ArcGIS Desktop のパフォーマンスを改善するには?

ArcMap のパフォーマンスに満足していますか?

パフォーマンスが良くないなと感じた場合、それには様々な原因があります。例えば、0.5m 精度の DEM の表示がオンになっていて、さらには土地区画、水域、道路ネットワークなど、国土全体の土地利用レイヤーに 50% の透過設定を行っていることが関係している場合があります。パフォーマンスは、ArcMap 上で描画するレイヤーの数を減らすなど、データやマップの設計を見直すことで解決する場合があります。データやマップの設計に関する詳細は「ArcGIS Desktop パフォーマンス ヒント」(Esri 製品サポートへのログインが必要です) をご参照ください。

ただし、それらの設定が妥当であるにも関わらず、パフォーマンスが良くない場合もあります。本記事では、そういった場合にパフォーマンスの改善が期待できる操作をご紹介します。

1. マシンの再起動

何日もマシンを起動したままだった場合、タスク マネージャーでアプリケーションやプロセスを積み上げる原因となり、パフォーマンスの低下を招く場合があります。このような場合は、マシンを再起動し白紙の状態に戻すことが最善の方法です。

2. 動作環境を満たしていますか?

動作環境の確認をせずに ArcGIS のバージョンをアップグレードした場合、メモリやビデオカードが動作環境を満たしていない場合があります。「動作環境チェックツール」を使用すると、マシンが動作環境を満たしているか確認できます。

3. ある特定のマップ ドキュメントでのみ起こりますか?

毎日毎日、同じマップ ドキュメントで作業している方がいるかもしれませんが、これ自体は問題ではありません。しかし、これらのマップ ドキュメントは時間と共にパフォーマンスに影響を及ぼす何らかの問題を引き起こすことがあります。これをテストするためには、空の ArcMap を新たに起動し、既存のマップ ドキュメントから新しいマップ ドキュメントにレイヤーをドラッグ & ドロップして、新しいマップ ドキュメントでも同じ挙動となるか確認します。または、MXD Doctor を試すこともできます。MXD Doctor は、マップ ドキュメント内に破損したオブジェクトが存在するかを解析し、マップ ドキュメントのコピーを新たに生成します。MXD Doctor は以下から起動します。

[スタート] → [すべてのプログラム] → [ArcGIS] → [MXD Doctor]

4. ある特定のデータでのみ起こりますか?

マップ ドキュメントの問題と同じように、シェープファイルまたはフィーチャクラスは時間と共にパフォーマンスに影響を及ぼす何らかの問題を引き起こすことがあります。この場合は、別のデータセットでも同じ挙動か確認します。挙動が確認されなかった場合、それはデータ特有の問題である可能性があります。フィーチャクラスをエクスポートして新たに保存し、コピーしたデータでテストを行ってください。

5. 他のマシンでも同じ問題が起こりますか?

この方法は、実際に問題を解決するわけではありませんが、問題を絞り込むために役立ちます。組織内のすべての人が同じ問題を持っている場合、それはデータ、マップ ドキュメント、ネットワーク特有の問題ということになります。一人だけが問題を持っている場合、それは何かマシンの設定が関係しています。

6. 別の Windows ユーザー プロファイルでマシンにログインした場合に問題が起こりますか?

この質問は奇妙に聞こえるかもしれませんが、ArcGIS Desktop は Windows ユーザー プロファイルに大きく依存しています。これが問題を引き起こす可能性はありますし、その場合は新たにプロファイルを作成することを検討する必要があるかもしれません。

7. ローカル データで問題が起こりますか?

ネットワーク上にあるシェープファイル、ファイル / パーソナル ジオデータベースで作業している場合、そのデータを C ドライブにエクスポートしてみてください。問題が解決したら、ネットワークに問題があることになります。この場合、ネットワーク管理者に問い合わせてください。エンタープライズ ジオデータベースを使用している場合、ローカルのファイル ジオデータベースにデータをエクスポートして問題が解決されたら、エンタープライズ ジオデータベースへの接続を確認してください。

8. 標準テンプレートの名前を変更してください

標準テンプレートは ArcGIS を起動するたびにユーザー プロファイルから自動的にロードされるテンプレートで、ツールバー、ボタン、ウィンドウの位置など、カスタマイズした UI を含んでいます。これらのテンプレートが問題を引き起こす可能性があります。テンプレートの名前を変更すると、ソフトウェアはすぐに新しい標準テンプレートを生成します。以下に標準テンプレートの名前を変更する方法を示します。

  1. ArcCatalog とArcMap を閉じます。
  2. C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Roaming\Esri\Desktop<バージョン>\ArcMap へ移動します。(AppData がない場合は、[フォルダーと検索のオプション] の設定を変更します。)
  3. Templates フォルダーを開きます。
  4. Normal.mxt ファイルを Normal 以外の名前に変更します。その後、ArcMap を再度起動します。
  5. ArcCatalog とArcToolbox も標準テンプレートを持っています。必要であれば、各フォルダーに移動し、標準テンプレートの名前を変更してください。

9. パッチを適用していますか?

Esri 製品サポートページより、パッチを入手することができます (ログインするには、ID とパスワードが必要です)。また、これらによって修正される問題も確認することができます。

10. マイドキュメント フォルダーは C ドライブに格納されていますか?

組織によっては、マイドキュメント フォルダーはネットワーク上にあるかもしれません。Default.gdb を含む、ArcMap が依存するファイルやフォルダーはここに格納されているため、ArcGIS において問題になることがあります。マイドキュメント フォルダーをローカル ドライブに変更することができるか、IT 管理者に相談してください。

11. サードパーティ ツールを確認してください

たくさんの素晴らしいサードパーティ製の拡張機能の多くは、残念ながら、検証または保証されているわけではありません。一部の製品は時々競合を引き起こすため、挙動が解消されない場合はそれらをアンインストールする必要があるかもしれません。その場合は、サードパーティの開発 / 販売会社に既知の問題かどうか確認するために、サポート リクエストを登録することを検討してください。マシン上のサードパーティ ツールをチェックするには、以下の方法があります。

  1. Windows の [アプリと機能] で確認
  2. ArcMap のすべてのツールバーのリストを確認 (ArcMap の起動 → [カスタマイズ] → [ツールバー])
  3. ArcMap のすべてのエクステンションを確認 (ArcMap の起動 → [カスタマイズ] → [エクステンション])
  4. アドイン マネージャーで確認 (ArcMap の起動 → [カスタマイズ] → [アドイン マネージャー])

12. ウィルス スキャンが頻繁に起こっていますか?

ArcGIS Desktop でパフォーマンスの問題を引き起こす可能性があるため、一時的にウィルス スキャンを無効にしてください。

13. 更新する必要のあるドライバーはありますか?

  1. Windows の [デバイス マネージャー] を開きます。
  2. ディスプレイ アダプターを展開します。
  3. 表示されたアダプターを右クリックし、プロパティを選択します。
  4. [ドライバー] タブをクリックし [ドライバーの更新] → [ドライバー ソフトウェアの最新版を自動検索] を選択します。
  5. 更新がある場合は、最新のドライバーをインストールします。

14. テンポラリ フォルダーの更新および仮想メモリの最適化:

  1. Windows の [システムのプロパティ] → [詳細設定] タブ → [環境変数] をクリックします。
  2. ユーザ環境変数「TEMP」、「TMP」の両方は、デフォルトで「C:\Users\<ユーザー名>\AppData\Local\Temp (または %USERPROFILE%\AppData\Local\Temp)」に設定されています。
  3. その場合、それぞれ「C:\temp」に変更します。
  4. [OK] をクリックして [環境変数] ダイアログを閉じます。
  5. パフォーマンスの [設定] をクリックします。
  6. [詳細設定] タブをクリックします。
  7. 仮想メモリで [変更] をクリックします。
  8. [システム管理サイズ] を選択し [OK] をクリックします。
実際には、ソフトウェアに期待できることには限界があることに留意してください。
ドライバーの更新や仮想メモリの設定の変更などは、システム全体に影響のある操作です。変更を行うことによって Esri 製品以外のソフトウェアに影響を及ぼすことも考えられます。ESRIジャパン株式会社では、このような操作の結果発生した不具合等につきまして、責任を負いかねますのでご了承ください。

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