はじめに
「ArcMap や ArcGIS Pro で標準地域メッシュを作ることはできますか?」というお問い合わせをよくいただきます。
「標準地域メッシュ」とは緯度経度の座標値に基づいた規則的な区画で、JIS X0410 によって「地域メッシュコード」として規格化されています。詳しくは最近開設された GIS 基礎解説のページをご覧ください。
ArcGIS では [インデックス フィーチャ (格子状) の作成] ツールで任意のメッシュ ポリゴンが作成できます。ただし、このツールで標準地域メッシュを作成するには、詳しい仕様(総務省統計局資料)を理解する必要があります。
「そもそも、はじめからメッシュを作成したポリゴンをダウンロードすれば良いのでは?」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、上記の 4 次メッシュのファイルをすべて展開するとディスク サイズが 1.5GB を超えてしまいます。5 次メッシュ以上の細かいメッシュを全国分用意すると途方もない容量になることが想像できます。また、細かいメッシュはミクロな範囲の解析に使われるのが一般的ですので、もし事前に用意された全国のメッシュから必要な箇所を抽出しようと考えたらクリップ処理に時間を要してしまいます。
やはりジオプロセシング ツールで作るのが現実的ですが、メッシュの仕様が公開されているとはいえ計算とか複雑で難しそう。もっと簡単に作れるツールはないのでしょうか?
実はあります。ESRIジャパンのサポート サイトにサンプル プログラムとして地域メッシュを作成するツールを公開しています。
[地域メッシュ ポリゴン作成] ツール
[インデックス フィーチャ (格子状) の作成] ツールを元に、メッシュのパラメーターを適切に設定してくれるツールです。ジオプロセシング ツールを使ったことがある方なら簡単に使用できます。ツール ヘルプも用意していますので、[ヘルプを表示] をクリックしてヘルプを表示すると、パラメーターのクリックによって何を設定するべきか解説が表示されます。
ダウンロードと使い方
機能
メッシュを作成したい範囲を持つポイント、ライン、ポリゴン フィーチャを指定することで、そのフィーチャの範囲と重なるメッシュ ポリゴンを作成します。出力データは、事前に作成しておいた空のジオデータベースやフォルダーを指定します。作成できるメッシュは以下のとおりです。
- 第 1 次メッシュ
- 第 2 次メッシュ
- 第 3 次メッシュ
- 2 分の 1 地域メッシュ(第 4 次メッシュ)
- 4 分の 1 地域メッシュ(第 5 次メッシュ)
- 8 分の 1 地域メッシュ(第 6 次メッシュ)
- 第 3 次メッシュの 10 分の 1 細分区画(100m メッシュ)
- 第 3 次メッシュの 20 分の 1 細分区画(50m メッシュ)
さらに第 1 次~第 6 次まではポリゴン フィーチャの属性値としてメッシュ コードも出力します。業務や研究で標準地域メッシュを使われる方はぜひご活用ください。
このツールはジオプロセシング ツールなので、他のモデルやスクリプト ツールなどに組み込んで、ご自身で機能を拡張できます。さらに、このツールは Python 言語と ArcPy という API で作成されています。ツールのソース コードも参照できますので、自分でさらにカスタマイズしたいという方は自由に改変することができます。ツールを作ることに興味を持ちましたら、ドキュメントやトレーニング コースを用意しておりますので併せてご参照ください。
- ArcPy スタートアップ ガイド(公開は終了しました)
- Python によるジオプロセシング スクリプト入門(トレーニングコース)
おわりに
残念ながら 2016 年 3 月時点では 2 倍地域メッシュ、5 倍地域メッシュ、10 倍地域メッシュの作成には対応していません。反響が大きければ改良を検討しますので、ぜひ本ブログ記事の、Facebook ボタン(いいね!)や Tweet ボタンを押して他の方にもご紹介ください。
本ツールはサンプル プログラムと位置づけられております。ツールの動作に関する責任は負いかねますことをご了承ください。ツールの改変は自由に行っていただけますが、内部で使用されている API に関するお問い合わせにつきましては、開発者サポートからお問い合わせください。詳しくはツール提供ページの制限事項をご覧ください。