今回は、ArcGIS Desktop の ArcGIS Network Analyst エクステンションを使ってできる、交通ネットワーク解析についてご紹介いたします！
■ArcGIS で行う交通ネットワーク解析
ArcGIS Network Analyst エクステンション製品は、交通ネットワークの解析に特化しており、ArcGIS Desktop では、ArcMap または ArcGIS Pro 上で使用します。また、交通ネットワーク データを使用して解析を行います。
※ ArcGIS Network Analyst エクステンションは、ArcGIS Enterprise、ArcGIS Engine (2026 年 2 月 28 日でサポート終了)、ArcGIS Runtime (現 ArcGIS Maps SDK for .NET) でもご使用いただけます。
■交通ネットワーク データを使用するメリットは？
地点 A から地点 B の距離を考える際、最短ルートは直線距離と大きく異なることがあります。たとえば、2 地点間に川がある場合は、川を渡るために橋を通る必要があります。また、ある地点からの徒歩 10 分圏を考える場合、道は曲がりくねっていることも多いので、単純な円状バッファーと実際に徒歩 10 分で到達できるエリアは異なることがあります。
交通ネットワーク データを使用することで、現実に即した、より正確な解析結果を得ることができます。
■Network Analyst の活用事例
ArcGIS Network Analyst エクステンションは様々な分野で利用されています。たとえば、地域住民の医療機関へのアクセス性の解析や、巡回業務におけるルートの最適化などが解析できるため、さまざまな業務効率化にご活用いただけます。
活用事例のページでは、様々な事例をご紹介しています。ぜひこちらをご覧ください。
■ArcGIS Network Analyst でできる解析
ArcGIS Network Analyst では、以下の 6 種類の解析を行うことができます。また、解析時には多数のパラメーターを設定することができます。解析の詳細は製品の詳細ページをご覧ください。
・指定した訪問先を通過する最適なルート・訪問順を検索
・ある地点から一番近い施設と、そこまでのルートを検索
・ある地点から指定時間（または指定距離）以内で到達できる範囲をポリゴンまたはラインで出力
・複数の起点から複数の終点までコストを一括計算し、最小コスト パスを算出
・要求条件に基づく最適な場所を検出、需要地点に最適な施設を割り当て・配置
・最適なルート・最適な車両の割り当て
上記すべての解析で、通行禁止エリアや渋滞時の通過時間の加算などを「バリア」として設定することができます。
■その他の機能
ルート案内の生成機能も付いています。また、解析に使用する交通ネットワーク データに交通規制の情報が格納されていれば、解析時に交通規制の有効/無効を切り替えた解析を行うことができます。
■交通ネットワーク データについて
ArcGIS Network Analyst で交通解析を行うには、道路網などの交通ネットワーク データが必要です。
ESRIジャパンでは、一方通行や右左折禁止、規制速度などの交通規制情報をあらかじめ収録した道路ネットワーク データを販売しています。交通手段別の通行所要時間など、ネットワーク解析に必要な設定も完了済みのため、ArcGIS での解析にすぐにお使いいただけます。
ArcGIS Desktop の保守が有効である場合や ArcGIS Online をお持ちの場合は、 ArcGIS Online のネットワーク解析サービスに接続して解析することもできます。この場合、交通ネットワーク データの準備は不要です。詳細は過去のブログ記事「ArcGIS Pro で ArcGIS Online ネットワーク サービスを使用したネットワーク解析ができます！」をご覧ください。
ご自身でネットワーク データを構築いただくことも可能です。詳細は以下のリンクをご参照ください。
・OpenStreetMap を使用してネットワーク解析をしてみよう
ぜひ ArcGIS を使い、GIS を駆使した交通ネットワーク解析をご活用ください！
本記事は、第13回 GISコミュニティフォーラムにおける「ArcGIS で交通ネットワーク解析をしてみませんか？～配送計画から施設の最適配置まで～」の発表をまとめたものです。