ArcGIS 10.1 最新動向トップ 10 ~Esri Developer Summit レポートより~

3 月 26 ~ 29 日に行われた Esri Developer Summit には世界中から約 1,700 名の技術者・開発者が集まり、72 個の技術セッション、42 個のデモ シアター セッションおよび 36 個のユーザ発表がありました。Esri Developer Summit は毎年夏に行われる Esri User Conference とは趣が異なり、たとえば技術セッションの内容は単なる製品概要ではなく、技術的にかなり細かいところまで掘り下げた内容が紹介され、技術者にとっては非常に勉強となるカンファレンスです。

この Esri Developer Summit に関して、Esri 社(米国)が月 1 回発行している E-Mail マガジン「ArcWatch」の 5 月号に、ArcGIS 10.1 に関するトップ 10 のトピックが掲載されていましたので以下にご紹介します。Esri – ArcGIS の今後のトレンドが詰まっていますのでぜひご一読いただければと思います。

注:以下に記載されていることは米国で行われた Esri Developer Summit の情報に基づくものであり、予告なく変更される可能性があることをあらかじめご了承ください。また日本国内においては、下記に記載したすべての製品、サービスが提供されるとは限りませんので合わせてご了承ください。


1. クラウドによる GIS の利用方法の変化
ArcGIS のクラウド対応は急速に進んでいます。ArcGIS Online を利用すると、Esri のクラウド プラットフォーム上にすばやく Web アプリケーションやマップ サービスを作成することができ、すべての ArcGIS クライアント アプリケーションは公開されたクラウドの Web サービスを利用可能です。このようにクラウドは ArcGIS のあらゆる場面で利用され、GIS の活用の仕方に大きな影響を与えることとなるでしょう。

2. ArcGIS Online:GIS への新しい入口

ArcGIS Online はあらゆる場所から GIS の機能を利用できるようにするための最適な手段です。ArcGIS Online を使用すれば ArcGIS for Desktop や ArcGIS for Server で作成した GIS データやアプリケーション、そして分析ツールを公開し、共有することができます。このように ArcGIS Online は GIS のもつ能力をオンライン上で提供し、今までとは違った操作性や利便性を受けることができます。それにより、意思決定者からライト ユーザまであらゆる人々が GIS リソースを利用可能になります。

3. ArcGIS 10.1 for Server はより高速に、よりシンプルに、より便利に

新しいアーキテクチャとなった ArcGIS 10.1 for Server は、より高速に、よりシンプルに、より便利になります。まず「高速」という部分においては、64 ビット ネイティブでの実行が可能となったり、多くのコードの最適化が行われていたりします。次に「シンプル」という部分においては、インストールが簡単になり、管理用の新しい REST API が提供されることによって管理しやすくなります。そして機能面においても充実しています。
新しい機能の例として、即利用可能な高品質な印刷用サービス、改良されたフィーチャ サービス、Amazon クラウドのサポートの強化、便利になったマップ キャッシュ ツール、ダイナミック レイヤなどがあります。ArcGIS 10.1 for Server は開発者の生産性を向上させ、いままでよりも迅速に GIS 機能を Web 上に公開できるようにします。

4. 強力な開発用 API

Esri は強力な Web、デバイス、デスクトップ アプリケーションを作成するためにさまざまな開発用 API を提供します。対象となるアプリケーションは HTML5、Adobe Flex、Android、Microsoft Silverlight/WPF、Java、iOS など多岐に渡り、開発者にとっては GIS ソリューションを開発するために言語を選ばないため、より自由度が与えられます。

5. 相互運用性の強化

ArcGIS は OGC(Open Geospatial Consortium, Inc.)の新しい仕様である Web Map Tile Service(WMTS)および Web Processing Service(WPS)のサポートや GeoServices REST 仕様およびファイル ジオデータベース API の公開など、引き続き相互運用性に迅速に対応します。また ArcGIS 10.1 は商用およびオープンソースのデータベース内に存在するネイティブの空間タイプのサポートを強化します。

6. ネイティブ アプリケーション開発に向けての最新動向

ネイティブ アプリケーション開発に対する新しいパラダイムがあり、接続環境でも非接続環境でも動作する、目的に特化したアプリケーションを実装できるようになります。これらのアプリケーションはモバイルとデスクトップ OS で動作するデバイスを活用するために作成され、システム自体だけでなくデバイスのコンポーネントにもアクセスできます。このようなネイティブ アーキテクチャにより、アプリケーションと、レーザー レンジ ファインダー、GPS、メモリ カードのような外部のデバイスとの統合利用が可能です。ArcGIS Runtime はネイティブ アプリケーション開発として利用でき、ネイティブのソフトウェア開発キット(SDK)を通してこれらのプラットフォームへテクノロジを提供します。

7. ArcGIS for iOS と ArcGIS for Android アプリケーションのソース コードの公開

今年の夏に、ArcGIS for iOS と ArcGIS for Android アプリケーションのソース コードの公開を予定しています。これにより、開発者はそれぞれのプラットフォーム上で動作する独自のネイティブ アプリケーションの開発を、このソースコードを基に開始することができ、結果として開発コストを減らすことができます。

8. 新しい ArcGIS Runtime アーキテクチャによるデスクトップ アプリケーション開発

デスクトップ用の新しい ArcGIS Runtime アーキテクチャは Windows と Linux をサポートし、32 ビットおよび 64 ビット OS で実行することができます。また非同期のプログラミング モデルをサポートし、アプリケーションの配布も容易です。

9. Mac 用のネイティブ ランタイム ソフトウェア開発キット

Mac 用のネイティブ ランタイム ソフトウェア開発キットを準備中です。これにより、ArcGIS Runtime を通じて公開された機能を利用し、画像エディタや Web カメラなどの Mac OS のネイティブ コンポーネントへアクセスできます。

10. 開発者コミュニティ形成のためのイベント、オンライン ツール、オンライン リソース

Developer Summit は GIS 開発者のための最も大きなカンファレンスとして成長し続けます。また開発者コミュニティ イベントは今後も拡張し続け、年間を通じて持続的な活動と成功のためにオンライン ツールやオンライン リソースも改良していきます。EDN サブスクリプションに関する詳細な情報は Esri Developer Network(EDN)ページで、サポート情報は ArcGIS Resource Center で得られます。米国のさまざまな都市では GeoDev Meetups を開催します。ArcGIS Discussion Forum(現 GeoNet) は他のユーザとディスカッションする場として最適な場所の一つです。

10.1(おまけ). ドッジボール トーナメント

Developer Summit 開催中に開かれたドッジボール トーナメントは Esri の Jim Mckinney 率いるチームが優勝しました。このドッジボール トーナメントのビデオが YouTube で公開されています。

■関連リンク
Esri Developer Summit
各セッションの資料(ビデオ、PPT
会場の様子(flickr