ArcGIS API for JavaScript の最新バージョン 3.13 をリリースしました。今回のバージョンアップでは、スマートマッピングやサーチ ウィジェットが新たに追加されたほか、イメージ サービスの表現方法の機能が向上されるなど、いくつかの機能が拡張されました。以下では、本バージョンにおける新機能、機能拡張の一部をご紹介します。
スマートマッピング
スマートマッピング (esri/renderers/smartMapping) はより簡単にデータをマップ上に可視化できる新しい機能です。
フィーチャ レイヤーのシンボルを独自に変更するにはレンダラーと呼ばれる機能にシンボルの種類や色、データの範囲などを指定する必要がありますが、スマートマッピングを使えばいくつかのオプションを設定するだけで自動的にレンダラーに必要な情報が作成されるので、その情報をレンダラーに適用するだけで簡単にデータをマップに表示することが可能です。
サーチ ウィジェット
ジオコード サービスを使って住所を検索するジオコーダー ウィジェット (esri/dijit/Geocoder) に代わり、新たにサーチ ウィジェット (esri/dijit/Search) が追加されました。住所を検索するためのロケータ―やマップ上のフィーチャ レイヤーが持つ属性値などの複数のデータソースをひとつの検索ボックスから一度に検索することができます。
※ 結果候補の表示機能については ArcGIS 10.2.2 for Server 以前のジオコード サービスは対応していません。
イメージ サービス
ラスター データや画像データを配信するイメージ サービスをマップに表示する新しいレイヤーとして2つのクラスが追加されました。
● ArcGISImageServiceVectorLayer (esri/layers/ArcGISImageServiceVectorLayer)：イメージ サービスのピクセル値をベクターのポイント シンボルを使ってマップに描画します。
● RasterLayer (esri/layers/RasterLayer) ：イメージ サービスから取得した画像データに領域を指定するマスクやコントラストを強調するストレッチなどのピクセル フィルタリングをクライアント サイドから適用できます。
なお、上の２つのレイヤー クラスはモダン ブラウザーでのみ動作します（Internet Explorer のバージョン９以前では動作しません）。
※ イメージ サービスの新機能を使うには ArcGIS 10.3 for Server が必要です。
ジオメトリ エンジン（ベータ版）
ジオメトリ エンジンはサーバーとの通信を行わずに幾何学計算をクライアント サイドのみで実現する機能です。30以上のメソッドが提供され、バッファーやユニオン、インターセクトなどの処理を行えます。また、ジオメトリ エンジンには同期処理(esri/geometry/geometryEngine) と非同期処理 (esri/geometry/geometryEngineAsync) の２つのクラスが用意されており、用途によって選択することが可能です。非同期処理は Web Workers によるマルチスレッド処理で実現しています。
JavaScript はシングルスレッドのため、コードに書かれた処理をひとつずつ順番に実行していきます。そのため、時間のかかる処理を実行するとその処理が終わるまでユーザーの操作は中断されます。一方、マルチスレッドは複数の異なる処理を並行して実行できるため、幾何学計算のような時間のかかる処理を実行中でもユーザーは別の操作を行うことが可能です。
※ ベータ版は試用を目的とした公開であり、正式なリリースではありませんので、機能あるいはパフォーマンスについての保証はされておりません
その他の機能拡張/仕様変更
・ ルート案内ウィジェットの機能向上：出発地から目的地までのルートを検索するルート案内ウィジェット (esri/dijit/Directions) の機能が向上し、現在地を取得したり検索結果を各言語で表示したりできるようになりました。
その他の更新情報や新機能については、ArcGIS for Developers の ArcGIS API for JavaScript 新機能（英語ページ）をご参照ください。
■関連リンク
ESRIジャパン Web サイト
・ArcGIS API for JavaScript
Esri 社（米国）Web サイト
・ArcGIS API for JavaScript