商圏分析・エリア マーケティングに特化したクラウド型 GIS ソリューション ArcGIS Business Analyst Web and Mobile Apps (以下、BA Web)が 2024 年 6 月 27 日 (米国時間) (2024 年 6 月 28 日 (日本時間)) にバージョンアップしました。本記事では、本バージョンの新機能を紹介します。
目次
データの更新
オンライン データとは、Esri が配信するグローバルな人口統計データであり、世界 170 以上の国と地域をカバーしています。ArcGIS Online にサインインすることで、ArcGIS Business Analyst や ArcGIS Pro などの各種 ArcGIS 製品でご利用いただけます。
日本の人口統計データの更新
オンライン データとして配信している日本の人口統計データのうち、貯蓄や消費、将来人口に関連した推計データを更新しました。
貯蓄
貯蓄の推計データは、貯蓄ランク別の世帯数や総貯蓄額、1 世帯あたりの貯蓄額を収録しており、世帯貯蓄の地域別傾向や特徴を把握できます。今回のアップデートでは、データソースの「家計調査 (貯蓄・負債編)」を 2021 年版から 2022 年版に更新しました。
消費
消費の推計データは、家計調査をもとに推計した約 600 以上の品目の消費額を収録しており、食料品や家事雑貨品などの地域別消費傾向を可視化できます。今回のアップデートでは、データソースの「家計調査 (家計収支編)」を 2021 年から 2022 年に更新したほか「統計で見る市区町村のすがた」を 2022 年 から 2023 年 に更新しました。
将来人口
将来人口の推計データは、2025 年から 2050 年までの性別・年代別人口を収録しており、今後の人口の増減や市場規模の変化を把握できます。今回のアップデートでは、データ ソースの「国勢調査データ」を 2015 年から 2020 年のものに変更したほか、「国立社会保障・人口問題研究所 日本の地域別将来推計人口」から得られる各種パラメーターを、2018 年版から 2023 年版に更新しました。データ ソースの更新に合わせて、推計年度の拡張(~2050 年まで) と収録指標の拡張 (75-79 歳、80-84 歳、85 歳以上の追加) を行いました。
海外の人口統計データ更新
- アメリカ
- 人口および 5 年後の予測人口をそれぞれ 2024 年、2029 年に更新
- 消費支出データおよび 5 年後の予測データをそれぞれ 2024 年、2029 年に更新
- 市場ポテンシャル データおよび業界別小売需要データを 2024 年に更新
- 交通量データを 2024Q2 に更新
- 犯罪データを 2024A に更新
- アメリカおよびプエルトルコ
- 郵便番号境界、コア ベース統計地域 (CBSA) を更新 (Esri 2024、Esri 2023)
- American Community Survey のデータを 2018-2022 年に更新
- フランス
- Esri France 社製の Advanced データを更新
- オランダ
- 4orange 社製の Advanced データを非推奨化
- その他の国・地域
- Michael Bauer Research 社製の 25 の東ヨーロッパ諸国 ・地域のデータを 2023 年に更新
- 目標物 (POI) データ
- アメリカ、カナダ
- Data Axle、Safegraph の各データを 2024 年 Q1 に更新
- プエルトリコ
- Safegraph のデータを 2024 年 Q1 に更新
- インド
- Esri India 社製のデータを 2024 年に更新
- グローバル
- Foursquare のデータを 2024 年 Q1 に更新
- アメリカ、カナダ
インフォグラフィックス テンプレートの更新
2015 年~2050 年までの将来人口の推移や、年齢階級別、年齢区分ごとの人口推移等を確認できる推計将来人口プロファイルを更新しました。ぜひご活用ください。
新機能・機能強化
データ ブラウザーの刷新
ArcGIS Business Analyst Web 上で収録しているデータ変数を分類、表示するデータ ブラウザーの UI を刷新しました。
UI の変更により、異なるカテゴリ間のデータ変数を検索しやすくなった他、検索フィルターのリセットができるようになりました。また、データ ブラウザー右上の [リソース] ボタンから、データ ブラウザーの使い方を学べるガイドツアーやドキュメント、ArcGIS Business Analyst で使用されている人口統計データについて記載されたヘルプ ページにアクセスできるため、操作に慣れていない方でも安心してお使いいただけます。
目標物検索の強化
検索した目標物のキーワード、カテゴリ、コードを保存する機能を追加しました。また、検索対象のフィルターや、スタイルの変更、凡例など目標物検索のワークフローを全て同一のパネルに収録するように更新しました。 また、カラー コード マップなどと同様に、結果パネルを追加し、対話的に結果を確認できるようになりました。
適合性解析の機能強化
適合性解析を実行後、結果パネル内でカーソルを当てると、マップ上で該当するサイトがハイライト表示されるようになりました。さらに、バブル チャートや散布図を拡大できるようになり、詳細を確認できるようになりました。また、サイトのホップアップに表示される情報に商圏情報などが追加されました。
クラシック レポート エクスポート出力機能の強化
クラシック レポートを Excel ファイル形式で出力する際、レポート内のチャートが今までは画像として出力されていましたが、Excel 内で再利用可能なデータとして出力できるようになりました。
ArcGIS Experience Builder の Business Analyst ウィジェットの機能強化
ArcGIS Experience Builder の Business Analyst ウィジェットでは以下の主要機能を強化しました。
- Business Analyst ウィジェットを含む ArcGIS Experience Builder アプリをパブリック公開可能になりました。
- ワークフロー モードでの地名・住所検索やバッファー作成時の UI を変更しました。
- Web マップ内のポリゴン フィーチャのスタイルを、インフォグラフィックス上でも反映するようになりました。
Business Analyst Assistant (ベータ版)
本機能は英語のみサポートしています。AI アシスタントが BA Web 内の様々な機能をガイドする機能を新たに搭載しました。たとえば、マップの作成やインフォグラフィックスの実行、操作方法や Tips の表示などを対話的な質問形式でガイドします。
おわりに
今回のバージョンアップでは、日本の統計データを最新版に更新したほか、インフォグラフィックスのデザイン刷新を行っています。また、データ ブラウザーや目標物検索の UI やワークフローを刷新し、より使いやすくなっています。ぜひ最新バージョンの BA Web and Mobile Apps を皆様の業務にお役立てください。