコミュニケーションをとる一つの手段にすぎません。私たちは、読者にとって最も有益な形で、タイムリーで役立つ情報を魅力的に届けるために、出版物を日々進化させています。具体的には、繰り返しデザインを刷新している印刷版、電子書籍フリップブックやhtml、そしてモバイル端末も将来的には考えています。”
いかがでしたか?みなさんは、ArcNews がこれからどのように進化すると思われますか?